無観客開催の影響を検証する
2月29日より実行されているJRAの無観客開催。
観客がいない中での開催は馬にしてみれば観客に気を取られたり、驚いたりといった可能性を大きく軽減できると思われることから良い影響を与えるのではないかと言われています。
既に一部の報道機関などから1番人気の勝率、複勝率が無観客開催の方が高くなっているとのデータが示されています。
ここではそうしたデータをもう少し深く掘り下げてみます。
尚、データは無観客開催を開催している2月29日以降と2017年から同日までのデータを元に検証を行います。
まず、既に単純に1番人気馬の成績を見てみましょう。
はい、ご覧の通りですが全ての指標に於いて無観客開催の数字が勝っています。
これは既に一部の報道などで示されている通りです。
ただ、「1番人気」というのは実は曖昧なファクターでもあって、単勝1.1倍の有無を言わせぬ圧倒的な人気の馬も4.5倍の馬も同じ「1番人気」として処理されてしまいます。
そこで1番人気というファクターを少し変えてオッズを基準とした数字で検証してみることにします。
ここではそのエリアを少し広げて単勝オッズ10倍以下の馬、いわゆる上位人気の馬について検証を行います。
ん?
勝率、複勝率共に殆ど変わりませんね。
回収率に於いてはむしろ悪いくらいです。
恐らくこれは無観客開催に於ける上位人気馬の好走確率が上がるだろうと判断して馬券を買っている人が少なからずいるだろうという可能性も示唆しています。
では、性別でその差があるのかも検証してみましょう。
一般に牝馬は環境の変化などに敏感だ、などと言われてはいるのですが…
ここでの比較に於いて牡馬の中には騙馬も含んでしまってはいるのですが、牡、牝ともほぼ同じような傾向が見て取れます。
性差については殆ど影響はないと見て良さそうです。
では、オッズに関してもう少し掘り下げてみましょう。
まず無観客開催のデータを。
続いて通常開催のデータを。
尚、前述したように10倍以下の単勝オッズについて検証を行っているので「10.0~14.9」の欄がありますが、これは単勝オッズがちょうど10倍の馬だけの数値となります。
凄くざっくりではありますが、3~5倍程度の単勝オッズがついている馬がやや無観客開催に於いて良好な成績を残してはいるのですが、無観客開催に於いてはそもそもの分母数もそれほど大きなものではないので参考程度…というところでしょうか。
前述してはいますが、この無観客開催での馬の影響を見越して馬券を購入している方も少なからず存在しているものと思われます。
このデータを素直に信じて単勝3~5倍程度の馬に期待を掛けるのも良し、大した差ではないことが確認できたと普段通りの予想スタイルを貫くも良し。
データは所詮ただの数字です。
それをどう使うかは人それぞれです。