うまコラ

競馬歴28年の筆者が綴る競馬コラム

2020年2歳リーディングサイアーランキング -11月までー

6月にデビューを迎えた2歳戦ですが、12月を迎えて個々の傾向が現れてきています。

2歳リーディングランキングはG1など高額賞金レースがまだいくつも残っているだけにまだまだ上位の順位は変わってくると思われますが、11月まで終えた時点で振り返ってみます。

 

まずは2020年のランキングを見てみましょう。

 

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相変わらずディープインパクト産駒が強く、驚異の複勝率50%をマークしており、今年も順調にトップを走っています。

ただ、全体感として強く感じられるのは若い種牡馬の台頭が著しいことでしょう。

一昨年あたりまでは、ディープインパクトキングカメハメハダイワメジャーハーツクライなどが毎年のように上位に入っていました。

それが昨年から明らかに様相が変わりつつあります。

まず、現時点で2位に期待の新種牡馬ドゥラメンテがランクイン。既に28勝を挙げており、複勝率も32.3%と優秀で、少ない大物で獲得賞金を伸ばしているわけではないのが見て取れます。産駒の多くがマイル以上の距離で使われているように本質的には中距離以上でこその種牡馬だけにこれからクラシック戦線に向かう中で更に活躍馬を出してくる可能性が高いと思われます。

続く僅差の3位にはこちらも新種牡馬のモーリスが入っています。

自身やその父スクリーンヒーロー古馬になってから力をつけて台頭してきた馬だけに早い時期からの活躍に対してはそれほど大きな期待は掛かってはいなかったものの、いざ産駒がデビューしてみると次々に勝ち上がっており、現在早くも26勝。複勝率はドゥラメンテを上回っています。まぐれでこれだけ多くの活躍馬が出るワケもなく、今後も十分に活躍が期待出来ると言って良いでしょう。

種牡馬2頭を追う4位にはキズナ

こちらは2年目の産駒達の成績となりますが、初年度産駒同様にコンスタントに走る産駒を出してきており、既にディープインパクトの有力後継種牡馬としての立ち位置を確固たるものにしつつあります。既にダートで走れる産駒も少なくないことは明らかになっているだけに活躍の場も多く、大物の登場もいずれあることでしょう。

キズナを僅差で追うのがエピファネイア

こちらも2年目の産駒達の成績。初年度にいきなりデアリングタクトという大物を出してきて評価を大きく向上させた種牡馬ですが、他の産駒達も概ね良好な結果を出してきています。キズナよりはムラがある印象ですが、中長距離に適性を持っている産駒も少なくないだけに初年度産駒も含めて今後更に成績を伸ばしてくる可能性も十分にあります。

 

ここまで2~4位の4頭が全て初年度産駒、2年目産駒の若い種牡馬となっています。

彼等4頭の下にいるのが、順にルーラーシップハーツクライロードカナロアダイワメジャーと近年の種牡馬リーディング上位の常連種牡馬となっています。

更に10位にリオンディーズ、11位にミッキーアイル、12位にゴールドシップが続いており、誰の目にも明らかに若い種牡馬の活躍が目立つ状況となっています。

 

通常、初年度の種牡馬の産駒というものは3歳春までに一早く結果を出さなければ種付けの質と量がたちまち低下してしまいますし、結果が出れば一躍人気種牡馬となってくるもので、関係者はなるべく早い仕上げを意識したり、良質な牝馬を付けるなどしてくるために初年度の2歳戦では好結果が出ることが多いものとなっています。

それを加味してもドゥラメンテとモーリスの好結果はかなりのものと言っていいでしょう。

キズナエピファネイアに至っては産駒の質が落ちることの多い2年目の産駒にも関わらず、共に2歳戦を勝ちあがってくる産駒を次々に出してきており、もはや本物と言って良いかと思います。

上記の4頭はいずれも来春の種付料が800万円以上に跳ね上がっているのですが、それにも納得せざるを得ないような期待感を持たせてくれています。

 

この10年くらい、ディープインパクトキングカメハメハがリードしてきた日本の生産界ですが、この両頭が死んでしまった今、新たな時代が訪れようとしていましたが、どうやらその勢いは加速してきそうな雲行きです。

ロードカナロアにしても今の2歳世代はアーモンドアイらが登場する前に種付けされて生まれた世代だけに初年度産駒の活躍を受けて種付けされた来年以降に出てくる産駒の質は確実に上がってきます。

その一方でこれまで長く活躍してきたダイワメジャーハーツクライらがだいぶ高齢になってきており、質、量共に今後は落ちていくものと思われます。

 

2020年度の成績が確定して以降にまた改めてリーディング上位の各種牡馬については触れていこうと思います。

 

余談ですが、ランキング13位のヘニーヒューズ

産駒が1億4522万円を獲得していますが、芝での獲得賞金が何と0円!

全てがダートでのものです。

こちらは決して若い種牡馬というわけではありませんが、ダート戦線に於いては流石に意識していかなければならない成績ですね。