2021年 フェブラリーステークス回顧
2021年国内最初のG1フェブラリーステークスが行われました。
このレースを制したのは唯一の4歳馬カフェファラオでした。
では、早速このレースを振り返ってみましょう。
歴戦の古馬らしく著しく落ち着きを欠く馬はなく、概ね順調に各馬ゲートイン。
スタートではサクセスエナジーが出遅れ。ハナを切っていったのは最内枠のエアアルマスでした。一方、先手を奪っていくとも思われたインティはこれに競り掛けてはいかず控える形に。ダッシュを利かせるエアアルマスを追ってヘリオスとワイドファラオが追走する態勢。
その後にオーヴェルニュ、カフェファラオが続き、やや離れてアルクトスとワンダーリーデルが追う展開。
レッドルゼルはやや後方10番手付近、最後方からはサンライズノヴァが追う。
序盤600mは34.7で通過。
先頭はワイドファラオへ変わり、エアアルマスは半馬身程の差で2番手に。
これから2馬身程の差でカフェファラオが3番手へ進出。
半マイル通過は46.5。
逃げるワイドファラオはコーナーから直線に向かう時点で既に手応えが悪くなり、先頭を再度エアアルマスへと明け渡す。
馬群が直線へと入り、内からワンダーリーデルが進出、カフェファラオも脚を伸ばす。
後方からはエアスピネルとレッドルゼルが脚を伸ばして前を追う。
直線の坂を越えてラスト1ハロンを切ったあたりでカフェファラオが先頭に。
エアスピネルが止まることなく脚を伸ばし続け、食い下がっていたワンダーリーデルを捉えるも先頭を走るカフェファラオの脚は止まらず、差を縮めるもカフェファラオがそのまま先頭でゴール。
では、いつものように200m毎のラップを見ていきましょう。
12.5-10.8ー11.4ー11.8(前半800m46.5)
12.0-11.9ー11.9ー12.1(後半800m47.9)
ダート戦にありがちな前傾ラップではありますが、かなりハイレベルなラップとなっています。
1200mの通過タイムですら優に重賞勝利レベルとなっており、並の馬ならば流れについていくことすら出来ない程のハイラップでした。
流石はG1と言うべきかなり厳しい展開となりました。
しかしながら、ラスト3ハロンのラップを見てもわかるようにそれでも尚、最後までそのラップは大きく緩むことはないままとなっています。
そのため、最後方に近い位置取りとなった馬達は上位には食い込むことは出来ませんでした。
まるでアメリカG1に見られるような厳しい展開でも尚、それについて行きつつ最後まで堪え合う消耗戦的なレースとなっています。
予想の際に、フェブラリーステークスは相対的に早いタイムを出し得る能力の高い馬。
つまり、スピード指数やタイム指数などで高数値を出せる馬が活躍するレース、との見解を出しているのですが、正にそうしたレースとなりました。
では、個々の馬について触れてみましょう。
1着 カフェファラオ
この馬の持ち味をルメール騎手が的確に引き出した、そういった印象のレースでした。
そもそもこの馬の持ち味というのはスピードの持続力だと思っています。
中途半端に脚を溜めてもあまり切れる脚はない一方で自分のリズムを保って気分良く走らせれば少々キツい流れでも簡単には止まらない、そんなタイプだと見ています。
少し古い例えですがクロフネみたいなタイプかと思います。
シリウスステークスやチャンピオンズカップでは控える形でそれほど早い脚は使えませんでしたから、恐らく陣営、騎手はそのような馬だと見て昨年のユニコーンステークス時を思わせるようなレースをさせたのではないかと見ています。
厳しいペースになり、各馬が追走に脚を使わされている中で最後までスピードを保った同馬はこうした肉を切らせて骨を断つような走りをルメール騎手が的確にエスコートさせた結果だと見ています。
2着 エアスピネル
個人的に美味しい存在じゃないかと見ていたのがこの馬。前述した「相対的に早い時計を出せる能力」を持ち、前走よりも適性の高いと思われる東京マイルであれば少なからずチャンスはあろうかと見られ、かつ前走着順や年齢的な面で少なからず軽視されるのではと見ていました。結果的に厳しい流れの中でスタミナを削られ過ぎず、かつ離れ過ぎずという絶妙な位置を確保してラストの末脚へと繋がった印象です。
菊花賞でも掲示板に入っているように持久力もそれなりに持っている馬ですし、ここは上手くハマったようです。
いつでもこの水準の能力を発揮するというワケではないので、次走で人気になるようなら軽視したいと思います。
3着 ワンダーリーデル
鞍上を務めた横山騎手が非常に上手くアシストしました。これまで末脚を生かした走りが多かった同馬でしたが、ここでは厳しいペースの中で強気に先行し、最後までしぶとい脚を引き出しています。この馬も8歳と高齢なのですが、6歳時以前と比べて着順の印象は良くない一方で早い時計への適性を少なからず感じさせ、内容的にはむしろ更なる成長をも感じさせていました。
人気はさほどありませんでしたが、このくらいはやれても不思議な力量ではないと思います。
4着 レッドルゼル
大外枠だったこともあってか無理に追走することはせず、最後の末脚を信じて後方寄りを追走。これが功を奏して直線で図太く脚を伸ばしてきました。流石に前とは少し差はあったものの、好調さもあいまって初のマイル戦でもバテることなく力を出してきています。こちらはカフェファラオやエアアルマスなどよりスピードのオンオフが効くタイプだけにこれで正解だったと見ています。
ベストは1400mでしょうか。
5着 エアアルマス
勝ち馬同様にスピードの持続性に長けたタイプで上手く流れに乗れれば厳しい展開でもしぶとく粘れる特色を生かせたレースでした。明らかにオーバーペース気味だった分、最後は流石に止まりましたが、こうしたレースでは実に粘り強さを発揮してきます。
ボールドルーラー系種牡馬マジェスティックウォリアーの産駒ですが、正にこの血統イメージ通りの走りでした。常に安定して走るワケではありませんが、1600~1800では今後も重賞戦線で勝ち負け可能な能力は有していると見るべきでしょう。