2019年 きさらぎ賞&東京新聞杯回顧
少し遅いタイミングとなってしまいましたが、きさらぎ賞と東京新聞杯の回顧をしていこうと思います。
きさらぎ賞
例年、少頭数になることが多いこのレースですが、今年も8頭と重賞としてはかなりの少頭数のレースとなりました。
1番人気になったのは東京スポーツ杯2歳ステークスで僅差の3着、暮れのホープフルステークスでは直線で大きな不利を受けて6着に敗れたヴァンドギャルドでした。
続いて、アガラス、ダノンチェイサー、エングレーバーとここまでが単勝10倍以内。
スタート後、ハナを切っていたのは人気薄のランスオブプラーナ。後続をやや離して単独で先頭を疾走。続いていったのはダノンチェイサー。
その後にエングレーバー、ヴァンドギャルド、コパノマーティン、アガラス、メイショウテンゲン。ダッシュが付かず1頭だけ離れて最後方から追走するタガノディアマンテ、という隊列に。
先頭を走るランスオブプラーナの1000m通過タイムは61.2。
今の京都の馬場は荒れてきていることもあり、ほぼ平均ペース。
ランスオブプラーナと後続の差は縮まらず、2番手以下の馬群が詰まり、一団となりながら3コーナーへ。
ランスオブプラーナが先頭のまま後続とのリードを保ったまま、直線に。
馬群の中からはダノンチェイサーが目立つ脚で伸びを見せて、ランスオブプラーナとの差をグイグイと縮めてきている。
と、共に外に持ち出したタガノディアマンテも豪快に伸びてくる。
結局、ダノンチェイサーが悠々とランスオブプラーナを差し切って完勝。
2着には最後方からのレースながら最速の上がりをマークして追い込んできたタガノディアマンテ。
最後まで粘りを見せたランスオブプラーナがヴァンドギャルドとの3着争いを制してゴール。
アガラス、エングレーバーは力を出せないまま、惨敗しています。
勝ったダノンチェイサーですが、終わってみれば典型的なきさらぎ賞の勝ちパターンでした。無理なく追走しながらも逃げ馬を泳がせる展開。
好位につけていたことで後続とのポジション争いについても先手を打て、後は抜け出すタイミングを見計って追い出すだけでした。
確かに川田騎手のレース運びは上手いものでしたが、それだけでなく純粋に馬の強さなしにはこの走りは出来なかったでしょう。
セレクトセールで高額で落札され、早くからその素質を評価されていながらも、デビュー当初はそれほど際立つ走りは見せていなかったのですが、キャリアを重ねながら能力が開花しつつあるのかもしれませんね。
2着に入ったタガノディアマンテ、序盤はダッシュがつかずに大きく離された最後方からの競馬。勝ったタガノチェイサーとは対照的に後手に回らざるを得ない中で、外をぶん回して伸びてきました。
ある意味、オルフェーヴル産駒らしい荒っぽいレースでしたが、それがかえってこの馬の強さを感じさせるものとなりました。
素晴らしい脚で追い込んできているようにも見えるのですが、一瞬の斬れというよりは長く脚を使ってきており、距離は伸びても問題ないようにも感じますね。
ヴァンドギャルドとの3着争いを制したランスオブプラーナですが、松山騎手が非常に絶妙なペースを作り出していました。
これまで1400m戦だけを使ってきたこともあり、一見するとスピードに任せて行かせているように見え、後続も無理に追走しなかったのですが、実際には3ハロン目を過ぎたあたりから巧みにペースを落としており、結果的にそれが終盤の粘りに繋がることとなり、直線に入った8ハロン目で11.5のラップを刻んできています。
そもそもケープブランコ×マンハッタンカフェの配合ですし、短距離馬ではなかったということでもあるでしょう。
人気のヴァンドギャルドは良い位置にいながらもそれほど伸びは見られませんでした。
正直、何が原因でこの程度の走りだったのかはわかりかねています。
今後、クラシック戦線を見ていくうえでは上位2騎がどういった成長を見せるかというところがポイントになるように感じますね。
恐らく現状のままではクラシックで勝ち負けに持ち込むのは容易ではないと思いますが、どちらも急成長を見せている馬だけに更なる上積み次第では勝負になるところまで行くかもしれないと見ます。
東京新聞杯
ここをステップに勢いに乗ろうとする4歳勢と歴戦のG3クラスマイラー達との一戦という構図のレースでしたが、勝ったのは連勝で勢いに乗る人気の4歳馬インディチャンプでした。
ここを勝ったことで賞金的にはだいぶ余裕が出て、G1も視野に入れることが出来そうですね。
そのインディチャンプ、スタートでいきなり出遅れ。
1頭取り残される形でのスタートとなってしまいましたが、そこからはスピードに乗せていってすんなりと馬群の中ほどに取り付いていっています。
それとは対照的にレイエンダはスタート後のダッシュが良くなく、後方へ。
前はショウナンアンセム、ロジクライ、テトラドラクマなどが先行。
前半800mの通過タイムは45.7とやや早いと思えるペースに。
冬期間ながらもこの日の東京芝コースはかなり早い時計が出るスピード馬場となっていたのですが、それを加味してもそれほど楽なペースでもなかったかと思います。
その後もペースは落ちることなく、馬群は直線に。
ロジクライが先頭に立つも、やや内目の位置からインディチャンプが良い手応えで進出、早々と先頭に並び掛けていく。
一旦は完全に抜け出したインディチャンプでしたが、馬群の中からレッドオルガが、内からはサトノアレスが鋭く伸びてきてインディチャンプに迫るも、インディチャンプの脚は止まることなく押し切り。
接戦の2着争いはレッドオルガが先着、サトノアレスが3着に。
見事に人気に応えたインディチャンプですが、着差こそそれほど大きくはないものの見せた強さは一枚上のものでした。
結構な出遅れだったのですが、その後が早かったですね。
あっさりと馬群の中ほどまでポジションを上げ、そこで一旦は10秒台の脚を使っていながらも直線では最後までしっかりと伸びを見せてきました。
道中でしっかりと脚を溜められる展開ではありませんでしたが、それでも33.5の上がりで伸びてきており、このメンバーに入っても実力が上だったという印象ですね。
お母さんは短めの距離で活躍していた馬ですが、個人的には安田記念以上に大阪杯で走りを見てみたいところです。
2着はレッドオルガ。
この馬にはうってつけの展開ではなかったかと思いますね。
こうした早い上がりでの瞬発力勝負でこそ持ち味が生きてくる馬だと思っています。
これ以上後ろでは届きませんし、前だと斬れが鈍る、そんな絶妙な位置取りだったと思います。鞍上の北村騎手はこれが2回目のコンビでしたが、絶好のレースは見せたと思います。
反面でいつでもこうしたレースが出来る馬ではないので、次走以降で人気になるようならどうでしょうか。
3着に昨年の2着馬サトノアレスが内から伸びてきました。
こちらも柴山騎手が内からロスの少ないレースで上手く立ち回りました。
ディープインパクト産駒らしい瞬発力とこの位置取りが上手く噛み合いましたね。
前走が大敗だったことでやや人気は落としていましたが、このくらいは十分に走れる馬でしょう。
残念だったのはレイエンダ。
ダッシュがつかずに後方に置かれてしまい、開き直り気味に最後方からの末脚に掛けようとするも前が止まらず、自身は32秒台の極限レベルの脚は使いましたが到底前に届くものではありませんでしたね。
流石にこの程度で終わる馬ではないと思います。
タワーオブロンドンは5着。
レース自体は上手く立ち回っていたとは思いますが、この高速馬場には向かなかったかもしれませんね。
もう少し時計の掛かる馬場でオンオフのある展開の方が持ち味は生きるように思います。
インディチャンプの強さが光ったレースでしたが、まだ更なる上積みがあるかもしれないですね。
この馬自身、無理使い出来ないところもあってここまでは大事に使われてきましたが、最近は調教でも以前よりしっかり追えるようにもなってきていますし、馬自体がさらにしっかりしてくるようなことになれば、G1のタイトルをも十分に狙っていけるだけの可能性を十分に感じます。