うまコラ

競馬歴28年の筆者が綴る競馬コラム

競走馬の強さって何だ?

何かと良くあるのが「最強馬論争」。

この馬が最強だ、いや、馬の方が強い…と、いった話は昔から実に良く聞かれるものです。

古い競馬ファンならばシンザンやタケシバオーだったり、4、50代くらいの方ならばシンボリルドルフだったりすることが多いですし、もう少し若い年代のファンならナリタブライアン、ディープインパクトといった名前を挙げる人も多いでしょう。
最近のファンだったらアーモンドアイの名を出す人もいることでしょうね。

しかし、それを実際に比較することは出来ない以上、絶対に結論なんて出るものではありません。

時代も舞台も違うものを比較なんてしようがないですからね。


タイトルにも示しましたが、そもそも競走馬の「強さ」って何でしょう?

芝が向く馬もいればダートが向く馬もいる。

まあ、当たり前のことです。


では具体的にルヴァンスレーヴとアーモンドアイ。
どちらが強い?
と、聞けば多くの人はとりあえずアーモンドアイの名を挙げるんじゃないかと思いますが、競う舞台がダート中距離ならば、アーモンドアイと言えどルヴァンスレーヴに勝つことは容易ではないと思います。

日本では芝中長距離路線の人気が高く、どうしてもその路線で強さを発揮する馬が評価されがちですが、芝中長距離で強い馬が最も強いなんてことは言い切ることは難しいのはわかるかと思います。

今は例えに分かりやすいように芝とダートというくくりで挙げてみましたが、それと同じように中山芝2000mが最も力を発揮出来る馬もいますし、京都芝2400mがベストという馬もいます。
早いタイムの出やすい高速馬場が向く馬も冬の荒馬場で強さを見せる馬もいます。

「強さ」なんてものは如何に抽象的なものなのかが窺い知れますよね。

まあ、個人的に予想を行う上でもこの点は多少なりとも意識しているところで、対象となるレースでいかに強いであろう馬を的確に見抜くことが出来るかは結果にも直結するところです。

競馬というものは馬が走るものですが、馬の走力だけでは競馬になりません。
臨戦過程に始まり、舞台となる競馬場があり、騎乗する騎手がいて、天気があり、馬や騎手の体調や思惑などもある。

無数にも存在すると思える様々なファクターが複雑に結びついた中で行われるのが競馬です。

そしてその無数に広がるファクターには統一基準みたいなものは存在しません。

故に最強馬議論は不毛なものと思えてしまいます。


かつて凱旋門賞で壮絶な叩き合いの末にエルコンドルパサーを降して優勝したモンジュー。
そのモンジューは2ヶ月後にはジャパンカップでスペシャルウィークの前に完敗を喫しています。
しかし、スペシャルウィークは前年のジャパンカップではエルコンドルパサーに完敗しています。

そんなもんです。


ただ、この最強馬議論、確かに結論の出ない不毛な議論なのですが、個人的にはそれほど嫌いでもありません。
各々に様々な思いや思い出、記憶があり、それを語り合うことそのものは確かに楽しいことでもあります。

その点に於いては決して不毛ではないんでしょう。

ただ、その際には自分の価値観こそが全てであるという考えの元には争いしか生じません。
他人の価値観は否定することしか出来ませんから。

そうした価値観を持つ人については正に「不毛な議論」にしかなり得ませんよね。

私自身も含めて幅広い価値観に対して柔軟に理解していければいいと思います。