2020年 新種牡馬紹介②
ここでも2020年に初年度産駒がデビューを迎える新種牡馬を取り上げていきましょう。
ホッコータルマエ
父 キングカメハメハ
母 マダムチェロキー(その父チェロキーラン)
39戦17勝 産駒登録数 110頭
3歳春以降に急激に力をつけ続け、JCダートでは3着。4歳になって以降はその素質が本格的に開花し、その殆どが地方のレースとは言えG1で計10勝を挙げ、10億円以上を稼ぎ出すダート界の王者へと昇り詰める。ドバイワールドカップには3度挑むも5着が最高成績となっている。全39戦がダートで芝は未経験。
父のキングカメハメハの産駒は多彩で芝、ダート、距離を問わず活躍馬を出しており、母系の特色を上手く引き出すケースが多くなっています。
母の父チェロキーランはブラッシンググルーム系のパワー系種牡馬。BCスプリントを制していますが、決して短距離馬ではなくプリークネスステークスでも2着などの実績もあります。産駒は主に仕上がり早のダートマイラーを出しています。
今年、これでもかとばかりに出てくるキングカメハメハ産駒種牡馬の1頭ですが、血統的にもメインの舞台は地方競馬になりそう。
中距離向きで課題となるのはスピードか。地方は短距離レースが多いだけに絶対的なスピードがどこまであるかが活躍のカギとなるか。
マクフィ
父 ドバウィ
母 デヘラール(その父グリーンデザート)
6戦4勝 産駒登録数 102頭
イギリス2000ギニーで断然人気のセントニコラスアビーを降し、夏のジャックルマロワ賞ではマイルの女帝ゴルディコヴァを差し切って勝利するなどの活躍を見せている。
3歳で引退し、種牡馬入りし6年間はシャトル種牡馬としてフランス、ニュージーランドで供用されており、既にフォレ賞を制したメイクビリーヴなどのG1勝ち馬を出している。
父ドバウィは欧州では最高クラスの名種牡馬として名を馳せているミスタープロスペクター系種牡馬で、マイル前後に適性を持つ馬が多いものの中距離以上に適応する産駒も出している。
母の父グリーンデザートはダンジグ産駒の名種牡馬。スプリント色が強いが、中にはマイル以上にも対応する産駒も出ており、スピードと重い馬場に対する適性の高い配合と言える。尚、従姉には日本で活躍したケープリズバーンがいる。
ドバウィ産駒は高額でなかなか日本には輸入されていないが、欧州のスピード系種牡馬としては最高クラスと評されており、その血を評価されて日本軽種馬協会が購入に至っています。
産駒の適性としては芝1400~1600あたりがメインになろうかと。血統的には欧州色がかなり強いだけに日本の高速馬場にどこまで適応出来るかがポイントでしょう。
ラブリーデイ
父 キングカメハメハ
母 ポップコーンジャズ(その父ダンスインザダーク)
33戦9勝 産駒登録数 101頭
2歳時からオープン勝ちするなどしていたものの、その後も徐々に成長を見せて5歳時の中山金杯で初重賞制覇。同年夏の鳴尾記念を制して以降、宝塚記念、京都大賞典、天皇賞(秋)と破竹の連勝劇を見せるなど、2015年を代表する1頭へと成長を見せている。
父はキングカメハメハ。オールラウンダーとして知られる同馬、様々な舞台で活躍する産駒を出してはいますが、メインとなるのは芝中距離馬。そうした意味ではラブリーデイはキングカメハメハ産駒の王道を行くタイプ。
母はダンスインザダーク産駒のポップコーンジャズ。戦績は5戦と少ないながらオークスに出走しているように高い資質を垣間見せていました。
母はノーザンテースト→リアルシャダイ→トニービン→ダンスインザダーク、とスタミナ色の強い血が重ねられており、ラブリーデイ自身も長距離を使われてはいましたが、2000mを最も得意としていました。
社台グループの歴史を語るような種牡馬の血が重ねられたキングカメハメハ産駒と言う意味ではドゥラメンテに通じるところもありますが、こちらはキャリアを重ねながら力をつけていったタイプ。派手さに欠けた部分もあり、種牡馬としてはやや地味な印象は否定できません。
産駒は芝のマイルから中距離がメインになるように感じます。
エイシンヒカリ
母 キャタリナ(その父ストームキャット)
15戦10勝 産駒登録数 53頭
遅い時期のデビューながらいきなり5連勝。初の敗戦後、4歳時に3連勝を挙げ重賞2連勝。暮れの香港カップでは人気薄ながらも鮮やかな逃げ切りで初G1制覇。
翌春にはフランスへと遠征して挑んだイスパーン賞で極悪馬場をものともせず武豊を背に後続に10馬身差をつける大楽勝を挙げ、世界にその名を轟かせている。
父は21世紀の日本最高種牡馬ディープインパクト。抜群の瞬発力と絶対能力の高さでリーディングサイアーを不動のものとしています。
母はストームキャット産駒のキャタリナ。エイシンヒカリ以外にもエイシンティンクルらを出し、孫にはスマイルカナもいる良血馬で、カロやキートゥザミントなどスタミナを内在する血もあり、スピードとスタミナのバランスの取れた配合となっています。
天才的なスピードの持ち主で、マイペースで逃げさせれば手の付けられない強さを発揮した同馬、サイレンススズカを彷彿とさせる走りを見せたこの馬がどのような種牡馬になるのかは注目が集まるところですが、意外にも牝馬の質と数はそれほどでもないのが気に掛かるところ。
産駒は芝のマイルから中距離付近に適性を持ってきそうです。一足早く種牡馬デビューし、活躍を見せるキズナと同じ配合パターンのこの馬ですが、キズナよりやや短めの適性距離となると見ています。