うまコラ

競馬歴28年の筆者が綴る競馬コラム

種牡馬 オルフェーヴル

ここでは種牡馬オルフェーヴルについて触れていくことにします。

 

父はステイゴールド(その父サンデーサイレンス)、母の父メジロマックイーンという血統で有馬記念や宝塚記念を制したドリームジャーニーを全兄に持ちます。

この配合パターンには他にゴールドシップやフェイトフルウォーなども出ており、良く「黄金配合」などと言われていますね。

 

2歳時にはその素質の高さの片鱗は見せるものの、気性の激しさのあまり、その強さが十分に発揮されず、スプリングステークスでようやく初重賞勝利。

その後、皐月賞、ダービーと圧倒的な強さで完勝、さらに神戸新聞杯を挟んで菊花賞でも後続を相手にせず楽勝し、クラシック三冠を達成、さらには有馬記念も制しています。

古馬になってからはこの馬らしい紆余曲折がありながらも宝塚記念を優勝した後に挑んだ凱旋門賞では衝撃的な末脚を繰り出すも2着。

翌年の凱旋門賞にも果敢に挑むもトレヴに敗れ、またも2着。

帰国後、ラストランの有馬記念ではその桁違いの強さを再び見せて8馬身差での大勝を収めています。

この最狂の暴れん坊が種牡馬としてどんな産駒を出してくるのか?という期待を掛けられてのスタッドインでしたが、初年度からいきなりラッキーライラック(阪神ジュベナイルフィリーズ)、エポカドーロ(皐月賞)などを出して、流石と言わせるだけの産駒を出してきた反面で、自身に似た気性面でムラの大きい産駒も何頭も出してきていますね。

2018年のリーディングランキングでは13位となっています。

 

では、ここから産駒の特徴を見ていきます。データは2018年までのものとなります。

最初に距離適性について触れてみましょう。

まずは芝での成績です。

 

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まだ2、3歳の成績しかないので長距離戦は経験自体が殆どないのですが、ステイヤー血統だけあってマイル以上の距離で好成績を残しています。これまでの重賞勝ちの5勝は全てマイル以上の距離となっていますね。

三冠馬の産駒だけに短距離で使われることは多くはないのですが、スピード能力がないわけではないのでそれなりには走っています。

 

次にダートでの産駒成績を見てみます。

 

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実は意外とダートで走っています。

特にマイル以上の距離ではかなりの好走率を残しています。

下級条件が主ではありますが、特に1800mでは37.0%もの非常に高い複勝率を残しています。

思えば祖父のメジロマックイーンにもそうしたところもありました。

これだけダートでもやれるのならいずれダートでの大物出現も十分あり得そうです。

 

では、渋った馬場状態ではどうなのかを見てみます。

まずは芝のレースでの成績です。

 

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自身は極悪馬場のダービーを楽勝していたり、凱旋門賞で強さを見せるなどしていましたが、産駒達も渋って力を要する馬場は得意にしており、明らかに好走率が良馬場の時より上がっています。

血統的にも重馬場を苦にしないステイゴールドとメジロマックイーンとの配合ですし、これははっきり得意だと言ってもいいかもしれませんね。

 

では、続いてダートも見てみましょう。

 

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こちらは芝とは逆で良馬場の方が成績は良い傾向が出ています。

脚抜きの良い馬場になると若干その数字が落ちていますね。

ただ、サンプルとなるレース数はまだ十分と言うには足りず、今後の推移も見ていく必要はあると思いますね。

 

次に得意としているコースも見てみます。

ここでは出走回数20回以上というフィルターを掛けています。

 

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前述していますが、ご覧の通りダート1800mで素晴らしい成績を残しています。

因みにこのフィルターを10回以上とすると上位の5コースは全てダートとなります。

芝では阪神での強さが目につきます。

その反面で中山芝コースではあまり好走は見られていません。

 

相性の良い母父との組み合わせについて見てみたのですが、如何せん産駒の出走数自体がまだまだ少なく、データという程のものを提供出来ないため、ここでは割愛させてもらおうと思います。

 

まだ産駒がデビューしてから1年半しか経っておらず、そもそもの産駒数、出走頭数自体がまだまだ少ないのでデータとしての信頼感はあまり高いものではないのですが、スタミナ能力やパワーは十分にあるようです。

勝ち上がり率は正直、低くコンスタントに走ってはこないものの、その中から3頭の重賞勝ち馬を出したあたり、気性的なムラのある馬も少なくはないものの、高い潜在能力を有していると思われる産駒はまだ眠っているように感じられます。

オルフェーヴル自身、阪神大賞典で見せた常識を超えた桁違いの潜在能力を持った馬だけにそのとてつもない能力をまともに受けた産駒の登場も十分にありそうです。