うまコラ

競馬歴28年の筆者が綴る競馬コラム

有馬記念の行く末は…

こんにちは、ゆ~じ~です。

 

 

今日は有馬記念について触れてみます。

 

売上に於いてギネス記録を保持している「最強のG1」、有馬記念。

売上のピークだった90年代中期ほどの売上ではなくなりましたが、数あるいまだに圧倒的な売り上げを誇っています。

世界中を見渡してみてもこれほどのレースは例がないほど。

 

競馬関係者にしてみれば日本の競馬の最高峰と、なるとダービーの名を挙げる方は非常に多いのですが、一般的なファンにしてみるとやはり有馬記念の存在感の方が強くなっており、それが売上にも反映されていると言っていいかと思います。

 

実際、普段は馬券を買わないような人も有馬記念だけは買うなんて人はよく見ますよね。

このように年末のビッグイベントとして完全に定着しているこのレースですが、時代も確実に変わりつつあります。

 

昔はクラシックディスタンスに適性を持つ馬だけでなく、マイラーの出走もよく見られており、オールスター戦としての意味合いも強かったものです。

しかし、近年では距離体系が充実してきて適性的に厳しいと思われる馬の出走はあまりなくなりました。

加えて、ジャパンカップが1か月前に行われていますが、有馬記念との両方に出走するとなると馬への負担も少なくなく、どちらか一方に狙いを定めて使ってくることが多くなりました。

更に香港国際競走へと遠征する馬もよく見られ、こうしたレースの使い分けが進んだ結果、有馬記念はかつてのようなオールスター戦としての色合いは失われてしまい、フルゲートを割ることも珍しくなくなりました。

 

そうなってくると、ファン投票で出走馬が選出される、ということによる魅力もまた失われることになります。

事実、現在でもファン投票は行われてはいるものの、出走の意思を持つ実力馬が出走出来ないことはほぼなくなっており、事実上意味を持たないものとなってしまっています。

 

今ではジャパンカップと並んでクラシックディスタンスの国内最高賞金額のレースとしての位置付けのレースとなったと言っていいかと思います。

 

今年の出走馬についてもレースを前にサトノクラウンが引退、ディアドラやリスグラシュー、ヴィブロスなどは香港へ向かい、アーモンドアイは目もくれず回避して休養。

他にもシュヴァルグラン、フィエールマン、ミッキーロケット、ワグネリアンらもここには向かわないことが決まっています。

今年、G1を制した馬で出走を予想されている馬は天皇賞を制したレイデオロのみとなる見込みです。

 

このようにレース自体の魅力は昔ほどではなくなった印象のある有馬記念でしたが、その立場を脅かしているのはそれだけではありません。

 

「年末の総決算」としての一大イベントとしての色合いが非常に強い有馬記念ですが、昨年より、有馬記念の数日後に新たにホープフルステークスがG1に昇格し、2歳G1とは言え、年の最後を締め括るG1という位置付けまでもがなくなりました。

 

それだけでなく、将来的には現在はG2で行われている阪神カップのG1昇格もあり得る状況ですね。

 

また、大井競馬場では東京大賞典が行われます。

かつて地方競馬は地元のファンやディープなファンが買うレースとして成り立っていましたが、中央に所属する最強クラスのダート馬が出走することが一般的になっていますし、近年では急速にネットでの馬券販売が一般的なものとなり、それまで中央競馬しか買わなかった人も地方競馬を買うケースが増えて、売上も大幅に伸びてきています。

 

このように有馬記念は年々その位置付けを徐々に変えてきており、かつてのようなスペシャル感は大きく損なわれている状況となっています。

 

それでもまだ有馬記念のネームバリューは非常に強烈なもので、年末になるとスポーツ新聞などでは連日有馬記念の記事が紙面を賑わせています。

しかし、それもこの状況下でいつまで続くものなのでしょうか。

 

 

楽しみな要素が多様化してきているとも言えるこの状況に対して一概に良い、悪いなんてことは言えないのですが、個人的には昔のような「スペシャルなG1」として盛り上がっていた時代はやはり忘れ難いんですよね。

 

ただ、こうした様々な面での多様化は今後も進んでいくのではないかと思われます。

そんな中で、有馬記念はいつまでもこれまでのような盛り上がりを見せることもなくなりそうな雲行きですが、この状況にどこかで待ったが掛けられて復活の時が来るのか、そのまま普通のG1となって続いていくのか。

 

その行く末は見えてこないのですが、何にせよ私としては楽しみなレースであり続けてほしいと思います。