2018年 チャンピオンズカップ回顧
チャンピオンズカップ、勝ったのは断然人気に推されていたルヴァンスレーヴでした。
3歳馬が好走することが少ないことでも知られていたチャンピオンズカップでしたが、今回はルヴァンスレーヴを筆頭にオメガパフューム、ヒラボクラターシュと強力3歳馬が3頭出走、昨年覇者ゴールドドリームの直前の回避もあって彼等3歳馬が歴戦の古馬に挑む状況が形成されていましたね。
まず、勝ったルヴァンスレーヴですが、これまでスタートで出遅れるケースも少なくなく、レース序盤の動きが注目されていたのですが、いざレースになると無難にスタートを決めると、好枠を生かして、スムーズに前につける展開。
鞍上のM・デムーロも無理に押っ付けて行かせるというよりは軽くうながす程度で無理なくアンジュデジールに続く2番手を確保。
2馬身程前に逃げるアンジュデジールを行かせながら、馬なりで2、3番手の内目の位置から追走。
強引にレースを引っ張ろうとする馬がいなかったことからペースは上がらず、中盤以降もその流れを保ったまま3コーナーへ。
4コーナーでも無理に仕掛けず、依然として内ラチ沿いの2、3番手。
直線に向いて逃げ粘るアンジュデジールの外に持ち出して追い出すもすぐには交わせなかったもののM・デムーロの右ムチが飛ぶと、一気に脚を伸ばして先頭に。
あとは最後まで止まることなく伸びて後続に決定的な差をつけての完勝でした。
騎乗としてはほぼ完璧じゃなかったかと思います。
レース前に調教師からは「まだ形が定まっていない馬」と、いったコメントもあり、もしかすると先行することも予めレースプランに入っていたのではないかとも思えますが、今日のデムーロの騎乗を見ていると、スタートに成功した後は、周りの馬の動向次第で先行出来るようにも下げられるようにも構えていたように感じます。
結局、積極的に前のポジションを奪いに行こうとする馬がいなかったため、そのまま前でのレースを選択したんじゃないでしょうか。
直線でも慌てず後続を引き付けてから追い出しており、先週のアーモンドアイの如く付け入る隙はないレース振りでした。
ただ、感じたのはルヴァンスレーヴの本質は1800m以上のレース向きなのかな、と。
確かに素晴らしい脚を見せましたが、追い出して瞬時に反応したという感じではありませんでした。
ただ、加速してからはその脚は最後まで衰えを見せませんでしたね。
少なくとも短距離向きの馬が見せるパフォーマンスではなかったかと思います。
今回の勝利で名実ともに日本のダート界を代表する存在となったルヴァンスレーヴですが、今後はドバイワールドカップやブリーダーズカップなど世界を舞台に闘っていくことも予想されます。
現状でも相当な強さだとは思いますが、ただ、今後世界を舞台に闘うためには更なるパワーアップも必要になってくると思います。
そして2着に来たのは8番人気のウェスタールンド。
中途半端なレースで終始チグハグなレース振りだった前走と打って変わってスタート直後より後方に控えたウェスタールンド。
道中も馬群から離れた最後方をポツンと1頭で追走。
遅めのペースの中で「何をやっているんだ」との声も飛びそうなくらいの位置取りでしたが、3コーナーから徐々に進出。
4コーナーで馬群が一気に外に広がって内が開いたスペースを内ラチ沿いの経済コースからまるで瞬間移動したかの如く一気に進出。
その勢いは止まることなく、3頭の2着争いを制しての2着に。
流石にルヴァンスレーヴには及ばなかったものの、シリウスステークスで見せた脚が本物であったことを証明する形になりました。
記録された上がりは驚愕の34秒4。
逃げていたアンジュデジールの1000m通過が61秒9の遅めの流れで大きく離された最後方を走っていたことを考えると奇跡的な末脚を繰り出したことが伺い知れます。
鞍上の藤岡佑騎手は恐らく最初からこうしたレースを狙っていたのでしょう。
最終コーナーでインが開いてくれることに掛けて、その一点に勝負を掛ける実に肝の座った騎乗でした。
もちろん、普通はこんな騎乗がハマることの方が少なく、一発に掛けた騎乗でした。
しかし、それに応えた馬も素晴らしかったですね。
最終コーナーで一気に追い上げた時は強烈なラップを刻んでいるはずですが、それだけスピードに乗りながら膨れずに内ラチ沿いを走るコーナーリングと爆発的な末脚は馬の力なくしては出来なかったと思います。
ここからは私の推測もありますが、この馬は平均的なラップを刻むレースよりは緩急の大きなレースの方がその特色が生きてくるタイプではないかと思っています。
常々安定してその末脚が炸裂するってタイプではなさそうで、馬券的には狙いところが難しいですが、一流の実力を身につけていることは証明されましたね。
逆に3番手以下につけた馬達は結果的に終始後手に回ってしまい、十分に力を発揮出来ていなかった印象がありました。
ペースが遅くなったため、後続は4コーナーから外を回されコースロスを余儀なくされてしまった印象でしたね。
これではそう簡単に勝ち負けにはならないでしょう。
その中ではモレイラ騎手騎乗のサンライズソアは流石に上手く立ち回ったかなとも思いますが、最後は地力の差も出たように感じます。
結果的に今回は思い切った騎乗を見せた馬が好結果となり、そうでない馬には厳しい結果となりましたね。