うまコラ

競馬歴28年の筆者が綴る競馬コラム

キングカメハメハ種牡馬引退

報道されているようにキングカメハメハが種牡馬を引退することが明らかになりました。

 

キングカメハメハは現在18歳。

父は世界各国で活躍馬を出したキングマンボ(その父ミスタープロスペクター)。

母はマンファス(その父ラストタイクーン)という血統。

現役時は2004年のNHKマイルカップ、日本ダービーを制するなど8戦7勝。

故障のため、早期に引退し、4歳春より種牡馬となっています。

 

マイルのNHKマイルカップで圧倒的な強さを見せながら日本ダービーでも厳しい流れの中、ハーツクライらを完封し、高いスタミナをも感じさせる並々ならぬポテンシャルを感じさせていたこと、その血統内にミスタープロスペクター以外の主流血脈を持っていないことから非常に高い評価を得ての種牡馬入りでした。

 

産駒がデビューするや芝、ダート、更には距離をも問わないオールマイティー振りを存分に発揮。

次々に活躍馬を送り出し、2年連続でのリーディングサイアーに輝き、日本を代表する大種牡馬としての地位を築くに至ります。

 

種牡馬入りしてしばらくは毎年200頭を大きく超える種付けを行い、多数の産駒を競馬場へと送り出し、またその産駒達も丈夫な馬達が少なくなく、早い時期から活躍しながら高齢になるまでタフに走り続ける産駒も多数出してきていました。

 

大物も多数出してきており、牝馬3冠を制したアパパネ、スプリンターとして世界最高クラスの評価を受けたロードカナロア、クラシック2冠を制したドゥラメンテ、クイーンエリザベス2世カップを圧勝したルーラーシップ、ダート界の大レースを席巻したホッコータルマエ、ダービーや天皇賞を制したレイデオロ、宝塚記念や天皇賞を制したラブリーデイなど枚挙に暇がありません。

 

また、その中からロードカナロアは種牡馬としても非常に優秀で既にアーモンドアイやサートゥルナーリアなどを送り出しており、次代のリーディングサイアー候補とまで言われています。

ルーラーシップも自身のG1勝ちは1つだけながらもキセキなど活躍馬を次々に出してきており、リーディング上位に入ってきています。

今後はこれらにドゥラメンテの産駒がデビューを控えていますし、現役のレイデオロもサンデーサイレンスの血を持っておらず、種牡馬としての期待は十分に感じられます。

 

そんなキングカメハメハですが、近年は体調が思わしくないことが多くなり、種付けも大きく減少していました。

今年は種付けを行っておらず、依然として体調が思わしくないことも鑑み、この度種牡馬引退となったようです。

 

ノーザンファーム代表の吉田勝己氏によると既に視力も失ってきていることなどが語られ、既に18歳と決して若くはない年齢であることを考慮され、引退する運びとなったそうです。

 

これにより今年生まれた世代がラストクロップとなります。

ただ、昨年も種付けはあまり行っておらず、今年の産駒も少ないものとなっています。

今後は徐々にその産駒達も減っていくことになりそうです。

 

この馬の登場により、日本の血統地図が大きく変わったのは確かで、それまで日本ではそれほどミスタープロスペクター系は活躍出来ていませんでした。

基本的にミスプロ系は非凡なスピードと共にダート向きのパワーが身上でもあり、芝中距離に重きを置く日本競馬ではダート短距離戦向きの種牡馬はそれほど需要も大きくはないことからこの系統はそのシェアは決して高いものではありませんでした。

しかし、芝中距離で活躍したキングカメハメハの登場により、日本に於けるミスプロ系は一躍主流血脈へと躍進することになりました。

ロードカナロア、ルーラーシップ、ドゥラメンテなどの若い種牡馬もおり、今後もその勢いは続いていきそうです。

 

種牡馬の中にはミスタープロスペクターやブライアンズタイムのように20歳を過ぎてもタフに種付けをこなし、長きに渡って産駒を送り出してくる馬も中にはいますが、一般的には18歳は種牡馬としては決して若くはない年齢でもあり、加えて体調が良くないとなれば引退もやむを得ないでしょう。

 

今後は社台スタリオンステーションで功労馬として引き続き繋養される見通しとのことです。