種牡馬 ルーラーシップ
今回はルーラーシップについて幾つかの観点からその特徴を見ていくことにします。
父はキングカメハメハ(その父キングマンボ)、母は1997年の年度代表馬エアグルーヴ(その父トニービン)という良血馬となります。
国内では最高クラスの良血馬ということもあり、1億8000万円という高額で募集されています。
2歳末にデビューし、初戦で勝利したものの、その後はその高い資質をスムーズに発揮することが出来ないレースが続き、ダービーでも5着に終わっています。
しかし、その後はエアグルーヴ産駒らしく豊かな成長力を示していくことになります。
3歳末の鳴尾記念で重賞初制覇を達成、続く日経新春杯も制覇。
その後、G1でもそこそこの走りを見せていたものの、その素質が本当の意味で花開いたのは5歳時のこと。
アメリカジョッキークラブカップで圧勝、春に香港に遠征して好メンバーが揃ったクイーンエリザベス2世カップに出走、後続を寄せ付けることなく楽勝し、続く宝塚記念でもオルフェーヴルの2着。
秋の天皇賞、ジャパンカップ、有馬記念に於いても能力を出し切っているとは言えないレースながらその全てで3着に入るなど、引退する時まで底を見せないままにその強さに磨きを掛けていきました。
G1勝ちは1つながら、その血統と素質の高さの評価は高く、種牡馬入りしてからも大きな人気を集めていたのですが、初年度からキセキ(菊花賞)やダンビュライト(アメリカジョッキークラブカップ)などを出してくるなど、その当初の期待をさらに上回る活躍を見せてきています。
2018年のサイアーランキングでは3世代で8位と健闘。今後は付けられる牝馬の数だけでなく質も向上してくると思われるだけに一層の活躍が期待されています。
ここでは産駒のデビューから2018年一杯までの成績を見ていきます。
では、ここから産駒の距離適性を見ていきましょう。
まずは芝のレースから。
このデータを見てもわかるようにどの距離に於いても高い数字を残しています。
血統的にも、自身の成績からも中距離からクラシックディスタンス向きとも思える馬なのですが、短距離でもなかなか高い好走率を誇っています。
長距離に於いても申し分ない程の成績を残しており、「万能」と、言っていいくらいの適性の幅の広さを持ち合わせています。
これだけ距離適性に幅がある種牡馬も珍しいくらいです。
では、ダートではどうなのか見てみましょう。
芝と比較するとダートでは若干劣る数字となっていますが、決してまるっきり走れないという程の成績でもないことが見て取れます。
1400m以上ならダートでもそこそこの走りは見せています。
エアグルーヴ産駒だけに芝向きのイメージが強い同馬ではありますが、ダートでも走れる産駒がいるのはキングカメハメハの影響でしょうか。
では、自身が得意にしていた重馬場ではどうなのかも見てみましょう。
まずは芝から。
判断が難しい結果となっていますが、基本的には良馬場の方がやや好成績が出ています。
不良馬場についてはサンプルとなるデータが少ないので判断は難しいのですが、キセキが超極悪馬場の菊花賞を制しています。
ルーラーシップ自身も非常に時計の掛かる馬場となったアメリカジョッキークラブカップや重い馬場となったクイーンエリザベス2世カップを楽勝しており、スタミナと精神力が求められるような馬場では強いのかもしれませんね。
では、ダートも見ていきます。
ダートでは芝とは逆に良馬場よりは湿ってスピードが出やすい馬場の方が好結果が出ていますね。
まだ若い種牡馬でもあるため、サンプル数は多くないのですが、重馬場や不良馬場では高い好走率を残していますね。
次に得意にしているコースは何か見てみます。
ここでは30回以上の出走回数のあるコースにしています。
東京、京都といったスピードの出やすいコースでの活躍が目立っています。
ダートは上記以外では新潟1800mや小倉1700mに良績が集まっています。
尚、冬期間は芝でもダートでも若干成績が落ちていますね。
最後に相性の良い母父との組み合わせも見ていきましょうか。
先程と同じように30回以上の出走数があるものに絞っています。
当たり前と言えば当たり前なのですが、サンデーサイレンス系種牡馬の名がズラリと並びます。
このフィルタリングでは12頭の種牡馬の名があるのですが、見事にその全てが社台スタリオンステーションの種牡馬達となっています。
フィルタリングの基準を下げても殆ど外国種牡馬の名は出てきません。
このメンバーを見れば推測はつきますが、社台グループがトップクラスには少し足りないレベルの内国産の牝馬達を付けていたことがわかりますね。
ただし、既にルーラーシップが種牡馬として高い能力を有していることは明らかになっていますから今後は質の高い牝馬が多数あてがわれることになるでしょう。
数年後は現在とは産駒達の質も変わってきそうです。
スピードがあり、比較的丈夫な産駒が多いのか、産駒達の出走数はかなり多くなっています。
まだ12歳と若く、恐らく今後はさらに質の良い産駒が多数登場してくるのではないかと思われますね。
それにしても恐るべきはエアグルーヴの血。
自身もただならぬ資質を産駒に伝えていましたが、その性質を孫の代までしっかり伝えてきていますね。
仕上がりはそれなり早いものの、成長力を持ち、真の完成を見るのは古馬になってからという点でも共通していますよね。