遊爺札幌競馬塾

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2020年 ジャパンカップ回顧

日本競馬史上初となる三冠馬が3頭の対決。

100年に1度とさえ言われた空前のビッグカードとなった2020年のジャパンカップ

日本中の競馬ファンがこの世紀の対決に期待し、胸躍らせてきた中でレースは無事に行われました。

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結果的にはファン達が望んでいた期待を裏切らない凄まじい戦いが東京競馬場で繰り広げられることになりました。

得てしてこうしたレースというのは期待を裏切られることが少なくないものですが、見ていた殆どの観客が結果に納得させられるような結末が待っていました。

 

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先入れとなったフランスのウェイトゥパリスがゲート入りを嫌がってスタートが遅れるハプニングはありましたが、幸いに各馬ともゲート入り前で入れ込んだりする馬はなく、何とかウェイトゥパリスがゲート入りしてからはスムーズに各馬ともゲートイン。

 

スタートで大きな出遅れを見せた馬はない中でアーモンドアイが好スタート。

キセキがその前へと進出してきたことろで外からヨシオが接近。トーラスジェミニはハナを奪えずにこれに続き、グローリーヴェイズもこれらに続く形に。

1コーナーでは接近してきたヨシオに並ばれかけてキセキがスピードを落とすことなく加速して単騎逃げの態勢に。

掛かる素振りを見せるキセキを浜中騎手は無理に抑えることはせずに馬に任せて後続をどんどん引き離していく。

2番手以下はこれを追う事をせず、キセキのリードがみるみる広がっていく。

人気のアーモンドアイは5番手の内目を追走。

これを前に見るような形でデアリングタクトやカレンブーケドールが追走、さらに少し後方からコントレイルがそれぞれ馬場の良い位置を追走。

人気の各馬は比較的馬群の前目の位置での追走、人気薄の馬達は後方という形で馬群は縦長の形を形成。

キセキの1000m通過タイムは何と57.9。

2400m戦とは思えない程のハイラップで後続を大きく引き離しての1人旅状態。

先週のマイルチャンピオンシップの1000m通過が58.5ですから如何に強烈なペースが作りあげられたのかが伺い知れます。

3コーナーに向かう時点でキセキのリードはまだ20馬身程。

明らかに早いペースなのは各馬騎乗の騎手達も察知してはいるものの、流石に無視は出来ない相手でもあり、馬群は徐々にペースアップ。

直線に向いてもキセキはまだ大きなリードを残したまま。好位につけていたグローリーヴェイズ、アーモンドアイ、カレンブーケドール、デアリングタクトらが外目に持ち出してこれを追撃、コントレイルも脚を伸ばしてこれに加わってくる。

残り200mを切っても尚、先頭はキセキ。

しかし、150m付近でアーモンドアイが後続をやや引き離して一気に先頭へ。

グローリーヴェイズ、カレンブーケドール、デアリングタクトが脚を伸ばしてくるもアーモンドアイとの差は縮まらず、その3頭の外からコントレイルが差を詰めてくる。

結局、アーモンドアイの脚は止まることなくそのまま押し切り、ラストランで9つ目のG1タイトルを奪取。

外から脚を伸ばしてきたコントレイルが内の3頭を捉えて2着、接戦の3着争いは僅かにデアリングタクトが制し、カレンブーケドールが4着、必死に粘ったグローリーヴェイズが5着。

その後、3馬身離れてワールドプレミアが6着、ミッキースワローが7着。

強烈な逃げ脚を見せたキセキは最後は止まって8着となりました。

 

では、まず200m毎のレースラップを見ていきましょう。

とは言っても2200mの通過タイムまではキセキのものですが。

 

12.7-10.8-11.8-11.3(46.6)

11.3-11.5-11.8-11.9(46.5)

12.1-12.3-13.2-12.3(49.9)

 

前述していますが、とてもクラシックディスタンスのレースのラップではないですね。

キセキに騎乗した浜中騎手は中途半端に抑えても折り合いを欠くだけだと判断したものと思われますが、序盤は掛かる素振りを見せるキセキを馬の意思に任せて逃げさせます。

バックストレッチに入ってもキセキはペースダウンすることなく11秒台のハイラップを刻み続けます。

浜中騎手もバッタリ止まらないように落ち着きを見せたキセキを僅かにペースダウンさせますが、それでも12秒台にまで落とさせません。

追走する各馬もこの猛ラップはわかっているものの、逃げているのが実力馬キセキでもあって離されながらもある程度ついていかなくてはならない展開となっています。

実際、キセキは2000mを1:57.5と天皇賞(秋)にも匹敵するタイムで通過。

この厳しいレースがレースを引き締め、強い馬が実力を出さねば勝てない展開へとなりました。

その激しいレースの中で三冠を制した3頭のそれぞれが能力を見せることになった近年稀に見る次元の高いレースが形成されることになっています。

 

では、上位各馬について触れてみましょう。

 

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1着 アーモンドアイ

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好スタートを決め、馬場の良い外には出さず、内に入れたまま折り合いを取っての追走。早いペースながらも前目でスムーズなレースに終始する形。

直線では馬場状態の良い外へと持ち出し、内目で粘るグローリーヴェイズには瞬時に並べないながらもラスト200を切ってもその脚は衰えを見せることなく、ここで一気に先頭に立ってそのままバテることなく駆け抜けて優勝。

ルメール騎手の馬を強さを信じ切った騎乗に感じられました。

正に王道の走り。ラストランとなるここでもその伝説的な強さを誇示してきました。

戦前より仕上がりの良さが語られていましたが、実際に天皇賞時に見せたパフォーマンスを大きく上回ってきたと感じられます。

このレースに於いては世界最強のパフォーマンスを示したと見ます。

そして騎乗したルメール騎手はアーモンドアイを勝たせるためのベストとも言える騎乗を見せています。

これでは誰も勝てないでしょう。

 

2着 コントレイル

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アーモンドアイが再度衝撃的な強さを示してきたわけですが、この馬もアーモンドアイに肉薄する水準のパフォーマンスを見せています。上位馬の中ではやや後方からの競馬となった同馬でしたが、若干控えた位置取りをしたことで福永騎手が大事に乗り過ぎたとの声も一部に聞かれますが、個人的には少なからず距離不安のある同馬にとってはギリギリの位置取りだったように思います。スタミナが削られる流れの中で、最後までしっかり脚を使ってデアリングタクトらを交わし切って見せました。この馬も間違いなく世界レベルの能力を示しています。着差は1馬身4分の1ついてはいますが、アーモンドアイとの能力自体の差はそこまでは大きくはなかったと感じられます。

総合的には現時点でアーモンドアイと同等レベルの強さは有しているように思われ、中距離に於いては父ディープインパクトに近い領域に達しているかと感じています。

今後さらなる成長があるならば歴代最強クラスに達する可能性を存分に感じさせました。

 

3着 デアリングタクト

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これまで後方からの競馬を繰り返していた同馬でしたが、今回はこれまでにない積極的に前目の位置取り。厳しいペースであってもある程度前に行かなければ勝ち負けにならないとの松山騎手の判断もあったものと思います。勝負所で進路が狭くなる場面もありましたが、最後にはグローリーヴェイズとカレンブーケドールを捻じ伏せるように競り合いを制して3着に。並の年ならば十分に勝てていたものと見ます。

エピファネイア産駒らしく多少力を要する馬場でも問題がないことは改めて証明してきています。

距離的には2000~2400mくらいがベストになりそうです。

 

4着 カレンブーケドール

昨年は2着だった同馬。内枠を利して早めに前目の位置を確保しての競馬。

勝負所ではアーモンドアイ、デアリングタクトらと共に進出し、内のグローリーヴェイズを目標にする形で馬体を併せてスピードの持続力と闘争心を引き出すような形へと持ち込んでいます。鞍上の津村騎手は馬の持ち味を生かしたソツのない騎乗だったと思います。斬れに乏しい面は少なからずあるだけに勝ち味に遅い面は否定できませんが、能力自体はこの強豪メンバーを相手に互角に渡り合っているように間違いなくG1級。

今回のジャパンカップのように瞬発力を求められない流れであれば牡馬相手のG1でも十分に勝ち負け可能と見ます。

 

5着 グローリーヴェイズ

非常に積極的な競馬で勝ちに行きました。道中ではアーモンドアイと同じくらいの位置取りで、勝負所では先行勢の中でも早めに仕掛けて粘り込みを図っています。

高い瞬発力を持つことが多いディープインパクト産駒ですが、同馬はその中ではステイヤー資質が高く、昨年の香港ヴァーズ天皇賞(春)のように他馬がバテて止まっても容易に止まらない持久力を持ち合わせています。その持ち味を生かして勝ちに行った結果がこの走りだったと言って良さそうです。

実際、直線では先行勢で真っ先にキセキに襲い掛かり、アーモンドアイにも容易に離されずに食らいついていきました。やはり2400m以上になれば現役屈指の能力馬だと見て良いでしょう。

 

8着 キセキ

通常、8着馬を取り上げることはありませんが、今回はこの激戦をプロデュースした側面から触れてみます。

戦前から行ければハナへ行くことを示唆していましたが、1コーナー手前でヨシオが果敢に先頭を窺う姿勢を見せるといつものように?スイッチが入ったのか馬が行きたがります。ここで鞍上の浜中騎手は無理に抑えて折り合いを欠くよりは多少無茶でもスムーズに走らせた方が良いと見たようです。ただ、その行く気があまりにも強過ぎたようで、キセキは容易にペースを落とすことなく前半の1200mまで11秒台前半のラップを刻み続けることになりました。このあとは流石に徐々にペースダウンするものの、大きくスピードが落ちることなく2000m通過時点に於いても天皇賞(秋)に匹敵するタイムを計時しています。

他馬も明らかに早いとは知りつつも、それがキセキなだけに脚を溜めての待機は出来ず、ある程度ペースを早めての追走を強いられることになり、結果として強い馬に能力を発揮させる展開へと持ち込むことになりました。

キセキ自身について言及すると、既に6歳となっているこの馬の前進気勢を今更矯正することは恐らく不可能だと思われます。

潜在的には3000m級の距離さえ難なく走れるだけの非常に高い持久力を有していますが、ペースを落として上手く折り合いを付けることが非常に困難なだけに活路を見出すのなら2200~2400mでスピードの持続力と持久力を生かす競馬となるかと思います。

 

この厳しい流れのレースでしたが、怪物級の能力を持つ上位馬はその中でも尚34秒台の上がりを出せる力を有していただけにコントレイルよりも後方に位置していた馬達にはチャンスなどありませんでしたね。