種牡馬 ステイゴールド
ここでは種牡馬ステイゴールドを幾つかの視点から取り上げていくことにします。
父は日本競馬界に伝説を残したサンデーサイレンス(その父ヘイロー)、母の父にディクタスという血統を持ちます。
サンデーサイレンスの早期の産駒であり、また小柄な馬体であったことから社台サラブレッドクラブの出資募集は3800万円と比較的安価な価格で募集が掛けられていた馬でした。
2歳末にデビューを迎えるも、その気性の激しさなどもあって勝ち上がるまでに6戦を要しています。
その後、徐々にレースを覚え、力もつけながら4歳時のダイヤモンドステークス2着でようやくオープン入りを果たすと、天皇賞(春)で2着したのを皮切りに宝塚記念でも2着、天皇賞(秋)でも2着。度重ねるG1での2着にシルバーコレクターとの異名を得ることになります。
初重賞制覇と成し遂げたのは既に6歳となった目黒記念。
その間にも大きな休みを挟むことなくG1をメインに戦い続けて善戦を繰り返していたのですが、7歳になった春にドバイシーマクラシックへと遠征を行い、かの地で世界最強クラスとして既に認知されていたファンタスティックライトを撃破。
京都大賞典でも結果、降着となるものの国内最強を誇るテイエムオペラオーを破っています。
引退戦となった通算50戦目となった香港ヴァーズでは完全に抜け出し、勝利目前だったエクラールを奇跡的な末脚で差し切り、悲願のG1制覇を7歳でのラストランで飾る劇的な勝利で成し遂げています。
種牡馬入りした当初は実績的に最強クラスにはやや及ばなかったこともあり、それほど高い評価を得てはいなかったものの、初期の産駒から有馬記念などG1を3勝したドリームジャーニーや宝塚記念を制し、凱旋門賞で2着したナカヤマフェスタなどの活躍馬を次々に送り出し、その実力で人気種牡馬となっていく。
その後にドリームジャーニーの全弟オルフェーヴルが登場、牡馬三冠を圧倒的な強さで制した上、凱旋門賞でも十分に渡り合うなどし、G1で7勝を挙げています。
上記の他にもゴールドシップ(有馬記念などG1、6勝)、フェノーメノ(天皇賞・春)、レッドリヴェール(阪神ジュベナイルフィリーズ)、アドマイヤリード(ヴィクトリアマイル)、レインボーライン(天皇賞・春)など多数の活躍馬を出しており、日本を代表する種牡馬の1頭として認知されるに至っています。
尚、2018年のリーディングサイアーランキングは4位となっています。
少し前振りが長くなってしまいましたが、ここからは種牡馬としての特徴について触れていくことにします。
データは産駒のデビューから2018年一杯までとなります。
まずは産駒の距離適性について。
芝のデータから見ていきましょう。
ご覧の通りの数字で、距離が長くなるほどにその好走率は上がっていっているようにステイヤーとしての資質の高さを明確に示しています。
父サンデーサイレンスは中距離向きの産駒が多いですが、その中ではトップクラスと言える長距離適性を持っていると言って良さそうです。
ただ、短めの距離がまるっきりダメということでもなく、マイル以上なら十分にこなせるといった産駒は多いようです。
また、比較的力を要する荒れた馬場や重い芝にも適性を示しており、凱旋門賞で3度もの連対の実績も残しています。
では続いてダートを。
芝と比較するとダートでの好走率については劣っており、芝馬場の方が適性を持つことがわかりますが、それなりの複勝率を残してもおり、ダートが全くダメというほどでもないようです。
ただ、オープン以上のダート戦で活躍するケースはあまり多くはなく、下級条件での成績が多いようです。
また、芝と同様に長い距離の方が好走傾向が認められます。
では続いて馬場が渋った状況ではどうなのか見てみましょう。
まず芝から。
「ステイゴールド産駒は重馬場巧者」というイメージは少なからずある方も多いと思いますが、このデータを見てもわかるように実はそれほど強調出来る程、重馬場で際立つ走りを見せているわけでもないことがわかります。
むしろ稍重では成績が下がっているくらいです。
重馬場については「苦手ではないが、得意というほどでもない」といったところでしょうか。
では、ダートではどうなのか見てみましょう。
大差はないのですが、どちらかと言えば良馬場の方が良好な数字となっています。
芝向きの種牡馬にありがちなイメージですが、「脚抜きの良い重馬場で活躍しやすい」なんてことはないということも窺えますよね。
余談ですが、ダートでは秋競馬の成績が芳しくないようですね。
次に得意としているコースを挙げてみましょう。
ここでは100回以上の出走数というフィルタリングを行っています。
有馬記念で大活躍しているだけあって中山芝2500mではかなり高い好走率を誇っています。
長距離向きだけあって2000m以上のコースがズラリと並んでいます。
また、洋芝への適性か北海道の2場での成績も良好です。
因みにこれも余談となるのですが、長距離戦は出走頭数が少ないことが多いため、好走率についてはそのあたりも加味して見てもらえたら、と思います。
上記の表にはありませんが、ダートでは札幌の1700mに好走が多く見られますね。
では最後に相性の良い母父との組み合わせも見ることにします。
こちらは80回以上の出走回数に絞っています。
トップはキングカメハメハなんですが、時点にクリエイター、4位にエルハーブとマイナーどころが上位に食い込んでいますね。
オルフェーヴル、ドリームジャーニー兄弟でも良く「黄金配合」として知られるメジロマックイーンとの配合では複勝率28.7%となっています。
非常に多くの産駒が生まれた配合パターンとなったこの血統ですが、相応に高い好走率を実際に残していますね。
で、ここではフィルタリングの基準を80回としていますが、これが50回に落とした場合、実はランキングは大きく変動してきます。
この場合、上位からガリレオ、キングマンボ、フサイチペガサス、ザビールとなり、キングカメハメハは5位にまで落ちてしまいます。
社台系の種牡馬ではなく、配合された牝馬の血統に幅広いバリエーションもあり、さらにメジャーどころの母父が必ずしも好成績でないあたりはステイゴールドの掴みどころのなさを示しているかもしれませんね。
ステイゴールド自身は2015年2月にこの世を去ってしまっており、2016年に生まれた世代はたったの1頭。
事実上、現4歳世代が最後の世代となっており、産駒の活躍ももうそう長くは続かないのですが、その4歳世代についてもエタリオウやステイフーリッシュ、インディチャンプなど素質馬も控えていますから、今後も十分な注目は必要でしょう。
また、豊かなスタミナを持つこともあってか障害競走での活躍も多い種牡馬で、話題になったオジュウチョウサンを始めとしてマイネルネオス、エムエスワールドなどを出していますね。