種牡馬 ヴィクトワールピサ
ここまで昨年の種牡馬リーディング14位まで掲載してきましたが、今回はリーディング18位となったヴィクトワールピサを紹介します。
血統
父は皐月賞、日本ダービーのクラシック2冠を制したネオユニヴァース(父サンデーサイレンス)、母はフランスやイギリスの重賞を制し、G1でも善戦していたホワイトウォーターアフェア(父マキアヴェリアン)。
半兄に安田記念を制したアサクサデンエン(父シングスピール)、天皇賞(秋)2着のスウィフトカレント(父サンデーサイレンス)を持つ良血馬。
サンデーサイレンス系ながらも全体に欧州色の濃い血統となっており、凱旋門賞に挑んだのも頷ける血統となっています。
経歴
デビュー戦では後のジャパンカップ勝ち馬ローズキングダムに敗れるも、次走にあっさり勝ち上がり、その後はラジオNIKKEI杯2歳ステークス、弥生賞と連勝劇は続いていくことになり、皐月賞では1番人気に応えて最内からスルスルと抜け出して優勝し、その連勝を5にまで伸ばす。
日本ダービーでも当然のように1番人気に推されるも前を行くエイシンフラッシュ、ローズキングダムを捉える事が出来ずに3着。
その後、凱旋門賞を目指して渡仏。前哨戦となるニエル賞では4着、本番の凱旋門賞では上位からはやや離されての7着に終わることに。
帰国後にはジャパンカップに出走し、またしてもローズキングダムに敗れての3着。
暮れの有馬記念では積極的に仕掛けて人気のブエナビスタの猛追を僅かに凌いで優勝、2つ目のG1を奪取し、最優秀3歳牡馬のタイトルも獲得。
翌年はドバイワールドカップを目指すことになり、前哨戦として出走した中山記念ではモノの違いを見せつけるような走りで圧勝。
オールウェザー馬場で行われていたドバイワールドカップでは序盤は後方から進める展開ながらもペースが遅いと見たデムーロが向正面でスパートして一気に先団に進出。
直線ではトランセンドとも激しい叩き合いとなり、これを振り切り優勝。
日本馬として史上初のドバイワールドカップ制覇を成し遂げ、東日本大震災の影響を色濃く残す日本へと最高の感動を送ることになる。
その後はアクシデントなどもあり、2回出走するもいずれも惨敗して引退、種牡馬入り。
種牡馬としては初年度より桜花賞を制したジュエラーを出し、その後もウィクトーリアなど数頭の重賞勝ち馬をを出すなどの活躍を見せている。
ではここからは産駒の傾向を見ていきましょう。
データは産駒のデビューから2019年5月一杯となっています。
ヴィクトワールピサ産駒ー距離適性・芝
現役時代はミドルディスタンスで活躍を見せたヴィクトワールピサですが、産駒達は1400~2000mあたりで好成績を挙げています。
その中でも最も強さを見せているのは1800mとなっています。
短距離に関しては牡馬と牝馬で違いが現れており、牡馬はそう出走数は多くないものの好成績を挙げている一方で、牝馬はイマイチと一般的な傾向とは違いが出ています。
ヴィクトワールピサ産駒ー距離適性・ダート
芝と比較すると勝率、複勝率は低くなっています。
中距離に好績が集まっていた芝とは違い、ダートはどの距離でも似たような成績が並んでいます。
また、芝と同様に短距離では牡馬が好成績を挙げているのに対して牝馬はイマイチな成績となっています。
自身はドバイワールドカップを制していますが、当時はこのレースはダートではなくタペタと呼ばれるオールウェザー馬場で行われており、決してダートは向いているわけではないようです。
ヴィクトワールピサ産駒ー馬場状態別成績・芝
ご覧の通り、馬場状態が変わっても複勝率には殆ど差がありません。
ただ、ここでも牡牝の違いがあり、牡馬は馬場が渋っている方が成績が良化する傾向があるのですが、牝馬は馬場が渋ると成績が落ちる傾向があり、双方合わせると「差があまりない」となっています。
ヴィクトワールピサ産駒ー馬場状態別成績・ダート
何故だかわかりませんが、稍重馬場の成績が良馬場、重馬場に比べて劣る成績となっています。尚、この傾向は牡牝共に同じですね。
まあ、それほど出走数が多いわけでもないのであまり囚われな過ぎないようにした方がいいのかもしれません。
ヴィクトワールピサ産駒ー得意コース
ここでは出走回数40回以上のコース25コースの上位10位までを掲載しています。
1800mのコースが5つもランクイン。先程も触れてはいましたが、やはり1800mで滅法強い事が窺えます。
まだ若い種牡馬といったこともあり、データの母数自体があまり多くはないだけに信頼性は決して高くはないのですが、1800mが得意なことは間違いないと言っていいかと思います。
他のコースを見ても中距離を特に得意にしていることがわかりますね。
ヴィクトワールピサ産駒ー母の父別成績
ここでは出走回数30回以上のフィルタリングを掛けて残った上位の10頭を掲載。
絶対数がそれほど多くないので参考程度のデータにはなりますが、ノーザンダンサー系の種牡馬の名が上位に多くなっています。
尚、代表産駒のジュエラーの母の父はピストレブルーとなっています。
現役時には500キロを優に超える馬体ながら器用なレース運びを見せていたヴィクトワールピサですが、種牡馬としては中距離での強さが目立つ成績を残しています。
競走馬としては走ったその殆どが2000m以上の距離でしたが、唯一走った1800mの中山記念では驚く程の強さを見せて圧勝しているように、その本質は意外と1800にあったのかもしれませんね。
社台スタリオンステーションの種牡馬はピークを過ぎたと見られる種牡馬や大きな見込みがないと見られる種牡馬はブリーダーズスタリオンステーションへと行くことが少なくないのですが、この馬は比較的早くしてこの牧場へと移籍してしまいました。
しかし、種牡馬ランキング自体は10位台をしっかりキープしていますし、輸出された産駒の中にはドイツで重賞を制した馬も出ており、決して侮れないだけの成績を残しているだけに今後も十分に有力馬が出てくる下地はあるように思いますね。