いざ凱旋門賞!2019
10月6日にフランス、パリロンシャン競馬場にて凱旋門賞が行われます。
今年はブラストワンピース、フィエールマン、キセキの3頭が日本より遠征、出走を予定しています。
また、欧州で転戦を続けているディアドラも出走の公算もあるとのことです。
ここでは本年の凱旋門賞について触れていこうと思います。
凱旋門賞
正式名称 Prix de l`Arc de Triomphe
フランス パリロンシャン競馬場 右回り芝2400m G1
1着賞金 2,857,000ユーロ(日本円で約3億3600万円)
賞金総額 5,000,000ユーロ(日本円で約5億8900万円)
出走条件 3歳以上牡馬、牝馬
負担重量 3歳56.5㎏ 4歳59.5㎏ 牝馬1.5㎏減
1920年、第一次世界大戦による競馬産業の衰退を招いていたフランスに於いて創設されたレースで第二次世界大戦後には世界最高額賞金を誇るレースに成長、その注目を大きく集め、今や欧州競馬最高峰のレースとして長年に渡って君臨し続けるレース。
これまでに97回開催された凱旋門賞ではその全てで欧州調教馬が優勝しており、北米、南米、豪州、日本など他地域の調教馬が優勝してことは一度もなく、他地域調教馬の最高着順はバルメリーノ、エルコンドルパサー、ナカヤマフェスタ、オルフェーヴル(2回)の2着となっている。
凱旋門賞が行われるパリロンシャン競馬場芝2400mのコースが上記の通りとなります。
「つ」の字を描くようなコースでスタートからは約900mのバックストレッチを進みながら傾斜を登りながらやや急なコーナーを迎えます。
下り勾配を走りながら約250mのフォルスストレートへと向かいます。勾配によりスピードが付きやすいこの位置で脚を使ってしまっては長い直線で脚が持たなくなるため、ここで各騎手達の技量が問われることになります。
直線は約530m。東京競馬場の芝コースの直線に近い長さとなります。
かつては3歳馬と古馬との斤量差が5㎏あったため、3歳馬が非常に強さを見せるレースとしても有名でしたが、今ではその斤量差も3㎏に変わり、近年では3歳馬と古馬が互角の勝負を繰り広げています。
参戦日本馬
今年は前述したようにブラストワンピース、フィエールマン、キセキの3頭が出走を予定、ディアドラにも参戦の可能性がある状況となっています。
これまでスピードシンボリの参戦以来50年間で21頭、23回の日本馬の出走がありましたが、結果は0-4-0-19となっています。
あのディープインパクト、オルフェーヴル、エルコンドルパサーといった日本の至宝と言える存在ですら勝つことは叶わなかった凱旋門賞。
今年、新たな時代の扉が開かれることになるのか、来年以降も夢を追い続けることになるのか…。
フィエールマン
牡4 7戦4勝 C・ルメール
父 ディープインパクト
母 リュヌドール(その父グリーンチューン)
昨年の菊花賞を僅か3戦のキャリアで制覇。翌春の天皇賞(春)ではグローリーヴェイズとの壮絶な叩き合いを制し、6戦のキャリアでG1で2勝目を飾る日本最強ステイヤー。
母リュヌドールは2004年のジャパンカップに参戦して7着の実力馬。母系は非常に欧州色の濃い血統の持ち主で、ディープインパクト産駒らしからぬ豊かな持久力を持ち味としている。
前走の札幌記念では脚を余し気味になる形でブラストワンピースの3着。
ブラストワンピース
牡4 10戦6勝 川田将雅
父 ハービンジャー
母 ツルマルワンピース(その父キングカメハメハ)
菊花賞では1番人気に推されるもフィエールマンの4着。続く有馬記念ではクラシックでの鬱憤を晴らすようにレイデオロを破って優勝。その後2戦では物足りない走りを見せるものの、前哨戦に選んだ札幌記念では会心のレース運びでフィエールマンらを破って優勝。血統的にも父のハービンジャーだけでなく母系にもキングマンボ、ラストタイクーン、エルグランセニョールなど欧州で実績を残した馬の名も多い。
キセキ
牡5 18戦4勝 C・スミヨン
父 ルーラーシップ
母 ブリッツフィナーレ(その父ディープインパクト)
極悪馬場で行われた一昨年の菊花賞の覇者。翌春は不調に陥るも秋に積極策に活路を見出して本格化。天皇賞(秋)で3着すると続くジャパンカップでは11秒台のラップを刻み続けてアーモンドアイの世界レコード勝ちを後押しさせる2着。今年も大阪杯、宝塚記念と続けて2着しており、その力を見せ続けている。
前走はロンシャンのG2フォワ賞で4頭立てでヴァルトガイストの3着と完敗。
血統的には日本色がやや強めの血統となっています。
ディアドラ
牝5 26戦8勝 O・マーフィー
父 ハービンジャー
母 ライツェント(その父スペシャルウィーク)
レースにガンガン使われながら力をつけ、秋華賞を14戦目で制覇。4歳時はドバイターフで3着、香港カップで2着と海外のトップクラスを相手に善戦。5歳になった今年は中山記念以後、長期の海外転戦を決行。ドバイターフで4着し、夏のナッソーステークスでは見事に優勝、2つ目のG1制覇を成し遂げ、前走の愛チャンピオンステークスでも前が詰まりながらもゴール前で強烈な末脚で4着まで追い上げている。
名牝ソニックレディの曾孫であり、父にハービンジャーを持ち、何より自身が欧州のレースで結果を出しており、適性自体は他の日本馬に一歩リードしている印象。
有力各馬
ここでは何といっても最強女王エネイブルの存在なくしては語れないでしょう。
前人未踏の凱旋門賞3連覇は現実のものとなるのでしょうか。
エネイブル
牝5 14戦13勝 L・デットーリ
父 ナサニエル
母父 サドラーズウェルズ
デビュー2戦目に3着に敗れて以降2年半もの間、無敵の12連勝中。その間にG1レースを10勝。凱旋門賞、キングジョージを連覇し、昨年のブリーダーズカップターフも制しているなど、欧州のクラシックディスタンス路線に於いては史上最高の実績を残した伝説の名馬だと言って良いでしょう。
桁外れの持久力を誇り、これまでレースで失速したことは1度も見せていません。
まともに考えればこの馬が凱旋門賞3連覇を成し遂げる可能性は極めて高いと言えるでしょう。
ジャパン
牡3 8戦5勝 R・ムーア
父 ガリレオ
母父 デインヒル
英ダービーでは8番人気ながら3着と善戦すると、そこからムーアに鞍上が変わってからはパリ大賞、インターナショナルステークスを含む3連勝。特にインターナショナルステークスでは欧州最強牡馬と言われていたクリスタルオーシャンを破っており、欧州最強の3歳馬との評価も少なくない。
今回も多頭出しでレースをコントロールしてくるオブライエン勢の筆頭格。
ガイヤース
牡4 7戦5勝 W・ビュイック
父 ドバウィ
母父 ガリレオ
3歳時に1戦のみ、4歳秋にして7戦となかなか使い込めずにいた同馬ですが、ドイツのバーデン大賞で何と14馬身もの歴史的大差で大楽勝。一躍ダークホースの1頭として浮上してきています。
ここまで一流どころとの対戦が殆どなく、力関係を探るのが難しいもののかなりの持久力を内在している可能性は高いでしょう。
マジカル
牝4 19戦8勝
父 ガリレオ
母父 ピヴォタル
2歳時よりG1戦線で活躍しているものの、この馬の真価が発揮されたのは昨年の凱旋門賞で大敗して以後。強行軍で英チャンピオンズフィリーズ&メアズステークスで初G1制覇を飾るや、アメリカに遠征して挑んだブリーダーズカップターフではエネイブルの2着。今年に入り7戦して4勝2着3回と安定した走りを見せ、前走愛チャンピオンズステークスでも完勝し、G1で3勝目を挙げており、世界最高クラスの実力を示し続けている。
ヴァルトガイスト
牡5 20戦8勝 P・ブドー
父 ガリレオ
母父 モンズーン
地元フランスの雄。2歳時からG1を制するなどの活躍は見せていたが、その実力は古馬になってから真価を発揮。サンクルー大賞、ガネー賞と合わせてG1を3勝。
昨年の凱旋門賞では4着、今年のキングジョージで3着とトップクラス相手にも常に実力を示し続けており、ここまでの20戦で掲示板を外したことは1度もない堅実派。
前走フォワ賞ではキセキらに完勝を収めている。
ソットサス
牡3 6戦4勝 C・デムーロ
父 シヨウニ
母父 ガリレオ
今年のフランスダービー馬。父シヨウニがマイラーということで距離適性が問われていたが、前走のニエル賞ではロンシャンの2400mを制して距離への不安を払拭しています。現時点でフランス国内で同世代との対戦しかなく、他国、他世代との力関係は依然としてはっきりとしておらず。
鞍上は日本でもお馴染みC・デムーロ。
個人的見解
正直、エネイブルの牙城を崩すのは並大抵のことではないと見ています。
これまでどんな相手にもキッチリとゴール前に差し切る、押し切るレースを見せており、その死角は少ないと言わざるを得ないと見ています。
逆転の可能性を持つのはジャパン、ソットサス、ガイヤース、マジカルまでと見ます。
尚、期待が掛かる日本馬についてですが、最も可能性を感じるのはフィエールマン。
札幌記念では敗れましたが、能力を出し切った感はなく、内容的には決して悪いものではありませんでした。
一方、有馬記念馬ブラストワンピースですが、札幌記念は鞍上が上手く乗りこなした印象で、スケール感はそれほど感じませんでした。
国内のG1ならばチャンスもあるかもしれませんが、ここでは厳しいと見ています。
キセキですが、これは恐らく通用しないと見ています。
フォワ賞で通用出来なかった馬が本番で逆転するのはほぼ不可能と思われます。