うまコラ

競馬歴28年の筆者が綴る競馬コラム

チャイヤプーン!

こんにちは、ゆ~じ~です。


いきなり何なんだ!ってタイトルですよね、すみません(笑)

まず、説明すると「チャイヤプーン」は馬の名前です。
タイにある地名から付けられた名前のようですね。

このチャイヤプーンが昨日の岩手競馬のダービーグランプリを見事優勝しました。


そもそも岩手競馬って何?
そもそもダービーグランプリって何?

って方もいらっしゃるかと思うのでまずはその説明から。

日本国内では一般に良く知られている中央競馬、よくJRAって言われてるやつですね。
と、一般に「地方競馬」と言われるものがあります。
実力の高い馬は賞金が高い中央競馬に所属することが殆んどで地方競馬にはなかなか強い馬というのはいなかったりします。

その地方競馬の1つとして存在しているのが岩手競馬です。

もう昔の話になりますが、かつてメイセイオペラが中央競馬のG1、フェブラリーステークスを制しており、今現在で唯一の地方競馬所属馬として中央競馬のG1タイトルを取った馬でもありますね。

ただ、岩手競馬も例に漏れず、出走馬のレベルは中央競馬より大きく劣る馬が大多数です。

その岩手競馬に於いて3歳最高峰のレースとして存在するのが前述したダービーグランプリです。
かつては統一グレード競走として、G1の格付けがなされた程のレースです。


今では中央馬が出走出来なくなり、統一グレードは外れているのですが、地方競馬の3歳馬のレースとしては依然として影響力のあるレースですね。


では、話をチャイヤプーンに戻しましょう。
元々はホッカイドウ競馬に所属していたチャイヤプーン。
昨秋に岩手競馬へと移籍し、以降岩手では目覚ましい活躍を見せていたのですが、9月には同じく地方競馬の南関東競馬(余談ですが地方競馬でも地域によってレベル差は結構あり、その中でも「南関東」と言われる大井、川崎、浦和、船橋は中央競馬の中でも高いレベルで知られています)の戸塚記念に遠征し、5番人気の前人気を覆して勝利を収めています。

その後、1戦を挟んでダービーグランプリへと出走したチャイヤプーンは人気に応えて見事勝利したのでした。


いやね、何でこういったマイナーな馬について触れたのかというと彼の血統に惹かれたからなんですよ。

チャイヤプーンの父はフェデラリスト。
その父はアメリカで活躍していたエンパイアメーカー、そして母は95年のオークスなどを制したダンスパートナー。
ダンスパートナーが渡米し、エンパイアメーカーを種付けしてから帰国して生まれたいわゆる持ち込み馬でした。
一時は地方競馬で走っていたフェデラリストでしたが、4歳になる頃から力をつけ、中山金杯と中山記念を制した馬でした。
それ以降はあまり活躍出来なかったのですが、その良血が評価され、種牡馬となっていたのでした。

良血だとは言え、近年の種牡馬界に於いてはG2勝ちくらいではそうそう高い評価など得られるはずもなく、種付けする機会もあまりなく、デビューした産駒は数える程しか出ていません。
そして、種牡馬入りして僅か数ヶ月、フェデラリストは生まれる産駒の誕生を待たずして種牡馬として韓国へと輸出されていったのでした。

そして母はウイングアロー産駒のサイレントエクセル。
父のウイングアローに至ってはダートのGⅠ勝ちはあるものの、血統的にもそれほど見るべきところもないマイナー種牡馬。
こちらも少ない産駒の中から出たサイレントエクセル自身が岩手競馬でなかなかの活躍を見せていたこともあって繁殖入りすることになり、種付けされたのがフェデラリストだったというワケです。

なかなか良血馬が集まりにくい地方競馬とは言え、ここまでマイナーで渋い血統の持ち主が活躍を見せるなんてことはそうあるもんじゃありませんよ。

思えば個人的に初めて買った馬券がダンスパートナーが制したオークスでした。
ダンスパートナーは非常に高い評価を受けていた名牝でしたが、なかなか産駒は活躍出来ていなかった。
そんな中でアメリカまで赴いて種付けされた産駒から遂に重賞勝ちを収めるフェデラリストが現れました。
そのフェデラリストも種牡馬としての期待は大きくなく、輸出されてしまいました。
そんな血を引く馬が岩手競馬の活躍馬に付けられ、日本に残された数少ない産駒の中からダービーグランプリを制する馬が現れる。


こういうの嫌いじゃないです。