うまコラ

競馬歴28年の筆者が綴る競馬コラム

種牡馬 ロードカナロア

現役時の実績からも注目を集めていた初年度産駒となる2015年生まれ世代。

この初年度産駒達の中から、ジャパンカップを圧勝し、ドバイターフも制したアーモンドアイを筆頭に、マイルチャンピオンシップを制したステルヴィオ、スプリント界の新星ダノンスマッシュらを出し、華々しい種牡馬デビューとなり、一躍その種付料もディープインパクトに次ぐ1500万円と跳ね上がっています。

 

ここでの紹介はまだ走っている産駒の数も十分に多くないこともあって、しばらく様子を見ていたのですが、今年に入ってもホープフルステークス、皐月賞を制したサートゥルナーリアを始めとして、ファンタジスト、ヴァルディゼール、イベリスと産駒の活躍は留まることなく続いていることもあり、最早避けては通れない存在と見て、ここでも触れてみることにします。

 

そんなロードカナロア、父はこのブログの別記事でも既に触れているキングカメハメハ(父キングマンボ)、母は短距離で準オープンで走っていたストームキャット産駒レディブラッサム。

半兄にオープン特別を制したロードバリオスがいます。

 

デビュー戦で単勝1.2倍に推されているように調教の動きも良い評判馬として早くから注目を集めていた1頭で、この1戦も含めて国内全17戦の内、16戦までもが1番人気に推されることになります。

ただ、この時点ではまだ十分と言えるほど仕上がっておらず、500万下を勝ち上がるのは4戦目でのこと。

オープン特別だった葵ステークスを制した後は、半年間休養に充てられ、鮮烈に復帰したのは11月のこと。

古馬との初対戦となった京洛ステークスを難なく快勝、続く京阪杯でも古馬を相手にいともあっさり重賞制覇し、いよいよ大きな注目を集めるようになります。

シルクロードステークスでも圧倒的人気に応えて楽勝して挑んだ高松宮記念でしたが、カレンチャンの前に生涯唯一連を外す3着に。

その後、函館スプリントステークス、セントウルステークスと続けて2着に敗れ、2番人気で挑むことになったスプリンターズステークスではカレンチャンを一気に交わして待望のG1制覇。

その勢いのまま出走した香港スプリントでしたが、日本馬がこのレースで勝ち負けになったことがなかっただけに伏兵の1頭としての評価でしたが、このレースに於いてもあっさり快勝を収めることに。

ロードカナロアの快進撃は止まることなく、続く高松宮記念はカレンチャンの姿もなく危なげなく勝利、距離の壁に挑戦することになった安田記念では強引なレース振りでスッキリしない走りながらもショウナンマイティらを抑えて優勝。

最早国内スプリント路線に敵無し状態となったロードカナロアはスプリンターズステークスでもハイラップで逃げたハクサンムーンを捉えて連覇を達成。

ラストランが明言されていた香港スプリントは前年とは違い、現地でも大きな人気を集めて注目を浴びながらの出走。

レースでは余裕の手応えのまま、先頭に立つや後続を大きく突き放し、終わってみればスプリント戦では絶対的な差とも言える5馬身差での大楽勝。

 

この日本競馬史上最強のスプリンターが種牡馬入りしてどれほどの活躍を見せてくるのかと只ならぬ注目を集めていましたが、産駒達はその期待をも上回るような走りを見せることになります。

早い時期からダノンスマッシュやアンヴァル、ステルヴィオらが次々にオープン、重賞戦線で頭角を現し、真打はアーモンドアイの登場。

牝馬3冠を制し、ジャパンカップでの圧勝で距離に対する融通が利くところまで見せた同馬はドバイターフでもあっさり優勝し、現時点ではエネイブルと並んで凱旋門賞の1番人気を争うまでの走りを見せています。

アーモンドアイだけではなく、2年目産駒からはサートゥルナーリアが無敗のまま、ホープフルステークス、皐月賞とG1連勝するなどしており、ポストディープインパクトに最も近い存在として、種牡馬としても歴史にその名を残そうとしています。

 

自身はスプリント戦で破格のスピードを見せていた馬でしたが、血統的にはキングカメハメハ×ストームキャットと決してスプリント戦に特化するようなものではなく、産駒達も豊かなスピードは持ちながらもマイルまでは問題なくこなす産駒が多いようです。

サンデーサイレンスの血を全く持っていない馬でもあり、サンデーサイレンスの血を持つ牝馬と配合しやすいこと、仕上がりの早さとスピードを併せ持つことなどもあり、今後も種牡馬としての需要は非常に大きくなるものと思われるロードカナロア。

2020年代を背負って立つ種牡馬となっていくのでしょうか。

 

では、ここでロードカナロア産駒の特色を見ていくことにしましょう。

 

ロードカナロア産駒ー距離適性・芝

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まだ5歳以上の産駒がいない、ということはあるのですが、全体に優れた好走率を残しています。

で、肝心の距離適性ですが、最も優れているのはスプリントのカテゴリーにはなりますが、マイルまではほぼ問題なく走ってきていることも窺える数字となっています。

これが1700m以上の中距離となると幾分パフォーマンスは落ちているのですが、それでも29%の複勝率を残しているように「ダメ」ではないと言っていいかと思います。

2000mを超えたレースについては現時点に於いてはまだ20回しか走っていないのでその可否を問うのは難しいかとは思いますが、裏を返せばそうした距離に使われていないということでもあり、少なくとも調教師達の多くは長い距離についてはあまり肯定的ではないようです。

 

ではダートも見ていきましょう。

 

ロードカナロア産駒ー距離適性・ダート

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この表を見比べてみてもわかるように芝と比較してダートは使われる回数自体も4割程度になっており、「芝種牡馬」としてのイメージをロードカナロアに持っている方もいるかと思いますが、ダートでの複勝率を見てもわかるように芝と殆ど変わらないくらいの数字を残しています。

現時点での活躍馬が芝に集中しているということもあってそうしたイメージが先行しているのかもしれませんが、ダートも得意にしているキングカメハメハをストームキャットの肌に付けた配合ですから、産駒達がダートで走って何ら不思議ではないんですけどね。

その内にダートでの活躍馬も出てくると思います。

 

では、重馬場ではどうでしょうか。

 

ロードカナロア産駒ー馬場状態別成績・芝

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良馬場時よりも幾分やや重馬場の方が良い傾向は出ているのですが、何せまだ参考とすべきデータが少ないだけに断言まではしにくいところです。

少なくとも多少渋った馬場だと全然こなせない、ということはないでしょうね。

 

さらにデータは少なくなるのですが、ダートも見てみましょう。

 

ロードカナロア産駒ー馬場状態別成績・ダート

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前述しているように出走数が少ないだけに判断が難しいところではありますが、複勝率を見てみると似たような数字が並んでいます。

とりあえず馬場状態で大きな影響を受けなさそう、といったところでしょうか。

 

得意コースも見ていきましょう。

 

ロードカナロア産駒ー得意コース

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ここでは出走回数20回というフィルタリングを行っています。

正直、20回程度の出走で適性の有無を判断するのは難しいのですが、ご覧の通りの成績となっており、直線の長いコースで好成績を残す傾向が出ています。

尚、まるっきり結果が出ていないのが阪神ダート1800m。

平均着順は8.9着となっています。

 

で、いつもならここで好成績を残している母の父について触れるところですが、今回は出走回数の少なさから割愛しようかと思います。

いつか再びロードカナロアについて触れる時に改めてデータとして出していこうかと思います。

 

アーモンドアイ、サートゥルナーリアを出し、他にも次々に活躍馬を出してきたことで種付料は1500万円と初期のサンデーサイレンス並みに跳ね上がり、更にディープインパクト、キングカメハメハが体調不良により種付けが少なくなった今年は、配合されている牝馬の質は大幅に強化されています。

この千載一遇のチャンスをものにしてリーディングサイアーに駆け上がっていくのか、実に楽しみな存在でもありますね。

日本では長らく中長距離に偏重してきており、芝中距離では世界的に見てもトップクラスの層の厚さを誇っている反面で、マイル以下の距離については明らかにレベル的に見劣るだけにこの馬の存在がそうした偏重に一石を投じることになるのか注目していきたいところです。