うまコラ

競馬歴28年の筆者が綴る競馬コラム

女性騎手への負担重量軽減制度導入へ

こんにちは、ゆ~じ~です。

 

今日触れるのは、JRAより発表された女性騎手に対する負担重量の減量制度の導入について。

 

これまでJRAでは女性騎手に対しても男性騎手と同じ扱いがなされており、斤量などの優遇措置は行われてきませんでした。

走るのは馬であるとは言え、男性騎手との比較となるとどうしても腕力、瞬発力などのフィジカル面に於いては劣る面があるのは確かで、これまでJRAでは7名の女性騎手が登場してきているものの、重賞勝ちを収めた騎手も通算50勝以上収めた騎手も存在していません。

 

藤田菜七子騎手が登場し、これまでのJRA女性騎手の歴代記録を次々に更新する活躍を見せていますが、それでも男性騎手との比較となると歩が悪いのは明らかな状況でした。

 

このためマスコミなどで女性騎手に対する優遇措置の話題が出てくることもあったのですが、それにJRAが本腰を入れて動き出したということですね。

 

具体的には2019年3月より女性騎手に対しては一般競走に限り、

 

・ 通算50勝以下の場合は負担重量4キロ減

・ 通算51~100勝の場合は3キロ減

・ 通算100勝以上の場合は2キロ減

 

と新たに定められました。

このルールはJRA及び地方競馬に所属する女性騎手に対して該当し、短期免許で来日する外国人騎手には適用されないということです。

「一般競走」に限られるので特別戦については従来通り、見習い騎手、女性騎手に対しても負担重量の軽減制度は適用されないとのことです。

 

前述の藤田菜七子騎手については現在は見習い騎手として2キロの斤量減となっており、そのメリットを生かしながら2018年は11月25日時点でJRAで25勝を挙げています。

今の調子ならば来年3月までに通算50勝はクリアしそうなだけに、一旦は1キロ減とより厳しい負担重量にはなりますが、3月以降は3キロ減となることになります。

それ以降、更なる活躍を見せて通算100勝をクリアしても現在と同じ2キロ減で騎乗出来ることとなります。

 

これまでに誕生した女性騎手は見習い減量期間後は騎乗が著しく減ってしまい、騎手として活躍することはなく引退、もしくは引退同然となってきていたのが実状でしたが、この状況が今後変わってくる可能性が出てきました。

 

また、今現在で競馬学校にも女性騎手候補生がデビューを控えて経験を積んでいたりもしますし、この制度の導入で騎手を志す少女達も少なからず現れてくるのではないかと思われます。

 

 

競馬はギャンブルであると同時にプロスポーツとしての側面は確実に持っており、プロスポーツというものはショービジネスでもあります。

かつては男性だけだった騎手の世界であるだけに女性騎手はその存在自体が貴重であり、おのずと人気を集めることになります。

事実、藤田菜七子騎手の騎乗時は彼女の騎乗馬が過剰人気になりやすいことは既にデータ面でも表れております。

JRAにしてみても新人騎手育成には多額の費用を掛けており、「競馬人気を牽引し得る可能性のある女性騎手」には配慮しなければならないとの結論に至ったのでしょう。

 

余談ですが、某騎手の話によると1人の騎手をデビューさせるまでにJRAは数千万円から億のレベルで費用を掛けているそうですよ。

 

ただ、この制度で女性騎手が実際にどの程度の活躍を見せることになるのかはまだまだ未知数なんですよね。

何せ、初めての試みですから。

 

ただ、フランスでは日本に先駆けて女性騎手への減量制度が導入されており、日本とはぼ同じようなルールの元に同様に女性騎手に対して2~4キロの負担重量軽減がなされていたですが、こうした措置の影響もあってか今年のフランスリーディングジョッキーランキングの10位に23歳の若手女性騎手ミカエル・ミシェル騎手が71勝を挙げてランクインしております。

また、女性騎手の勝利数は全体で従来の2.6倍以上に、騎乗機会も2倍程になったとのことです。

そのため一部からは「優遇し過ぎだ」との声が強く挙がり、物議を醸しました。

 

それに応えた形なのか今年からは2キロだった負担重量の軽減が1.5キロに縮小されることも明らかになっています。

 

まあ、出る杭は打たれる…と、いうことなんでしょうか。

 

JRAも当然このことは把握しており、細かな見直しは制度運用後の展開によって実施していく方針であることも明らかにしています。

 

 

 

で、馬券を買う側であるファンとして、

 

『じゃ、それでどうなるんだ?』

 

となるかと思います。

 

 

実際に女性騎手に対する減量制度を実行しているフランスでは、

「2キロ減の場合、2400m戦で計算上は3馬身強のアドバンテージとなる」

との文献もあるそうです。

タイムにして大体ですが、0.6秒くらいですね。

 

日本の場合は芝馬場、ダート馬場それぞれでのスピードの出方やコーナーリング、傾斜の大きさなどフランスと違う部分も多いため、一概にこのまま当てはめるのは難しいのですが…。

 

 

ここからは個人的な予想となるのですが、先程触れているように女性騎手はその存在自体で人気を集めやすく、いわゆる回収率の側面で見ると過剰人気になりやすい存在です。

この制度の導入で今後、女性騎手の活躍が多くなりそうですが、そのアドバンテージは買う側は当然ながらそれを加味した上で予想を行うため、オッズにも反映されてきます。

 

恐らくですが、回収率に於いては、

 

『女性騎手騎乗馬の好走率は上がってくるので無視しにくくなるものの、回収率は美味しくない』

 

と、なるのではないかと思います。