うまコラ

競馬歴28年の筆者が綴る競馬コラム

2020年 有馬記念予想

この1年は正に新型コロナウイルスと共にあったと言っていいでしょう。

2月頃から日本国内でも感染者が次々と現れ出し、3月にはJRAを始めとする各競馬場では無観客開催となりました。

3月末のドバイミーティングではレース直前になって中止となり、アーモンドアイらの馬やがた関係者がただ行って帰ってくるだけの事態に。

以降も国内外で多くの感染者が出てしまい、一部の競馬関係者にも感染が確認され、何度となく開催が危ぶまれました。

それでも日本では競馬開催は続いて行き、その中で史上初となる親子で無敗のクラシック三冠の偉業を達成したコントレイルが現れ、牝馬でも史上初となる無敗の三冠制覇を成し遂げたデアリングタクトが登場、アーモンドアイはこれまで長きに渡って破られることのなかった芝G1戦8勝の壁を破ることになりました。

ジャパンカップではこの競馬史に残る3頭が世紀の対決。100年に1度とさえ言われた名勝負は三冠馬3頭が壮絶な熱戦を繰り広げることになりました。

 

様々な意味で競馬史に残る1年だったと言っても良いこの2020年。

そのトリを飾る有馬記念が27日、中山競馬場で行われます。

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ジャパンカップで世紀の熱戦を演じた三冠馬3頭はこの場にはいません。

アーモンドアイは既に引退式を終え、競走馬登録を抹消されて生まれ故郷の北海道へと帰りました。

コントレイルは有馬記念は自重し、春に備えて休養に入っています。

デアリングタクトも同様に有馬記念を回避、こちらも始動戦を金鯱賞に見据えて休養に入っています。

 

しかし、今年の日本競馬を支えてきた名馬達の多くがここに集結し、有馬記念として十分に相応しい豪華メンバーが揃うことになりました。

 

ここでは各有力馬個々について触れた上で予想していきます。

 

1枠2番 ブラストワンピース 横山武史

一昨年の有馬記念の覇者。それ以降、G1での勝利はありませんがAJCCや札幌記念を制するなどしており、ところどころで力を示しています。

本来、一瞬の斬れで勝負するタイプではなく、冬の力を要する馬場への適性は高い馬で今の中山芝コースは願ってもない好条件なのは確か。しかし春の大阪杯以降は精彩を欠く内容が続いており、何らかの精神的な要因がある可能性も否めない状況。

ただ、元々がいつも安定して走るというタイプでもないので、ここでの大掛けがあっても決して不思議ではない。

 

2枠4番 ラヴズオンリーユー M・デムーロ

昨年、無敗でオークスを制するも以降はなかなか体調が整わなかったこともあり、未勝利。今年はドバイ遠征に挑むもまさかの開催中止でただただ長距離の輸送という負担だけを追ってしまい、上半期はコンディションが整わない状況。前走エリザベス女王杯では僅差の3着となっており、復調気配も窺えるようになってきている。瞬発力に長けたディープ産駒ながらこれまで意外にもそれほど早い上がりは使っておらず、斬れと持続力のバランスタイプであるように思われる。スタミナ勝負となるとやや不安は感じられる。

 

3枠5番 ワールドプレミア 武豊

昨年、菊花賞を制して挑んだ有馬記念では展開が向いた面はあったもののサートゥルナーリアに次ぐ3着。それ以来1年近い間隔を空けて出走したジャパンカップではアーモンドアイから0.8秒差の6着と久々でも力の一端は見せている。ディープインパクト産駒ながら母系にタフな欧州血統を持っており、菊花賞を制した高い持久力と共に力を要する馬場への適性も感じさせる血統を持つ。瞬発力勝負ではやや分が悪いものの、体調と展開次第で十分に争覇圏内だろう。

 

3枠6番 キセキ 浜中俊

前走ジャパンカップではヨシオに競り掛けられて『暴走スイッチ』が入り、まるでマイルG1のような超ハイペースで逃げ、2000mの通過タイムはアーモンドアイが制した天皇賞のタイムを上回るという良くも悪くもキセキらしさが炸裂したレースに。

とにかく掛かり癖、出遅れ癖が酷く、騎手泣かせの馬ではあるが、高い潜在能力を有する事もまた確か。菊花賞を制しているように内在する持久力、スピードの持続力は間違いなくG1レベルのものを持っており、噛み合うことがあれば楽勝すらあり得る1頭。

 

4枠7番 ラッキーライラック 福永祐一

昨年のエリザベス女王杯制覇以降、心身ともに完成された印象で今年も大阪杯エリザベス女王杯をG1を2勝。近年でもトップクラスの実績を重ねた名牝へと成長を見せており、ここに出走する牡馬達との実力差はないと見て良い。本質的には芝中距離で早めの時計が出るような馬場がベストだろうと思われるが、父は有馬記念を8馬身差で制したオルフェーヴル。とは言え、距離適性や持久力に不安もあるだけにある程度瞬発力が生きるような展開と位置取りが望まれよう。

 

5枠9番 クロノジェネシス 北村友一

馬場が渋った宝塚記念では6馬身差の記録的大楽勝。早い馬場状態で行われた天皇賞でも32秒台の上がりを繰り出してアーモンドアイに0.1秒差に迫る3着と高い能力を見せている。

力を要し、時計が掛かりやすい馬場への強さは証明済みで、姉のノームコアも先日の香港カップで並み居る強豪を打ち破っており、欧州色の強いその血統から実際の走りからも力を要する馬場に対するパワーは非常に高い水準だろう。不安があるとするなら高い持久力を求められた時だろうか。

 

5枠10番 カレンブーケドール 池添謙一

昨年のジャパンカップで2着、史上最強メンバーと言われた今年のジャパンカップでもデアリングタクトやグローリーヴェイズと死闘を繰り広げて僅差の4着と改めて高い能力を示している。未だに重賞未勝利であるようにどんな相手にもなかなか勝ちきれない同馬ではありますが、優れたスピードの持続力を持っており、展開、条件を問わずに安定して上位に食い込める能力の高さを兼備しています。血統的には決して長い距離向きではないのですが、ここではどうでしょう。

 

6枠12番 オーソリティ 川田将雅

有馬記念を8馬身差で制したオルフェーヴル有馬記念2勝)を父に、同じく有馬記念を9馬身差(有馬記念2勝)で制したシンボリクリスエスを祖父に持っており(ついでに言えば曽祖父のスペシャルウィーク有馬記念でハナ差2着)、血統的には正に『ザ・有馬記念』の同馬。

青葉賞を制しながら故障し、クラシックは無縁だった同馬ですが復帰戦のアルゼンチン共和国杯ではそれほど高いレベルではないものの古馬を撃破してここへと参戦。

実績的には見劣りする点は否めないもののレースへの適性的には非常に高い可能性を感じさせる1頭。

 

7枠13番 フィエールマン C・ルメール

昨年の有馬記念の4着馬。既に3000m以上のG1を3勝している現役最強ステイヤーとして知られる同馬ですが、休み明けで出走した2000mの天皇賞ではメンバー最速の上がり32.7という末脚を発揮してあわやアーモンドアイを捉えようかという場面まで見せており、単なるステイヤーでないことを証明して見せています。かつ抜群の持久力を有することは今更語る必要もないでしょう。ただ、どちらかと言うとディープインパクト産駒らしく早い時計が出やすい馬場向きであるように感じられます。

不利となりやすい外目の枠だけにルメールの高い水準の手綱捌きも求められます。

 

 

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で、予想ですね。

まず、今の中山競馬場の芝コースですが例年と比較してやや時計が掛かりやすい馬場状態が続いています。

土曜日の馬場状態のチェックは必要かと思われますが、いわゆる高速馬場になる可能性はゼロに近いものと思われます。

先週の開催以降は降水はなく、JRAによる散水だけとなっています。

若干硬めの馬場ながら走路の損傷は内目を中心に出てきており、レコードが出るような馬場にはならないものと思われます。

そのあたりも加味しつつ印を打ってみます。

 

◎ クロノジェネシス

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前述したように力を要する馬場への適性は高く、馬自身も昨年同時期と比較しても明らかに力を付けています。上手く折り合って脚を溜められれば簡単には崩れないものと見ます。

 

○ オーソリティ

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実績的には劣るものの底は見せてはおらず、このレースに対して非常に高い適性を持っている可能性は高いと見ます。3歳馬ということで2キロの斤量差も有利で、好勝負は可能と見ています。

 

▲ フィエールマン

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状態は4着だった昨年を上回っているものと見ます。ステイヤーながらも高い瞬発力を持つ同馬だけに上がりが掛かる展開と外枠には不安はありますが、能力自体は高く、ここは十分に争覇圏内。

 

△ カレンブーケドール

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どんな相手にもそれなりに合わせた走りを見せる同馬ですが、瞬発力が求められにくいこの舞台ならば引き続きチャンスはあるものと見ます。ジャパンカップでの4着は昨年の優勝馬以上のパフォーマンスと評価出来ます。激戦の反動も見せておらずここは要チェックか。

 

✖ キセキ

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結果的に8着ながらもジャパンカップでの規格外の走りで改めてこの馬の能力の高さが示されたかと思います。間違いなく容易にコントロール出来る馬ではありませんが、持ち味のスピードの持続力が生きる形に持ち込むことが出来れば能力的には十分に勝ち負け可能でしょう。