2020年 新種牡馬紹介①
早いものでまた新たな世代がターフへと姿を現します。
ここでは2020年に初年度産駒がデビューを迎える新種牡馬について触れてみましょう。
ドゥラメンテ
父 キングカメハメハ
9戦5勝 登録産駒数 189頭
2020年に初年度産駒がデビューを迎える新種牡馬の中でも間違いなく最も大きな注目を集めているのがこのドゥラメンテ。
現役時は皐月賞、ダービーを圧巻の強さで制した名馬で近年のクラシック戦線で活躍した馬の中でも極めて高い評価を受けています。
ロードカナロアと並んでキングカメハメハの代表産駒と言って良いでしょう。
自身の卓越した競走能力もさることながら世界レベルと言える超良血馬で、母はエリザベス女王杯を制したアドマイヤグルーヴ、祖母は90年代の日本を代表する名牝エアグルーヴ。曾祖母はオークス馬ダイナカールで4代続けてG1を制するという離れ業を実現させています。
この一族は繁殖成績も非常に優れており、既に種牡馬として活躍を見せるルーラーシップはドゥラメンテの叔父に当たり、血統構成も父が同じで非常に近くなっています。
馬産地での評判が滅法良く、産駒デビュー前ながらその期待は高まっています。
ノーザンテースト→トニービン→サンデーサイレンス→キングカメハメハと社台グループの歴史を作ってきた大種牡馬の血が代々重ねられています。
父キングカメハメハは芝ダート不問の種牡馬でしたが、同馬は体系や母系の血筋から芝向きな産駒が多くなるのではないかと見ています。距離的には1800~2400mあたりに適性を持つと見ており、気性次第では長い距離もこなしてくると思います。
早い時期から走る産駒も少なからず出てくるとは思いますが、本領を発揮してくるのはクラシックシーズン以降になる産駒も多数出るものと思います。
モーリス
18戦11勝 登録産駒数 176頭
ドゥラメンテが非常に大きな期待を受けてはいますが、現役時の実績に於いてはこのモーリスに分があると言えます。
3歳春までは目立つ走りは見せてはいませんでしたが、半年の休養を経て馬が激変。
復帰後は連戦連勝でG1での4連勝を含む7連勝、最終的には日本でG1を3勝、香港でもG1を3勝し、歴史に残る名馬の1頭としてその名を轟かせることになります。
ただ、種牡馬としての可能性としては未知数の部分も。
父スクリーンヒーローはジャパンカップなどを制した名馬ですが、種牡馬としては数頭の重賞クラスを送り出すレベルで近年では少なくなってきているロベルトの系統の種牡馬。
母メジロフランシスは重賞4勝を挙げたメジロモントレーと凱旋門賞馬カーネギーを父に持つ血統で現役時は未勝利。他に際立つ成績を残す産駒は出していません。
決して悪いという程の血統ではありませんが、良血というにはちょっと足りない印象ですね。
また、自身が力を付けたのは4歳になってからですし、父母とも早い時期から活躍した馬ではなく、仕上がりの早さに於いては怪しいところです。
父スクリーンヒーローは芝中距離に適性を持つ産駒が多く、母は中長距離で活躍したモガミ産駒メジロモントレーに凱旋門賞馬カーネギーという血統だけに内在するスタミナは少なからずありそうです。
自身はマイル~2000mまでで活躍していますが、産駒の適性距離の幅は広いのではないかと見ています。
リオンディーズ
父 キングカメハメハ
5戦2勝 産駒登録数 133頭
血統という面に於いてはドゥラメンテに勝るとも劣らないのがリオンディーズ。
新馬戦勝ち直後に挑んだ朝日杯フューチュリティステークスでは抜け出したエアスピネルを一瞬にして差し切って見せています。
その後、3戦は勝利を掴むことなく故障で早期に引退してしまうのですが、並々ならぬ素質を感じさせていた馬でした。
母はアメリカンオークスを圧勝したシーザリオを持ち、ジャパンカップなどを制し種牡馬としても活躍するエピファネイア、皐月賞などを制したサートゥルナーリアを兄弟に持つ超良血馬です。
この母系の特色としては凄まじいパワーを持つ馬が多く、気性的に難しい面があり、折り合いに苦労することが少なくないのですが、同馬もそうした面を持ち合わせていました。
2歳マイルG1の勝ち馬ではありますが、決してスピードに偏ったタイプではなく、本質的には中距離向きの種牡馬となるのではないかと見ています。
余談ですが、同馬の半弟で今年2歳を迎えるルペルカーリアという馬が実は新種牡馬のライバルでもあるモーリスの産駒だったりします。
アジアエクスプレス
父 ヘニーヒューズ
母 ランニングボブキャッツ(その父ランニングスタッグ)
12戦4勝 産駒登録数 118頭
ダートでデビューし、圧巻の内容で2連勝後に芝の朝日杯フューチュリティステークスへと出走、鋭い末脚を繰り出して見事優勝。皐月賞後には再びダート路線へと戻り、レパードステークスを制するなどの活躍を見せている。
父ヘニーヒューズはダート短距離をメインに多数の活躍馬を出しているストームキャット系種牡馬でアメリカでは伝説的な成績を収めたビホルダーを出しています。
母の父ランニングスタッグはアメリカのダート戦線を主にG2勝ちなどの実績があり、芝の香港カップでも2着の実績を持つカロ系種牡馬。
決してメジャーな血統でもないのですが、仕上がりの早さ、スピードオンリーではなく、芝でも十分に重賞レベルの走りも見せており、血統的にも今の日本の主流血脈を持たないことなどもあり、多くの牝馬を集めている。
恐らく本質的にはダートマイルくらいがベストの産駒が多くなるものと思われます。
適性を考えれば恐らく地方競馬で走る産駒が多くなるものと思われるが、中には芝でも結果を残す産駒も現れると感じます。