種牡馬 クロフネ
今回取り上げていくのはクロフネです。
父はフレンチデピュティ(その父デピュティミニスター)、母の父はクラシックゴーゴーという血統。
フレンチデピュティは日本で外国産馬としての活躍が多かったこともあり、後に輸入されて種牡馬として活躍を見せています。
母のブルーアヴェニューは競走実績は際立つものでもなく、父のクラシックゴーゴーも全くと言っていいほどのマイナーな種牡馬でした。
ただクロフネ自身、早くから抜群の動きを見せていたことなどが評価され、日本へと輸入。
初戦は敗れるものの、その後の2戦でスケールの違うスピードを披露し、連続でレコード勝ち。後に伝説的レースとして語り継がれることになる暮れのラジオたんぱ杯2歳ステークスではアグネスタキオン、ジャングルポケットと激戦を繰り広げながらも3着。
毎日杯では後続に5馬身差で楽勝し、その勢いのままNHKマイルカップも優勝。
そこからダービーに挑むも5着に敗れ、秋まで休養に。
初ダートとなった武蔵野ステークス。馬なりで早めに先頭に立つや、直線では後続を突き放す一方で9馬身もの大差をつけて、記録されたのは芝G1並の1:33.3。
異次元の強さを初ダートで見せたクロフネはジャパンカップダートに出走。
このレースでは3コーナー手前から馬なりで悠々と先頭に立つと、直線では前走同様そのスピードを落とすことなく後続を7馬身引き離して独走、再度芝G1に匹敵する2:05.9という衝撃的タイムを残し、翌年のドバイワールドカップでの世界制覇に大きな希望を持たせるも、その後に屈腱炎で引退することになり、突如としてその伝説に終止符が打たれました。
その走りのスケールから大きな期待を受けて種牡馬入りすると、フサイチリシャール(朝日杯フューチュリティステークス)を初年度から出すと、スリープレスナイト(スプリンターズステークス)、カレンチャン(スプリンターズステークス)、ホエールキャプチャ(ヴィクトリアマイル)、クラリティスカイ(NHKマイルカップ)、アエロリット(NHKマイルカップ)など活躍馬を多数出し、12年連続でリーディングサイアーランキングトップ10をキープしており、その資質を産駒達に伝えています。
ついつい思い入れもあって前振りが長めになってしまいましたが、ここからは種牡馬としてのデータを見ていきましょう。
まずは距離適性、芝のレースからです。
自身は中距離で強さを示していましたが、上記のデータにもあるように比較的短距離での結果に良績が集まっています。
特に牝馬には優れたスプリンターも出しているイメージがあろうかと思いますが、実は牡馬も短距離で良績を残していますね。
一本調子なところがあり、緩急のつかないレースの方が得意であるためかと思いますが、馬によっては長距離でも対応していることもわかるかと思います。
ダートでのイメージが強烈な馬ですが、芝でも十分に活躍していることがわかりますね。
では、自身が異次元の走りを見せていたダート、産駒達はどうでしょうか。
ご覧の通り、距離を全く問わない活躍ぶりを見せています。
芝での好走率も低くはない数字を残してはいますが、流石はクロフネをいうべきダート適性の高さはデータでも示されています。
もちろんダートが向く、というのもあるかとは思いますが、それ以上に「ワンペースのレースに合う」感じでしょうか。
瞬発力はそれほどないものの、一定のペースで気持ちよく走ると少々きつい流れでもスピードを落とさず強引に押し切るのが特徴と言えそうです。
では、馬場が渋った時にはどうなのかも見ていきましょう。
まずは芝から。
自身は大跳びの走りで良く知られていた馬でしたが、産駒達の成績は殆ど馬場状態による差は見られません。
不良馬場時が劣るようにも見えますが、レース数もそう多くはないのでこれは参考程度でしょうか。
続いてダートも見てみましょう。
ダートでも馬場状態による差は殆ど見られませんね。
勝率で見れば、重馬場、不良馬場がやや良いようにも見えますが、複勝率はほぼ同じ。
芝でもダートでも馬場状態による差はほぼないと言っていいんじゃないかと思います。
では、得意なコースも見ていきます。
出走数の多い種牡馬ですのでここでは100回以上の出走数にしています。
流石にダートのコースが並んでいます。
ただ、飛び抜けている成績を残すコースと言うのはなく、逆に複勝率の良くないコースでも2割近い複勝率を残しています。
強いて言うなら芝は短距離、ダートはオールラウンド、といったところでしょうか。
では相性の良い配合はどうでしょうか。
ここでも100回以上の出走数に絞ってみます。
はい、はっきり言ってつかみどころがない印象ですが、比較的パワーのある種牡馬に良績が集まっていて、瞬発力に長けたサンデーサイレンス系にはそれほど相性は良いわけでもないようで、上位に入っているのもバブルガムフェロー、ネオユニヴァースなどパワータイプしかいませんね。
上記の表には入っていませんが、エーピーインディ、ウォーニング、エリシオなども好成績を残しています。
中途半端に瞬発力を補填しようとするより、クロフネの持続性の高いスピードを強調するような配合の方が良いのかもしれませんね。
クロフネ自身、既に21歳になっており種牡馬としてのピークは越えてしまった印象ではありますが、それでも100頭以上の種付けは昨年も行っており、今後も多数の産駒は現れてくることでしょう。
アウトサイダー血統でもあり、配合の幅は非常に広いですし今でも重宝されています。
ですから今後も少なく見積もっても数年以上は産駒達は活躍してくるでしょうし、産駒の傾向もはっきりしてきていますから、これからもマークしていくべきでしょうね。