種牡馬 マンハッタンカフェ
今回はマンハッタンカフェを。
2015年8月に17歳で病気のためにこの世を去ってしまっているこの馬、今年の3歳世代がラストクロップとなります。
父はサンデーサイレンス(その父ヘイロー)、母はロウソサイエティ産駒のサトルチェンジという血統。半兄にオールカマーを制したエアスマップ(父デインヒル)がいます。
早くから父サンデーサイレンスに良く似た馬体で評判になっていたマンハッタンカフェでしたが、デビューはやや遅れて3歳になってから。
そのため、春のクラシックには間に合わず1勝を挙げただけでしたが、夏の札幌で短期休養から復帰。復帰初戦は何と46キロの馬体重増で出てきて快勝、続く1000万下特別でも難なく連勝を決め、菊花賞戦線のダークホースとして名乗りを挙げることに。
セントライト記念は4着と煮え切らない内容を挟んで挑んだ菊花賞では、人気のジャングルポケットらを相手に豊かな持久力を発揮して優勝、一躍トップホースの1頭へと駆け上がることに。
続く有馬記念では断然人気の帝王テイエムオペラオーらに挑み、中団から鋭い末脚を発揮して優勝。
夏まで500万下条件にいた馬が僅か5か月足らずの間にG1レースを連勝するという離れ業を成し遂げます。
翌春、日経賞では6着と不覚を取る走りながらも、1度使われて一変したのが天皇賞。
ジャングルポケット、ナリタトップロードと並び3強ムードだったこのレース、実際にこの3頭の激しい戦いとなるのですが、この激戦を制してG1レースで3連勝となります。
ステイヤー資質を持ちながらも瞬発力も併せ持っていたマンハッタンカフェですが、次に狙いを定めたのは凱旋門賞でした。
エルコンドルパサーでの参戦経験もある蛯名騎手を背にロンシャンへと乗り込んだのですが、凱旋門賞のレース中に屈腱炎を発症してしまい、13着と大敗。
と、共に現役引退、翌春からの種牡馬入りとなりました。
産駒のデビュー前より馬産地ではその評価も高く、父サンデーサイレンスがこの世を去ったばかりということもあり、早くから大きな期待を掛けられていたマンハッタンカフェ。
血統的にも母系に主流血脈を持たないことから配合の幅も広く、産駒達のデビュー後、飛び抜けた大物は出さないまでも比較的高い水準の産駒が続々と出始め、2009年にはリーディングサイアーに輝くことになります。
その後、長きに渡ってリーディングトップ10内に君臨し、その中からレッドディザイア、ヒルノダムール、ジョーカプチーノ、グレープブランデー、クイーンズリングといったG1勝ち馬を出してきています。
非常にサンデーサイレンスに似ていることで有名で、サンデーサイレンスを題材にした映画作品ではサンデーサイレンス役を演じたことでも知られるマンハッタンカフェですが、種牡馬としても「プチサンデーサイレンス」的な産駒傾向が見られていました。
では、そんなマンハッタンカフェ産駒達の傾向を見ていきましょう。
データは産駒のデビューから2019年5月5日までとなります。
マンハッタンカフェ産駒ー距離適性・芝
自身の現役時は典型的なステイヤーとしての成績を残していたマンハッタンカフェですが、種牡馬としてはご覧の通り、距離に関してはほぼオールマイティーな成績を残しています。
その中で最も成績が良いのは1400~2200mあたりとなっています。
意外?と、それ以上の距離についてはやや成績は落ちており、ステイヤーはそれほど多くはなく、3000m級のレースで活躍しているのはヒルノダムールとシャケトラだけとなっています。
母系にはスタミナ豊かな血統を持ち、自身もステイヤーとして高い資質を見せていたマンハッタンカフェですが、種牡馬としては父のサンデーサイレンスの影響が強いのか中距離指向が見られますね。
では、ダートも見ていきましょう。
マンハッタンカフェ産駒ー距離適性・ダート
芝種牡馬としてのイメージが強いように出走回数も明らかに少なくなるのですが、実は複勝率を見てもわかるようにその数字は芝に引けを取りません。
また、ダートでも芝同様に距離に関してはほぼオールマイティーということがわかります。
ただ、それでも芝と比較するとやや人気程は走ってはいないので、積極的にダートで狙おうという種牡馬ではないようです。
非力なイメージもあるようですが、馬場が渋った際にどうか見てみましょう。
マンハッタンカフェ産駒ー馬場状態別成績・芝
良馬場がベスト、ではありますがやや重馬場、重馬場になってもパフォーマンスはそう大きく変わらないことがわかります。
むしろ単勝回収率に関してはやや重以上の際には100%を超えてきます。
馬場が渋った場合にも特に評価を変えなくでも良さそうです。
では、続いてダートも見てみましょう。
マンハッタンカフェ産駒ー馬場状態別成績・ダート
ダートに関しては良馬場、やや重馬場の成績が良好となっています。
その一方で悪化した場合の信頼性は低く、不良馬場に於いては買いにくい成績となっています。
では得意なコースについても見ていきましょう。
マンハッタンカフェ産駒ー得意コース
ここでは出走回数100回以上のコース(全51コース)にしています。
意外にもダートのコースも上位に入っています。
はっきり言ってバラバラですね(笑)
直線の長いコースも短いコースも入りまじっていますし、短距離も中距離も入っています。
最後に相性の良い母の父も見てみましょう。
マンハッタンカフェ産駒ー母の父別成績
こちらも出走回数100回以上のフィルタリングを行っています。
ストームキャットやヌレエフなどのビッグネームの中にやや主流を外れた血統、ドクターデヴィアスやメジロマックイーン、サクラユタカオーらの名もあります。
ミスタープロスペクター系のダートが得意な種牡馬はこの中にないように比較的芝での実績を持つ種牡馬が上位に多いようです。
種牡馬として見て、どうしてもスケール感の小ささが目についてしまう側面はあるのですが、それでありながら多数の産駒が地道な活躍を見せ続けてきたことでリーディングサイアーにまで昇りつめたことは紛れもない事実。
残された産駒は多くはないですし、後世にその血が残っていくのかは怪しいところなのですが、あっさり消えさせてしまうには惜しい種牡馬だと思います。
その点ではシャケトラの早逝は実に残念なのですが、残された産駒達には何とか頑張ってほしいところですね。