2020年 マイルチャンピオンシップ回顧
今週も非常にレベルの高いメンバーが出走することになったマイルチャンピオンシップ。
このレースを制したのはまたしても1番人気のグランアレグリアでした。
これで秋のJRAのG1はスプリンターズステークスの同馬に始まって6連勝となりましたね。
ハイレベルなメンバーのレースが続いている中で人気馬が人気に応えて勝つという図式のレースが続いており、馬券的な魅力はともかくもスポーツとしても盛り上がりという点に於いては最高の展開が続いていますね。
ジャパンカップでの究極の3強対決でこの流れに終止符が打たれるのか、それとも大団円を迎えるのか…。
マイルチャンピオンシップ総括
マイルチャンピオンシップですが、スタートで大きく出遅れた馬はなく、レシステンシアが好スタートからすんなりと先手を取る形。
あっさりと先頭に立ちながらも、それほど飛ばしていく事はせず、また他馬も競り掛けて行こうとはしなかったため、事前に考えられていたほどペースは上がらず。
グランアレグリアは早めのスタートから先行集団を見るような形での5番手追走。
一方、サリオスは前には行かせずに後方の外目を追走する形に。
逃げるレシステンシアの前半の800mは46.9。
芝マイルG1としては明らかに遅いペースで、隊列も大きく縦に広がることなく馬群は比較的詰まった状態のままレースは進み、3コーナーを過ぎてから各馬ともペースアップ。
直線に向いて反応の良くないレシステンシアとラウダシオンの3歳2騎を早めにアドマイヤマーズが捉えて先頭に。インディチャンプがその外から追走し、グランアレグリアはこの2頭に蓋をされるような形で、最内からもスカーレットカラーが脚を伸ばしており、3方の進路を失う状態に。
大外に持ち出して追撃するサリオスはなかなか前との差が縮まってこない。
残り200m付近でインディチャンプがジリジリとアドマイヤマーズに接近、と共にグランアレグリアの外への進路が開けてルメールが一気にスパートの姿勢に。
ここから並ぶ間もなくグランアレグリアが前で叩き合うアドマイヤマーズとインディチャンプを交わし去って1着でゴール。
2着はしぶとく粘るアドマイヤマーズを捉えたインディチャンプが入線。
サリオスは最後までしぶとい脚を見せるも内で粘ったスカーレットカラーにも届かずに5着に。
では、いつものように200m毎のラップタイムを。
12.5-11.0-11.4-12.0(前半800m46.9)
11.6-11.0-10.8-11.7(後半800m45.1)
平均~ハイペースで馬群を引っ張るであろうと見られていたレシステンシアでしたが、好スタートであまりにあっさりと先手を奪えたためなのか、全くペースを上げることのない逃げに。また、これに競り掛けて行く馬もなかったために道中もペースは上がらず終い。
結果、上位馬の殆どが33秒台前半の上がりを繰り出すような上がりの競馬に。
前半の時点で後方に位置した馬には殆どチャンスはないようなレースになりました。
上位4頭はそれぞれの馬の持ち味を生かして上手いレースメイクをして結果に繋げてきた印象。
逆にサリオスは完全に作戦が裏目に出てしまい、力を出し切れませんでしたね。
では個々の馬について触れていきましょう。
マイルチャンピオンシップ上位各馬寸評
1着 グランアレグリア
好スタートからすんなりと5番手の好位をキープして折り合いを欠くことなく追走。
レースのペースが上がらない中、この時点で大きなアドバンテージ。外からインディチャンプと福永騎手が蓋をする形で終始馬群に封じ込められる形となり、そのまま直線に。
直線では前では早めに仕掛けた川田騎手とアドマイヤマーズが、外には終始グランアレグリアをマークし、外に持ち出させない形でインディチャンプが、最内にはいつもより前目の位置取りから得意の瞬発力を発揮して伸びてきたスカーレットカラーと、動きを封じられる形になるもインディチャンプが進出して空いた外に持ち出すや瞬く間に前の3頭を差し切って完勝。
個人的にはグランアレグリアには究極クラスの瞬発力は持っていない、と見ているのですが、それでもアドマイヤマーズやインディチャンプよりは一枚上。加えて追い出しが遅れた分、結果的に脚も溜まって一瞬で勝負を付けました。
もうこれは純粋に馬の能力が一枚違っていたというのが妥当だと思います。
また、遅くなったペースにも的確に対応して前目で進めてきたルメール騎手、進路を失いかけた直線でも慌てず冷静に対処しており、やはり流石の腕前だと言うべきでしょう。
2着 インディチャンプ
こちらは最初からグランアレグリアに相手を絞っていたのか序盤からグランアレグリアを僅かに前方に置きながら外に出させない位置取り。と、共にやや早めにスパートして直線ではグランアレグリアの進路を見事に封じながらもアドマイヤマーズを絶妙のタイミングで追撃。騎乗した福永騎手は現時点でインディチャンプが出来る最高とも言える騎乗を見せています。グランアレグリアには食らいつく間もなく差し切られてしまいましたが、これは馬の力の差でしょう。昨年と同等、もしくはそれをも上回る走りは見せていると見ていて、この馬のベストは尽くしたものと判断します。
3着 アドマイヤマーズ
元々、比較的前で競馬するタイプではあるのですが、こちらも遅いペースを的確に見極めていつでも前を捉えられる位置取りに。瞬発力勝負では分が悪いこともあり、4コーナーから早めに仕掛ける形。直線では素早く先頭を奪いながらもインディチャンプ、グランアレグリアの位置を確認しながら、グランアレグリアの進路を塞ぐ態勢に持ち込みました。最後は2頭に差し切られましたが、瞬発力でやや劣る同馬ながらもこの早い上りのレースでほぼ力を出し切る形に持ち込んできたのは川田騎手の好騎乗と言ってよいでしょう。もう少し時計を要する馬場ならインディチャンプには逆転は十分に可能と見ます。
4着 スカーレットカラー
これがラストランとなった同馬だけにこの回顧が次に繋がることはないのですが、この馬もまた非常に巧みなレース運びを見せています。普段、後方から進めて瞬発力に掛ける競馬が殆どの同馬でしたが、今回はいつもより前目の8番手付近で追走。勝負所でスルスルと最内に潜り込んで得意の瞬発力勝負に持ち込みました。イチかバチかの最内勝負でしたが、比較的内が伸びる馬場もあって上位馬を脅かすところまで来ました。
昨年の府中牝馬ステークスと並んで同馬のベストパフォーマンスだったと見ています。
5着 サリオス
大外枠とデムーロ騎手の作戦失敗が全て。デムーロ騎手はペースは遅くならないと決め打ちしたのではないでしょうか。スタートでは下げようとするアクションも見られ、意図的に後方に下げているように見えます。結果的にこれが大間違い。ペースは遅くなり、馬群も比較的密集したことで外々を回らざるを得ず、斬れで見劣る同馬に瞬発力を求める形になって撃沈。それでも大きなコースロスと展開不利の中で0.4秒差まで詰めてきたのは流石の強さ。上手く競馬が出来ていれば十分に勝ち負けだったと見ます。
結果的には5着でしたが、能力的には十分にグランアレグリアに挑める水準であろうと見ており、先着されたインディチャンプ、アドマイヤマーズを上回っていると思われます。距離への対応がポイントですが有馬記念に出てきてもチャンスはあろうかと思います。
2020年 マイルチャンピオンシップ予想
この秋のG1戦線、非常にハイレベルな顔触れが毎週揃っていて見応えのあるレースが続いています。
今週はマイルチャンピオンシップ。
安田記念でアーモンドアイに完勝し、スプリンターズステークスでも先行勢を一瞬にして葬り去って見せた桜花賞馬グランアレグリアがここに登場。
対して、これまでコントレイル以外の馬には1度も先着を許していない3歳サリオスが妹アウィルアウェイと共にこれに挑むことに。
昨年、安田記念、マイルチャンピオンシップを制しているディフェンディングチャンピオンのインディチャンプ。
昨年の香港マイルやNHKマイルカップなど既にマイルG1を3勝している実績馬アドマイヤマーズ。
阪神ジュベナイルフィリーズを楽勝し、桜花賞、NHKマイルカップでも非凡なスピードを披露しているレシステンシア。
そのNHKマイルカップでレシステンシアを降し、前走でも古馬相手に十分に通用するところを見せたラウダシオン。
出走馬のG1勝ちが全部で13。
これは近年でもなかなか見られないハイレベルなものとなります。
この秋のG1で感じられるのは強い馬達が故障などで離脱しているケースが少なく、各馬とも順調に本番へと向かえているがために非常に好メンバーが続いていることでしょうか。
実際、今年JRAのG1を制した全ての馬が今現在(11月20日)、1頭も戦線離脱していません。
私自身25年間競馬を見てきましたが、これだけ有力馬が順調にビッグレースを使えているというのは記憶にないほどです。
因みにnetkeibaの予想オッズ(20日22:41時点)ではグランアレグリアが2.1倍で1番人気、サリオスが3.3倍で2番人気となっており、この2頭がやや抜けた人気となっています。
続いて3番人気はレシステンシアで7.9倍、4番人気に9.8倍でアドマイヤマーズとなり、ここまでが10倍を切っており、10.1倍でインディチャンプが続き、14.6倍でラウダシオンが続いています。
その他の11頭は全て40倍を超える人気薄状態となっています。
では、レース予想へ行ってみましょう。
マイルチャンピオンシップ 予想
◎ サリオス
〇 グランアレグリア
▲ レシステンシア
△ サウンドキアラ
△ アドマイヤマーズ
◎にはサリオスを。
前走毎日王冠は弱いメンバー構成だったとは言え、仕上がり途上をものともせずに他馬を全く相手にしない楽勝。
タラ、レバに意味などないのかもしれないのですが、コントレイルがいなければ6戦無敗で朝日杯、皐月賞、ダービーを制していたことになる同馬。並大抵の能力ではないとの認識を持っています。
大外の17番枠を引いてしまったのは決してプラスではないでしょうが、それを加味してもまともに走ればそう簡単に大きく敗れるようなことはないものと見ています。
〇にグランアレグリアを。
安田記念ではベストの出来ではなかったのかもしれないものの怪物牝馬アーモンドアイを瞬く間に差し切っての圧勝。スプリンターズステークスでもダノンスマッシュを並ぶ間もなく差し切るなど、2歳時から見せていた桁違いな能力をここに来てフルに発揮し出しています。ただ、この馬はそれほど器用さのある馬ではなく、いつでも100%の走りが出来る馬ではないと見ており、連軸としての信頼感に於いてはサリオスにはやや見劣ると判断しての〇評価としています。
▲には2歳女王レシステンシアを。
桜花賞へ向けて意図的に溜め逃げを試みたチューリップ賞以外の5戦全てで連対。
やはり中途半端に溜めるよりはある程度出していって後続に脚を使わせるような持ち味のスピードの持続力を生かす形になりそうです。そういった意味ではこういったタイプのペースメイク術に長けている北村騎手とのコンビは良さそうです。故障からの復帰戦となりますが、早い追い切りを4本こなしており十分に戦える出来にあると見ます。
△にサウンドキアラとアドマイヤマーズを。
サウンドキアラは前走スワンステークスの10着が大きく評価を落としているのですが、着差自体は大きく離されてはいません。春は重賞3勝を挙げ、ヴィクトリアマイルでも2着したように能力自体はここで上位に来ても可笑しくはないだけのものを有しているものと見ています。
アドマイヤマーズはスワンステークスで3着しての参戦。
マイルへの適性、能力の高さは既に証明済み。安田記念6着でややイメージを落とした面もありますが、インディチャンプと0.2差ならば十二分に逆転可能と見ます。
瞬発力勝負では分が良くないだけに平均ペースならば。
正直、この1戦は展開が大きくカギを握ってきそうな印象を受けます。
レシステンシアが内枠を引いたことで出遅れない限りは先手を奪う可能性が高くなっています。同馬がペースを落としての溜め逃げに出る可能性は大きくないと見ており、ある程度ペースは流れそうだと見ています。
2020年 エリザベス女王杯予想
秋華賞ではデアリングタクトが史上初の無敗での牝馬三冠を達成。
菊花賞ではコントレイルがこちらも史上初の父子での無敗クラシック三冠を達成。
天皇賞ではアーモンドアイが並み居る強豪を捻じ伏せて8度目のG1制覇を達成。
競馬史上でも稀に見る大記録が3週立て続けに成し遂げられた伝説的な3週間。
その余韻が残る中で、先日アーモンドアイのラストランとなる次走がジャパンカップに決定し、上記の三冠馬3頭が一堂に会することが濃厚となり、競馬界に衝撃が走ったのでした。
そんな中でどうにも存在感が薄くなってしまった今週のエリザベス女王杯。
まあ、当年の牝馬限定G1を制している馬が1頭もいない(もっともラッキーライラックは牡馬混合の大阪杯を制してはいますが)という寂しさが感じられるメンバーとなりました。
まあ、今年と一昨年の3歳牝馬G1は全てデアリングタクトとアーモンドアイが制しているのですから仕方ないとも言えますが。
ただ、よくよくメンバーを見てみれば大阪杯で牡馬をも完封した昨年の覇者ラッキーライラックを筆頭に無敗でオークスを制したラヴズオンリーユー、ヴィクトリアマイルをレコード勝ちし、札幌記念では牡馬に完勝したノームコア、同じく牡馬相手にオールカマーを制したセンテリュオ、府中牝馬ステークスを圧勝したサラキアなどが出ており、これまでのエリザベス女王杯の出走馬の歴史と比べてみれば別段見劣りするほどのメンバーでもないことが窺えます。
昔と比べれば競走馬の故障も少なくなり、実力馬が順調にレースを使えるケースが確実に増えてきているのも一因としてあるかと思います。
で、このメンバーを見渡してみるとやはり実績的にも牡馬G1級と互角以上に渡り合ってきたラッキーライラックの存在がやや抜けている印象。
しかし、ここでは大外の18番枠となってしまいました。
昨年制したレースではありますが、今年は京都競馬場ではなく阪神競馬場での開催。
これらがどう出るのかがポイントとなるでしょうか。
では、予想へと行ってみましょう。
エリザベス女王杯 予想
◎ ノームコア
〇 ラッキーライラック
▲ ラヴズオンリーユー
ここでの予想では珍しく人気馬に印が纏まりました。
そんな中で◎にしたのは前走札幌記念でラッキーライラックらを破ったノームコア。
春には高松宮記念にも出走している同馬にとって距離がどうかという不安は少なからずあるのですが、半妹のクロノジェネシスは同じ舞台の宝塚記念を圧勝しています。
少なくとも2000mでは何度も結果を出していますし、ここは十分に狙えると見ています。
〇は爆発的な末脚を炸裂させて昨年のエリザベス女王杯を制したラッキーライラック。
昨秋本格化して以降は強い相手にも安定した走りを見せ続けており、やはり能力的にはこの馬を外すことは出来ないと見ます。大外の18番枠が懸念となるのですが、阪神芝2200は1コーナーまでには距離もあり、積極的に行けば良い位置も十分に取れるように感じられます。それほど早いペースにはなりにくい相手だけに好位で瞬発力を発揮出来ればやはり実力上位でしょう。
▲に復活を掛けるラヴズオンリーユーを。
調教師の口からも春は状態が良くなかったことが語られていますが、ようやく良化してきた様子。今の阪神の芝2200mには適性があると見ており、この馬の持ち味が出しやすいと見ています。どれだけ力を出せる状態なのか微妙なだけに大きな信頼は掛けられないというところでこの評価に。
前走で牡馬を破ってオールカマーを制したセンテリュオですが、相手のレベル的にはとてもじゃないですがG2と言えるものではなく、求められる適性も違いが大きいため、ここでは消すことにします。
人気薄ながらも府中牝馬ステークスを圧勝したサラキアですが、2200mの距離に疑問が。サリオスの半姉だけになんとか能力で凌ぐ可能性は否定できませんが、ベストは1600~1800と見ているため、ここでは消します。
余談ですが、ラヴズオンリーユーとお母さんのラヴズオンリーミー、どっちかどっちだけ良くわからなくなってた頃がありました。
そんな人、他にいませんか?笑
2020年 天皇賞(秋)予想
秋華賞ではデアリングタクトが制して牝馬三冠を達成、菊花賞ではコントレイルが際どい競馬ながらこれを制して牡馬三冠を達成。
そして今週は既に牝馬三冠を成し遂げているアーモンドアイが天皇賞へと出走してきます。
日本の競馬史に於いて牡牝合わせて13頭しか成し遂げられていない三冠。
そんな偉大な三冠馬が3週続けてターフに姿を見せることになります。
勿論、こんなことは史上初。
そもそも三冠馬が同時期に3頭も現役に存在すらしたことすらないのですから当然ではありますね。
一昨年、牝馬三冠を制した上にジャパンカップを世界レコードを計時して圧勝して見せた怪物アーモンドアイ。
それから2年の月日が流れ、彼女の制したG1タイトルは既に7つを数えます。
前走の安田記念ではグランアレグリア(後にスプリンターズステークスをも勝利)に敗れてしまいましたが、この天皇賞は昨年ダノンプレミアム以下に決定的な差をつけての圧勝を見せており、今回はディフェンディングチャンピオンとしての出走となります。
アーモンドアイはいわゆるクラブ馬主シルクホースクラブの所有馬であり、クラブの規定により5歳一杯での引退、繁殖入りとなる見通しとなります。
暮れの香港国際競走に登録がなされており、この天皇賞もしくは香港がラストランとなる可能性が強くなっています。
この1戦、もしくは2戦で日本競馬史上初となるG1競走8勝を成し遂げることが出来るのか。
迎え撃つ馬は計11頭。
その殆どがG1勝ちもしくはそれに匹敵する実績を残している馬達となります。
G1勝ちのない馬はカデナ、ジナンボー、スカーレットカラー、ダイワキャグニー、ダノンキングリーの5頭でその全てに既にG1出走の実績もあります。
昨年のこのレースも非常に高い水準のメンバーが揃い、非常に大きな話題となっていたのですが、今年も昨年に勝るとも劣らないだけの好メンバーが結集しています。
週末の東京競馬場は降水の可能性は低くなっており、良好な馬場状態で開催が行われる見通しとなります。
ここまでの開催を見る限りは極限レベルの高速馬場ではなく、ある程度流れた富士ステークスでも勝ち時計は1:33.4となっており、近年の東京競馬場の芝コースとしてはやや時計が掛かる馬場状態が続いているようです。
今回のメンバーを見る限り強引にでもペースを引き上げようという馬は見当たりませんが、キセキがどのような作戦に出るかにもよりますね。
キセキがハナを切っていかなければ押し出されるような形でダノンキングリーやダイワキャグニーあたりが先手を取るのかもしれません。
そうなるとあまり早いペースにはなりそうもないですね。
勝ち時計は1:57~1:58くらいでしょうか。
では、予想に行きましょう。
天皇賞(秋) 予想
◎ アーモンドアイ
〇 クロノジェネシス
▲ スカーレットカラー
△ ダノンプレミアム
何と3頭出走してきた牝馬全てに上位の印を打つことになりました。
◎には昨年覇者のアーモンドアイ。
昨年の競馬をされれば勝てる馬はこのメンバーの中にはいないでしょう。ただ、昨年は勝ち時計が1:56.2の好タイム。裏返せば昨年より多少時計が掛かる公算が高いです。高速馬場を得意とする同馬だけにプラスとは言えないかと。枠順も昨年は好位を取るには絶好の2番枠だったのが今回はやや外目の9番枠となり、こちらも昨年以上とは言えないかと見ています。付け入る隙が全くないとは言えないと見ています。追い切りでは良い動きを見せており、休み明けとは言え、これは予定通りの臨戦過程ですから減点材料にはならないと見ています。たとえ敗れることになったとしても力は見せてくると見て絶対的ではないながらも◎評価にします。
この馬の本質としては多少時計を要する馬場がベスト。その点では東京芝コースにはやや不安もあるのですが、幸いにして今の東京はそれほど早い馬場ではありません。
この春の快進撃は馬場の適性が向いたことは間違いなくあるとは思いますが、それ以上に馬自身の成長に依るところが大きいと見ています。
極端な瞬発戦となると厳しい面はあるかと思いますが、十分に勝負出来ると見ています。
▲には人気薄のスカーレットカラーを。
正直、実績も含めて力関係を見ると厳しいと思わざるを得ない同馬。ですが、ハマった時には爆発的な斬れを幾度も見せています。条件はベストと言えるものですし、後ろから進める可能性の高い同馬にとっては12頭の頭数ならば直線で前を捌きやすくもなりますし、脚を上手く溜められればチャンスもあろうかと。
△に昨年の2着馬ダノンプレミアムを。
安田記念では全くの不完全燃焼で大敗していますが、能力自体は紛れもなくG1級。
やや外目の枠がどう出るかではありますが、ここを目標にキッチリ仕上げてこれた印象で、2着になった昨年と同様に巻き返しは可能と見ます。ただ、それほど信頼感は高いとは思えないため、人気になり過ぎるようなら消しても良いかと。
これら4頭に続くところとしてはブラストワンピースとフィエールマン。
ブラストワンピースは最内枠が吉と出るか凶と出るか。多少時計を要する馬場への適性はあるだけに上位進出も十分。フィエールマンは2000mの距離がどうかだが、状態自体は悪くはないようで、広い東京コースへの適性も十分あると見ます。
無敗のクラシック三冠馬コントレイル誕生
このレースを制したのはコントレイルでした。
これでコントレイルは7戦7勝。
シンボリルドルフ、父のディープインパクトに続き無敗でのクラシック三冠制覇となりました。
2歳時にホープフルステークスを制しているという意味では実績面に於いては現時点で父をも超えることとなりました。
通常ならG1レース直後にはそのレースの回顧記事を掲載するのですが、今回は歴史に残る偉業を成し遂げたコントレイルに焦点を当ててレースを振り返ることにします。
コントレイル、三冠への軌跡
ホープフルステークス、皐月賞、ダービーと他馬に付け入る隙を見せずに勝ち続けてきたコントレイル。陣営は距離への不安があることを承知の上で菊花賞へ向かい、クラシック三冠に挑む選択を取ります。
秋緒戦に選ばれたのは中京競馬場芝2200mで行われる神戸新聞杯。
道中、中団に付けたコントレイルはコーナーでややもたつくも直線に向くや一瞬で馬群から抜け出して、後方から追い込んできたヴェルトライゼンデの追撃も難なく抑えて2馬身差で完勝し、改めて力の違いを示すこととなります。
同馬にとっては乗り越えなければならない最大の難関でもある3000mの超長距離戦。
この馬のデビュー戦で手綱を取った福永騎手は距離は1800mがギリギリではないかとの見解を示していました。
矢作調教師も概ね同じような印象を持っていたようで、この時点ではダービーすらまだ視界には十分に入っていなかったようです。
血統的にも父のディープインパクトは3200mの天皇賞を制してはいますが、本質的には決してステイヤーではなく2000~2400mを得意としたミドルディスタンスホース。産駒達にもそうした傾向は受け継がれています。
アンブライドルズソング産駒の母は代々北米のスピード系種牡馬が重ねられた血統を持ち、現役時は短距離ばかり7戦。姉のアナスタシオは主に短距離戦線で使われ、兄のバーンフライも主にマイル以下の距離で使われていたように母系は比較的短い距離に適性を示しています。
客観的に見てもコントレイルが長距離への適性を持っている可能性はかなり低いものと思われる状況。それだけに3000mという距離に対しての不安は決して楽観視出来るものではありませんでした。
そんな不安を抱えながらのゲートイン。にも関わらず、単勝オッズは1.1倍と父ディープインパクトに迫る人気振り。その数字は言ってみればそのまま福永騎手を始めとした陣営への重圧の重さとも言えるのかもしれません。
ゲートが開き、コントレイルは無難にスタート。内目の好枠を生かしてスッと先行グループに加わっての序盤。前では猛然とハナを奪ったキメラヴェリテが後続をやや引き離して先導、バビットが少し離れての追走となり、コントレイルはやや位置を下げて7番手付近での追走でホームストレッチへ。
父ディープインパクトはこのあたりで馬が勝負所と勘違いしてスパートしてしまいましたが、コントレイルは時折行きたがる素振りを見せながらも福永騎手は何とかなだめながら抑える姿勢。それをすぐ外にピッタリとマークする形でルメール騎乗のアリストテレスが並走する形。
逃げるキメラヴェリテのペースは一定しない一方で、後続の馬達はこれを半ば無視しているように向こう正面での追走劇。
コントレイルは折り合いをつけるべく最内での追走。向こう正面に向いても行きたがる素振りは変わらずお世辞にも折り合いがついているとは言い難い状況。それに外から蓋をするようにピッタリとマークし続けるルメールとアリストテレス。
密着マークは3コーナーを回っても続いて行く中でコントレイルとアリストテレスがスパートを開始、最終コーナーを迎えて両馬は外に持ち出して4番手付近にまで進出。
直線に入って各馬とも荒れた内側を避け、外に大きく広がる中で早くもコントレイルが先頭を窺う態勢に。
そして終始マークしていたルメールとアリストテレスがここで外から一気に勝負を掛けてコントレイルに並び掛け、ここからはこの2頭のマッチレースの様相に。
流石にこの距離と重たい馬場の影響なのかいつものような斬れが見られないコントレイルとこれに並び掛けながらもなかなか差し切れないアリストテレス。
最後までコントレイルは僅かなリードを守り抜き、会心のレース運びを見せてきたアリストテレスの追撃をクビ差振り切って1着でゴール。
この瞬間、同馬は無敗のままクラシック三冠を完全制覇。
世界でも例を見ない、無敗でのクラシック三冠を親子で成し遂げたのでした。
コントレイルへの評価
春シーズンの時点で個人的にこの馬に対してはドゥラメンテと同等か若干上くらいの実力を有しているのではないかとの見解を持っていて、父ディープインパクトやオルフェーヴルにはやや及ばないくらいの能力ではないかと見ていました。
この菊花賞を経て、その評価は正直に言ってほぼ平行線といったところです。
ただ、どう考えても適しているとは思えない3000mの超長距離を各馬が内を避けて走るほど痛み、力を要する馬場状態を考えればやはり並大抵の能力ではなかったな、という印象です。
ベストは2000mくらい。
東京ならば2400mは十分問題なく走ってくると見ますが、本質的には2400mでも長いとの見解はほぼ変わりありません。
舞台がパリロンシャンやアスコットの2400mならば厳しいと言わざるを得ないかと思います。
多少、重い馬場でもこなせるもののある程度早い時計が出るような馬場の方が適しているでしょう。
イメージとしてはディープインパクト少しだけスケールダウンさせてをやや短距離寄りにシフトさせたくらいでしょうか。
ただ、操作性は前述したディープインパクトやオルフェーヴルを上回っているように感じられます。
これがあったからこそコントレイルは無敗のままG1で4勝を挙げることが出来たのだと見ています。