うまコラ

競馬歴28年の筆者が綴る競馬コラム

種牡馬 キングカメハメハ

今回は日本に於いて最強のミスタープロスペクター系種牡馬と言っても過言ではない万能種牡馬キングカメハメハについて触れていきたいと思います。

 

現役時は故障もあってG1勝ちこそNHKマイルカップとダービーの2勝だけでしたが、種牡馬入りしてからは距離、馬場を問わない活躍で日本の競馬史にしっかりと名を残す活躍を見せている名種牡馬となっています。

 

父はキングマンボ(その父ミスタープロスペクター)、母の父はラストタイクーンという血統。

 

母マンファスがキングマンボの種を宿して輸入されたいわば持ち込み馬で、2歳秋にデビューし、難なく2連勝。京成杯では3着に敗れるもすみれステークス、毎日杯と連勝。普通なら皐月賞に向かうケースだったのですが、京成杯での敗戦を考慮されたのかこれを回避、NHKマイルカップに向かう異例のローテーションを取ることに。

そのNHKマイルカップでは豪快な末脚で5馬身差の圧勝劇。

続くダービーでは厳しい先行争いでペースが上がる中でやや前目に位置しながら早めに仕掛けられるも、追い込んできたハーツクライを力の違いを見せつけるようにねじ伏せ、レースレコードとなる2:23.3で完勝。

その後、神戸新聞杯でも完勝するも秋の天皇賞を前に屈腱炎を発症してしまい、早々に現役引退することに。

 

スピード、スタミナを兼備したレース振り、サンデーサイレンスを持たない血統ということで種牡馬としても非常に高い評価がなされ、高額のシンジケートが組まれたキングカメハメハは抜群の人気を誇り、毎年のように200頭を超える種付けを記録。

産駒達は初年度から華々しい活躍を見せ、いきなり2歳総合リーディングサイアーに輝くのを皮切りに次々に芝ダートを問わないオールラウンダー振りを発揮。

牝馬三冠を含むG1を5勝したアパパネ、日本史上最強のスプリンターとの呼び声も多いロードカナロアを代表格に、ローズキングダム、ルーラーシップ、ホッコータルマエ、ラブリーデイ、ドゥラメンテ、レイデオロなど枚挙に暇がない程の活躍馬を次々に送り出し、内国産種牡馬としては歴代最高クラスの成績を残しています。

 

近年では体調不良などもあり、種付けは体調を見ながら慎重に続けられており、かつてのように200頭もの種付けは出来なくなってはいますが、それでもこの馬の評価が揺らぐことはなく、今後も質の高い産駒を出してくるのではないでしょうか。

 

産駒の中からは種牡馬として既にロードカナロア、ルーラーシップがG1馬を出すなどしてリーディング上位の活躍を見せており、今後はこれにドゥラメンテも加わってくるだけにサイアーラインも当分は続いていくことになりそうです。

 

では、産駒の傾向について見ていきましょう。

 

キングカメハメハ産駒ー距離適性・芝

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 ご覧の通り、どの距離に於いてもコンスタントに好成績を残していることが数字の面からも明らかです。

キングカメハメハ自身はマイルから2400mまでで活躍を見せた馬でしたが、血統を見るとキングマンボ、ラストタイクーンと距離の融通が利く種牡馬の名も並んでいることが影響しているのか、非常に稀なほど産駒の距離適性に大きな幅があるようです。

このブログでの他の種牡馬の記事をご覧になられている方はいかにキングカメハメハ産駒の距離に対する融通性が高いのかはよくご理解頂けるのではないでしょうか。

 

では、芝に続いてダートでの成績を見てみることにしましょう。

 

キングカメハメハ産駒ー距離適性・ダート

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ダートに於いても距離を問わない活躍を見せていることが上記の数字からも見て取れますね。

強いて言うなら中距離戦の方がやや優れた実績を残しているようです。

芝だけでなくダートでも良く走っているイメージの強いキングカメハメハ産駒ですが、データの上でもダートでの強さが浮き彫りとなっていますね。

尚、これはどの種牡馬のデータを見る上でも意識しておきたい点ではあるのですが、レースによって出走馬が集まりやすい条件とそうでない条件があるため、フルゲートになりやすい短距離戦と出走馬が少なくなりやすい長距離戦を同じ感覚で勝率や複勝率を比較すべきではないですね。

 

芝でもダートでもこれだけコンスタントに条件を問わずに活躍している種牡馬は日本の競馬史を見てきてもほぼいないと言っても過言ではないほどのオールラウンダー振りを発揮しています。

これは自身の能力は勿論のこと、母系の特色を引き出す資質というものも優れていると言わざるを得ませんね。

 

では、続いて馬場が渋った状態ではどうなのかも見てみます。

 

キングカメハメハ産駒ー馬場状態別成績・芝

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重馬場でも苦にせず活躍しているイメージが少なからずあるキングカメハメハ産駒ですが、データ的には「苦にすることはないが特段得意ということもない」といったところですね。

僅かな差ではありますが、渋った馬場を得意にしているイメージが多少なりともある分、回収率自体は良馬場の方が少し上回っているようです。

 

続いてダートの成績も見てみましょう。

 

キングカメハメハ産駒ー馬場状態別成績・ダート

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ダートでも大きな差は出てはいないものの、僅かながら稍重、重馬場の脚抜きの良い馬場の方が良い結果は出ています。

ただ、芝でもダートでも良馬場でも重馬場でも条件を問うことなく安定して好成績を残しているのは確かですね。

 

キングカメハメハ産駒ー得意コース

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ここでは出走回数100回以上というフィルタリングを掛けて算出しています。

 

どんな条件でも安定して活躍を見せる種牡馬でもあり、その中では出走頭数が少なくなる傾向のある芝中距離で高い数字が残されています。

札幌芝1800mの複勝率は非常に高いのですが、フルゲートの頭数が少ないコースでもあり、多少の補正はあっていいかとも思いますが、回収率自体も非常に高くなっております。

また、中山、京都のダート1800mも得意にしており、センチュリオンの中山ダート1800mでの異様な強さも頷けるところです。

また、札幌芝1800mを除くと全般にローカル開催よりは中央開催の方が好成績を残しているようです。

面白いことに札幌では芝1800mで滅法強い反面で、芝2000mは全然成績を残せていないんですよね。

 

キングカメハメハ産駒ー母の父別成績

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ここも出走頭数が100回を超えるというフィルタリングを掛けています。

 

ご覧の通りでダンシングブレーヴ、フレンチデピュティと好相性で優れた成績を残しています。

因みに圧倒的なシェアを占めているサンデーサイレンスは5000回を超える出走数で29.2%の複勝率となっています。

社台系のサンデー系牝馬と配合されるケースが非常に多いのですが、上位3頭はそうではないのが面白いところですね。

 

軽く前述していますが、リーディングサイアークラスの実績を持つ種牡馬で、これほど多彩な資質を持つ万能種牡馬というのは日本の長い競馬の歴史を見てきても類を見ないほどの存在ですね。

平均以上の瞬発力を持ちながら折り合いがつく産駒ならば中長距離にも難なく対応出来、ダートを得意にする産駒も多数いるようにパワーも十分にある。

基礎スピードも高く、ロードカナロアやルーラーシップ、ドゥラメンテなど世界レベルの能力馬を出しているように爆発力も十分。

正に穴のない種牡馬だと言っていいでしょうね。

その点に於いてはディープインパクトをも凌駕している種牡馬であると言って良いでしょうね。