2018年 有馬記念出走各馬評価 1
木曜日夕方に東京都内の特設会場にて行われた枠順抽選会にて有馬記念の出走各馬の枠順が確定しました。
そこで今回は出走する予定の各馬について個々に触れてみようかと思います。
1枠1番 オジュウチョウサン 牡7 武豊
障害競走史上最強とも称された名馬が平地の条件戦2連勝を経て、ファン人気投票上位の資格で念願の有馬記念に挑むことに。
今年の平地競走2戦では先行策を取っていた同馬ですが、最内の1番枠を引き当てて前目の位置を確保するには良い枠となりそうです。
父のステイゴールドは中山芝2500mではこの有馬記念を含め、非常に実績を残している種牡馬で、牡馬の産駒に限るとこの10年間での複勝率は40%を超え、この条件に於いてはナンバー1の成績。
母父のシンボリクリスエスは有馬記念を連覇しており、種牡馬としても中山芝2500mでは好成績を残しています。
昔からロベルト系の種牡馬が有馬記念で非常に強いのは有名ですが、この血を持っているのは好印象ですね。
秋はこれが2戦目となり、1000万下条件の南武特別を勝って以来、中6週。
当初の予定と若干狂いはありましたが、早くからこの有馬記念を目指して調整を続けており、臨戦過程に於いての問題は特にないかと思います。
騎乗するのは武豊。
昨年はキタサンブラックとのコンビで優勝していますが、近年この条件では実はそれほど好成績ではありませんね。
49歳となった今でも技術的には高いものがありますが、どうしても「武豊」という名前が強烈で人気先行しやすいことは事実でしょう。
話題性が非常に強いため、ある程度の人気は受けるだろうと思いますが、全く無視しにくい存在でもありますね。
1枠2番 クリンチャー 牡4 福永祐一
昨年の菊花賞で2着して穴馬券を演出し、京都記念を制してその実力が確かなものであることを証明したこの馬、秋にはフランス遠征を行って前走凱旋門賞では17着と大敗して帰国、ここに挑んできました。
中団~好位からの競馬をすることが多く、今回は2番枠と内枠を引き当てたこともあり、ある程度前からレースを進めてくることが推測されます。
父のディープスカイはアグネスタキオン産駒のダービー馬ですが、マイル~中距離で活躍を見せた自身の競走成績とイメージは違い、1800m以上で渋とい脚を使うタイプで瞬発力が削がれるような力を要する馬場に適性が感じられます。
母父のブライアンズタイムは20年程前の有馬記念では素晴らしい活躍を見せたロベルト系種牡馬で、ナリタブライアン、マヤノトップガン、シルクジャスティスが有馬記念を制しています。
これまでの実績も鑑み、ある程度時計が掛かる馬場には強い適性を持っていそうです。
フランスで2戦して、これが3戦目となります。
2戦とも全く良いところない大敗でしたが、3戦目というのは近年のG1に挑むローテーションとしては最も好成績を残しているものとなります。
フランスではまるで通用しませんでしたが、昨秋~今春の出来にあるならここで好走してきても不思議ではないですね。
今回タッグを組むのは初コンビとなる福永祐一。
あっと、驚くようなレースあまりは見せないながら、ソツのない騎乗が出来る優等生タイプの騎手ですね。
それほど騎乗数はありませんが、このコースでの実績はさほど良くないようです。
2枠3番 モズカッチャン 牝4 M・デムーロ
昨年のエリザベス女王杯馬で、それ以降は勝ちはないものの、比較的レベルの高い相手にまずまずの好走を続けています。
これまでのレース振りを見ていくと先行、差し、追い込みと様々な戦法を取っており、今回は内の3番枠を引き当てました。
是が非でも前に行って引っ張りたい馬はいないので、好枠を利して先行してくるかもしれませんね。
父のハービンジャーはまだ比較的若く、この馬が牝馬ということもあり、産駒の出走実績自体がほとんどないのですが、牡馬はそこそこの結果も出しています。
クラシックディスタンス向きの持久力と一定以上のパワーはあり、ここでも減点にはならないかと見ます。
母父はキングカメハメハ。
母父としての実績はまだあまりありませんが、産駒はこの条件ではまずまずの活躍を見せています。
騎乗するのは昨秋以降主戦を務めるM・デムーロ。
今年も既に150勝を挙げ、C・ルメールに次ぐリーディング2位の実績を持つ名手で8年前にはヴィクトワールピサで有馬記念を制しています。
この条件は騎乗数が少なく、向き不向き云々は言い難いですが、優れた感性の持ち主でもあり、無様な競馬はしなさそうですね。
2枠4番 マカヒキ 牡5 岩田康誠
一昨年のダービーでサトノダイヤモンドを下して優勝、その後のフランス遠征でもニエル賞(G2・芝2400m)で優勝しています。
が、それ以降はそこそこの走りは見せるものの勝ちには恵まれておらず、夏の札幌記念でも僅差ながら2着に敗れています。
故障後、夏に復帰してからこれが3戦目となり、ここに至る臨戦過程としては良好と言っていいかと思います。
基本的に後方から進めて溜めた末脚を爆発させるタイプだけに枠の影響はあまり受けないように感じます。
父は日本最高の種牡馬であるディープインパクト。
ですが、中山芝2500mとは相性は悪く、牡馬で勝ったのはサトノダイヤモンドただ1頭(牝馬はジェンティルドンナなど3勝していますが)しかいません。
マカヒキも典型的なディープインパクト産駒の特徴を示しているだけにここは厳しいとも感じられます。
尚、母父はフレンチデピュティ。
マイラータイプでこの条件に仔や孫が出走することもそれほど多くはないので適性云々を語るのは難しいですが、それほど高い持久力がないのは確かかなと。
鞍上を任されるのは今回が初めての騎乗となる名手岩田康誠。
有馬記念の優勝経験はありませんが、中山芝2500mでは騎乗数が少ないながらも牡馬への騎乗時にはなかなかの好成績を残しています。
3枠5番 パフォーマプロミス 牡6 C・デムーロ
若い時期に順調に使えず、本格的に力を発揮出来るようになったのは5歳以降。
今年に入って日経新春杯とアルゼンチン共和国杯とG2を2勝して挑んできました。
先行~差しの競馬をすることが多い馬ですが、今回は内目の5番枠ということを考えると先行策を取ってくる公算が強そうです。
夏の宝塚記念以後はアルゼンチン共和国杯まで休養、一度使っての2戦目となります。
父はステイゴールド。
オジュウチョウサンのところでも触れていますが、この条件では無類の強さを誇る種牡馬ですね。
母父はダービー馬タニノギムレット。
母父としての出走実績はあまりありませんが、種牡馬としてはマイル~2000に好成績を残しています。
この馬もブライアンズタイムの産駒であり、ロベルト系となります。
騎乗するのはC・デムーロ。
M・デムーロの弟となりますが、フランスでトップクラスの成績を残す名手でもあり、頻繁に短期免許で来日しており、既に重賞では11勝を挙げています。
中山芝2500mについては騎乗機会が少なく、データ的なものはないに等しいですね。
3枠6番 サトノダイヤモンド 牡5 B・アヴドゥラ
一昨年の有馬記念でキタサンブラックを破るなどG1で2勝の実績を誇ります。
4歳春までは素晴らしい強さを見せていたものの、昨年のフランス遠征以降は本来の走りが見られませんが、それでも2走前の京都大賞典で優勝しており、これが引退レースとなります。
臨戦過程としてはここが好結果が出やすい3戦目となり、無理のないローテーションで挑むことなります。
自在性の高い馬で位置取りに注文が付かない馬ですが、今回の6番枠はレースを進める意味では良い枠を引き当てた印象です。
ディープインパクト産駒ながら一瞬の斬れに頼ったタイプではないため、前回の有馬記念を制した時のように好位からの競馬となるかもしれませんね。
前述のようにディープインパクトの産駒で、この条件での戦績は悪いのですが唯一勝っているのがこのサトノダイヤモンドです。
流石に有馬記念を勝っている当該馬だけに適性がない、とは言いにくいですね。
尚、母父は日本では馴染みのないオーペン。
ダンジグ系でスピード色の強い種牡馬で、サトノダイヤモンドの母マルペンサは南米でG1を3勝する活躍を見せています。
サトノダイヤモンド自身の血統内にはスタミナを感じさせる血はほとんどないんですが、走り自体はスピードの持続性もあり、比較的長めの距離に適性を持つんですよね。
ラストランでコンビを組むことになったのはB・アヴドゥラ。
短期免許での来日ですが、オーストラリアでは最強クラスの実績を持つ名手です。
もちろん、まだコースに対する実績はありませんが、手腕自体は相当な水準だと思っていいかと思います。