うまコラ

競馬歴28年の筆者が綴る競馬コラム

東京芝2400mを検証する

ここではダービーが行われる東京競馬場の芝2400mコースについて検証していきます。

 

そんなのやるならオークスの前にやれよ!って声も聞こえてきそうですが(笑)

 

さてコース検証ですが、ここではダービーについて触れていきたい意図もありますので、検証データについては過去10年間、対象を牡馬に限定して見ていく事にします。

 

では、まずその舞台である東京競馬場の芝2400mコースを見てみることにしましょう。

東京競馬場 コース図

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芝2400mコースはホームストレッチ前、直線の坂の付近からの発走となります。

350m程で1コーナーへと入っていきます。だいたいこの1~2コーナー付近で隊列が固まることが多くなります。バックストレッチ中盤から3コーナー付近に掛けては緩やかな上り傾斜があり、4コーナーに向かって下っていきます。

直線では残り400m手前から残り300mあたりまで約2mの坂を迎え、ゴールへと向かうコースとなっています。

尚、ダービーは最内から6m外に仮柵が設置されたCコースで行われます。

 

馬番別成績

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ご覧の通りですが、基本的には内枠有利であることが見て取れます。

この条件は多頭数になりにくい為、外枠のデータは少ないものとなり、内枠の勝率、複勝率が高くなりやすいことを加味しても人気以上に成績が良くないことからも外目の枠はマイナス要因であると言えるでしょう。

2400mと比較的長い距離のコースで、1コーナーまでは350mとしっかり距離もあって外枠からでも十分に望む位置を取りやすいようにも見えるのですが、そうでもないことがわかります。

尚、偶数番、奇数番の差はほぼありません。

ここで一応、馬番だけではなく枠番毎のデータも見てみます。

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こちらでも6枠より外の枠の成績が明らかに良くないことが見て取れます。

一方で内枠、特に1、2枠の成績が優れています。

 

人気別成績

では、人気別にどのような成績となっているのか見てみましょう。

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単勝30倍を超える人気薄の勝率は0.55%、複勝率は4.51%となっています。

100倍を超える馬に至っては470頭の出走で連対例は0となっており、人気薄の馬が容易に勝ち負けに持ち込むことは難しいことが読み取れます。

今年のダービーはコントレイルが頭1つ抜けた人気でサリオス以外の馬達のオッズは大きく離れたものとなりそうです。

netkeibaの予想オッズ(25日21:45時点)では、30倍を下回るオッズがついているのはコントレイル、サリオス、サトノフラッグ、ワーケアの4頭。

50倍まで多少広げてみると、ガロアクリーク、ヴェルトライゼンデ、アルジャンナまでが該当します。

裏を返すとそれ以外の馬達には厳しいと思われるデータとなります。

 

種牡馬別成績

このコースでの各種牡馬の産駒成績も見てみましょう。

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産駒がダービーを勝ちまくっているようにディープインパクト産駒は流石の成績で複勝率は35.1%を誇ります。

ダービーには人気のコントレイルを始めとしてサトノフラッグ、アルジャンナ、サトノインプレッサ、レクセランスが出走を予定しています。

また、ハーツクライ産駒も非常に優秀で複勝率はディープインパクト産駒を僅かに上回る36%を記録しています。

こちらはサリオス、マイラプソディ、ワーケアの3頭が出走予定となっています。

また、ビターエンダーを送り出すオルフェーヴルは26頭と少ない出走数ながら42.3%と高い複勝率を残しています。

同じ舞台で行われた青葉賞を制したのもオルフェーヴル産駒のオーソリティでした。

皐月賞3着ガロアクリークの父キンシャサノキセキは短距離系種牡馬だけに5回しか出走例はありませんが、平均着順9.6となっていて馬券に絡んだことはありません。

同じく皐月賞で4着のウインカーネリアンの父スクリーンヒーローですが、20回の出走で3連対、複勝率は15.0%となります。

ホープフルステークスで2着したヴェルトライゼンデの父ドリームジャーニーは、7回の出走で複勝率は0となっています。

 

騎手別成績

続いて、同コースに於ける騎手達の成績も見てみましょう。

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コントレイル騎乗の福永騎手は複勝率31.0%。ワグネリアンを見事な騎乗でダービー馬へと導いている同騎手ですが、彼の騎乗馬の質からすればそれほど高い数字ではないですね。

サリオスの鞍上はレーン騎手ですが、昨年からの短期免許での騎乗だけに13回しか騎乗経験がありません。尚、その複勝率は38.5%となっています。

3番人気が予想されているサトノフラッグの鞍上はダービー最多勝を誇る武豊騎手。

この10年で37回の騎乗ですが、意外?にも複勝率は24.3%とあまり良いものではありません。20年前のような騎乗馬の質ではなくなっていますが、それを加味してもやや物足りない印象を受けます。

流石と思わせる成績を残しているのはルメール騎手。関西所属にも関わらず3位の勝利数を誇り、複勝率は驚異の55.6%となっています。複勝回収率の数字も低くはなく、単に騎乗馬の質に恵まれているだけでないことを物語っています。

彼に続く好成績を残しているのが、デムーロ、川田の両騎手。

双方ともトップジョッキーとして知られる立場だけに騎乗馬の質は高いのですが、両名とも複勝回収率も低くはなく、こちらも騎乗馬の質だけで好結果を残しているわけでないと言えそうです。

 

脚質別成績

では前走の脚質を元にどのような成績となっているのか検証してみましょう。

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意外な印象を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、前に行った馬の好成績が見て取れます。

長い直線があるコースだけに後方からの差しが効きそうなイメージがある方もあるかと思われますが、そのイメージ以上にある程度前に行ける馬が好走していることが単勝回収値や複勝回収値が物語っていますし、前走の上がり3ハロンの順位に於いてもそれなりに早い上がりを出せていれば十分勝負になるということが数字にも表れています。

「前有利」というのが近年高速化が進んだ東京競馬場のイメージとして強いかと思いますが、実はこの傾向は近年になって始まったものではなく、随分と昔からこのコースは先行馬が有利になりやすいコースでした。

かつて「ダービーポジション」なる言葉もありましたが、あながちこれも昔の言葉として馬鹿にしたものではないのです。

ただし、このデータは下級条件を含めたものなのでオープン以上の上級条件ではこの数字のイメージよりは差しが決まりやすいことも頭に置いておいても良いかと思います。