うまコラ

競馬歴28年の筆者が綴る競馬コラム

2020年 リーディングサイアーランキング

激動の2020年、日本の競馬界は開催の可否が常に問われる中で無観客開催などもありつつ、何とか無事に終了することになりました。

ここで本年の競馬界を支えてきたサイアー達のランキングを紹介します。

尚、データはJRAーVANより発表のものを使用しています。

 

2020年 JRAサイアーランキング

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結果は上記の通りで、ディープインパクトが2位のロードカナロアにダブルスコア近い差を付け、断然の成績で今年もリーディングサイアーに輝いています。

上位の種牡馬達はここ数年の上位の常連種牡馬達が占めており、昨年からも大幅な変動は見られません。

その一方で、昨年初年度産駒がデビューを迎えたキズナエピファネイアの両頭が成績を伸ばしてきています。

ディープインパクトキングカメハメハステイゴールドゴールドアリュールらは既にこの世を去ってしまっており、ハーツクライダイワメジャーらも既に高齢になってきていることを考えれば、そう遠くない将来にこのランキングにも大きな動きが見られることになりそうです。

 

1位 ディープインパクト

今年はコントレイルが無敗でクラシック三冠を制覇し、待望の最有力後継馬候補が誕生しました。また、他にもグランアレグリア安田記念で女王アーモンドアイに完勝、秋の短距離G1も連勝と輝かしい結果を残しており、天皇賞(春)ではフィエールマンが連覇を成し遂げるなど他の産駒達もレベルの高いレースでの活躍が多数あり、文句なしの圧倒的成績を残しています。

産駒は概ね芝での活躍が多く、ダートで結果を残す産駒がいないわけではないものの本年の重賞制覇は全て芝となっています。産駒の平均レベルそのものが高く、質、量共に近年国内最高の種牡馬に相応しい成績となっています。

距離的にはフィエールマンのように長距離に対応する産駒もいますが、マイル~中距離で結果を残す産駒が多く、瞬発力に優れた産駒が多いのが特徴です。

 

2位 ロードカナロア

何と言っても最強牝馬アーモンドアイの活躍が輝きます。本年はヴィクトリアマイル天皇賞(秋)ジャパンカップを制して芝G1戦9勝の新記録を残しています。

ただ、同馬以外にも香港スプリントを制したダノンスマッシュなど多くの活躍馬を出しています。産駒の1走あたりの獲得賞金額は244万円と全体に産駒の水準が高いことが窺えます。

産駒は概ね芝向きですが、ダートでのランキングでも4位となっており、配合によっては十二分にダートでも走れることを示しており、既にミッキーワイルドが重賞を制しています。

距離的には短距離~マイルあたりでの成績が良く、2000mを超えて活躍するアーモンドアイ、サートゥルナーリアはある種特殊な例とも言えそうです。

 

3位 ハーツクライ

今年はG1を制した産駒こそいなかったものの、毎日王冠を圧勝したサリオスがG1級の走りを何度も見せています。他ではタイムフライヤーやスワーヴアラミスが重賞を制する活躍を見せており、こちらも産駒の水準が高く、産駒の数に任せて稼いでいるのではないことも窺えます。

芝向きの産駒が多めではあるものの、ダートでの成績でもリーディング7位と健闘しており、アメリカでダートG1を制したヨシダもいるようにダートへの適性はあると言って良いでしょう。距離的には比較的長い距離に適性を持ち、殆どの産駒はマイル以上の距離で活躍しています。瞬発力はサンデーサイレンス系の中ではやや劣る一方で持久力で優れている産駒が多い傾向が見られ、やや晩成傾向もあります。

 

 

4位 オルフェーヴル

本年は代表産駒でもあるラッキーライラック大阪杯エリザベス女王杯を制する活躍。同馬だけでなくオーソリティジャスティン、バイオスパーク、オセアグレイトなどが下半期に大活躍してランキングを上昇させてきました。一時は産駒の出来不出来の波の大きさ故か『失敗』との烙印を押されかけた同馬ですが、流石に三冠馬と言わしめる底力を見せて浮上してきています。

芝向きのイメージが強いですがダートでのランキングでも8位と十分に走れることを示しており、ジャスティンが既に3重賞を制しています。

全体的には持久力に優れており、折り合いがつく産駒は中~長距離での活躍が見られます。

 

5位 キングカメハメハ

既に産駒は減りつつあるキングカメハメハが5位にランクイン。本年はチュウワウィザードがチャンピオンズカップで優勝、改めてダートでの強さも示しています。他にもエアスピネル、ユーキャンスマイル、ダイワキャグニーなどベテラン馬達の活躍もあり、存在感を示しています。

前述したように芝だけでなくダートでも際立つ活躍を見せており、力を要する馬場も無難にこなす産駒は少なくありません。距離的にも短距離から長距離まで様々なタイプを出してくる正に万能種牡馬。既に産駒達が種牡馬として活躍を見せており、自身は既にこの世にはいませんが、当面は日本の血統図にその存在を示していくことになります。

 

6位 ルーラーシップ

本年は産駒のG1制覇は成りませんでしたが、キセキが再三存在感を感じさせる走りを見せていました。他の産駒も重賞級で活躍を見せる馬もいましたが、アーニングインデック的には平均的で、質よりは量で掴んだ6位のランキングと言えそうです。

産駒達は主に芝で活躍。中にはダートで走る馬もいますが、大半の馬はその血統のイメージ通りに芝で成績を残しています。距離的には比較的長めの距離に適性を持つ馬が多く1800mを超えての成績が良くなっています。

瞬発力はそこそこながらスピードの持久性に優れており、キセキやダンビュライトがそのイメージに合致します。

 

7位 ダイワメジャー

本年は産駒のG1奪取こそ成らなかったもののレシステンシアやアドマイヤマーズがマイルG1でその強さを幾度も示していました。一時期と比較すると年齢的なものもあってか産駒数と共にその質もやや低下してきており、この7位というランキングとなっています。

JBCスプリントを制したブルドッグボスなどもいますが、産駒は総じて芝向きが多くなっており、その多くがマイルくらいの距離を得意としています。瞬発力はあまりないもののスピードの持続力には優れており、先行して押し切るような競馬を得意とする産駒が多く、アドマイヤマーズなどは正にそのタイプと言えます。大型馬ながら仕上がりは比較的早い馬が多いようです。

 

8位 キズナ

初年度から産駒が次々に勝ち上がり、G1勝利こそ出来なかったもののマルターズディオサ、ディープボンド、クリスタルブラック、アブレイズと続々重賞を制覇。いきなり8位へと食い込んできています。産駒の層が厚くなる来年以降は更なるランクアップが濃厚となっています。

産駒達は芝だけでなくダートでも好走例が少なくなく、父ディープインパクト以上に力を要する馬場への適性は高いようです。その一方で自身とは違い、瞬発力はそれほどでもなく、パワーとスピードの持続力で勝負する産駒が多くなっています。

距離的には中距離くらいを得意とする産駒が比較的多くなっています。

 

9位 エピファネイア

初年度から無敗で牝馬三冠を制する快挙を成し遂げたデアリングタクトを出して脚光を浴びています。重賞制覇は同馬だけでしたが、菊花賞ではアリストテレスがコントレイルと壮絶な一騎打ちを演じています。

産駒は総じて芝向きで、ダートではあまり結果を出せていません。自身は比類なきパワーからドバイワールドカップにも遠征した程ですが、そのパワーは決してダート向きのものではないようです。自身と同様に気性的に前進気勢が強い傾向があり、折り合いがつく産駒は長距離に対応してきているようで、折り合いがつかないタイプはマイラーになるケースも。

 

10位 ヘニーヒューズ

賞金水準が低いダート戦線に於いて多数の活躍馬を送り出し、本年はワイドファラオがかしわ記念を制覇。他にも数々の馬達がダート上級条件で活躍したことでリーディングトップ10入りを果たし、ダートでは長年トップに君臨していたゴールドアリュールを上回ってリーディングを獲得しており、今や日本を代表するダート種牡馬の1頭となりました。

前述しているように産駒の多くはダートで活躍しており、その多くは比較的短い距離で好成績を残しています。タイプによっては1800くらいまでこなす産駒も。

スピードに任せて飛ばしていくタイプが多くなっており、斬れで勝負する馬は割と少な目。

 

 

続いてダートのランキングを。

 

2020年 JRAダートサイアーランキング

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こちらは長年トップの座に君臨してきたゴールドアリュールが遂に陥落。

ヘニーヒューズにトップの座を明け渡しています。

芝でも活躍馬を送り出しているロードカナロアキングカメハメハハーツクライオルフェーヴルが上位に入っており、ダート専用的な種牡馬が伸び悩んでいる様子が見て取れます。ただ、アイルハヴアナザーは輸出され、ゴールドアリュールサウスヴィグラスは死んでしまっているため、こちらのランキングも近い将来にランキングが大きく変動していく可能性が強くなっています。

 

1位 ヘニーヒューズ

総合ランキングでも10位に入っており、丈夫な産駒が多く、短距離馬も多いことから出走数の多さににモノを言わせて稼いでいる印象です。

ただ、同馬も既に17歳と決して若い種牡馬ではないだけに長期政権とはいかないかもしれませんね。地方競馬でも稼げるタイプだけにしばらくはサウスヴィグラスの後釜的な立ち位置となりそうです。

 

2位 ゴールドアリュール

ダート種牡馬という括りに於いては日本史上最高の種牡馬と言っていいかもしれませんが、既に亡くなっており産駒も少なくなってきています。

代表産駒の1頭ゴールドドリームも引退し、クリソベリルも故障。

いよいよこの馬の時代も終わろうとしているのでしょう。

基本的には中距離向きですが、短い距離にも対応する産駒も出ています。

 

3位 キンシャサノキセキ

芝でも活躍馬を出す同馬ですが、ダートにも高い適性を持ち、ジリジリとその成績を伸ばしてきて遂に3位にまで進出してきました。

種牡馬入り当初はそれほど大きな期待は受けていなかったものの産駒が地道に走ったことで徐々にその評価を高めていきました。

基本的には短めの距離に適性を持ちますが、中にはマイル以上に対応する産駒も出ています。