2019年 共同通信杯回顧
積雪への懸念から開催も危ぶまれていた今日の東京開催でしたが、結果的には雪の影響はさほどなく、前半のレースの発走時刻の変更のみとなりました。
芝馬場もそれほど荒れることもなく無事に日曜日の開催が行われました。
共同通信杯回顧
そんな中で行われた共同通信杯。
勝ったのは新馬戦、ひいらぎ賞を連勝してここに挑んできたダノンキングリーでした。
レースは日本の平地重賞としては異例とも言える7頭立て。
8着に終わってしまっても200万円以上得ることが出来るこの舞台。事前に少頭数になることは多くの関係者もわかっていたことでしょうが、それでもなおこの少頭数。
頭数は少なくともそう簡単に上位に食い込めるレースではないと見ている関係者も少なくはなかったと見てもいいかもしれません。
全馬がほぼそろった綺麗なスタートでレースは始まり、逃げ馬不在のメンバーの中で馬なりでハナを切っていったのは2歳王者で断然人気を背負ったアドマイヤマーズでした。
アドマイヤマーズに競り掛ける馬はなく、フォッサマグナ、ダノンキングリーが続いていき、クラージュゲリエ、マードレヴォイス、ナイママと続いていき、最後方からゲバラが追走していく展開。
ペースが遅いと判断したのかナイママが外から1頭、ポジションを上げていき、3番手に進出。
先頭をひた走るアドマイヤマーズの1000m通過タイムは1:01.5。
比較的早い時計が出ていた東京競馬場ですが、これは明らかに遅いペース。
それでもナイママ以外の馬達は牽制し合いながら仕掛けどころを窺いながらの展開で、4コーナーを回る時点でもペースは上がらないまま、アドマイヤマーズが後続を引き連れて直線に。
早めにアドマイヤマーズに迫ろうとナイママが早めに仕掛けるも、アドマイヤマーズが軽く仕掛けられると後続馬との差がやや開く。
と、アドマイヤマーズの後ろから最内に潜り込んだダノンキングリーが一気に脚を伸ばしてアドマイヤマーズを瞬く間に抜き去る体勢に。
アドマイヤマーズも抜かせまいと加速するも、ダノンキングリーの強襲の前に一気に2馬身近い差をつけられてしまい、後続の馬達はこの両頭に置いていかれることに。
最後はアドマイヤマーズがその差を少し縮めてきたもののダノンキングリーには1馬身以上及ばず、ダノンキングリーが優勝。
3着にはクラージュゲリエが入るも決定的とも言える4馬身の差がついていました。
勝ったダノンキングリーですが、マークした上がりは驚異の32.9。
ディープインパクト産駒らしい強烈な末脚を発揮して2歳チャンピオンであるアドマイヤマーズに完勝しました。
アドマイヤマーズが逃げざるを得ない形で先頭に押し出されたのを少し後ろから追走。
明確な目標となる馬を追走出来たことで優位に立てたのは確かでしたね。
ただ、とにかく直線で見せた脚が桁違い。いくら遅いペースだったとは言え、アドマイヤマーズも33.5の速い上がりで伸びていたのですが、それをほとんど並ぶところさえなく抜き去ってしまいました。
戦前、私は前走ひいらぎ賞の走りから一瞬の瞬発力に長けているというよりはパワー上位型で時計の掛かる馬場もしぶとく走れる馬とのイメージをしていたのですが、これが誤りだったのだろうと見解を見直すことになりました。
今後は距離を伸ばしていった際にどういった走りを見せられるかが課題になってくるでしょうが、これで堂々とクラシックへと名乗りを挙げることになりました。
ダノンキングリーの豪脚の前に食い下がりながらも及ばなかったアドマイヤマーズですが、敗れながらも改めて強さを示したレースでもありました。
勝ち馬より1キロ重い斤量でしたし、ハナを切っていくのも予想は出来ることながらも決して本意ではなかったことでしょう。
さらに本番を見据えた調整が出来る立場でもあり、皐月賞までは期間もあることから目一杯の仕上げでもなかったでしょうし、ここでは付け入る隙は確かにありました。
通常、こうしたスローの瞬発力勝負のレースでは、バテる馬も少なくなることから着差が開くことはあまりないのですが、3着のクラージュゲリエに対しては4馬身もの差をつけており、十分に能力の高さは示していると思います。
こうした極限レベルの瞬発力勝負ながらも11秒前半の脚をしぶとく使い続けられたのは地力の高さに他ならないと見ています。
離れた3着のクラージュゲリエですが、この馬なりには脚も使っているのですが斬れ負けしてしまった印象と共に現状では能力的に上位2騎には及ばなかったのだと思います。
14キロ増えていた前走からさらに12キロ増えていたあたり、本番までは期間もあることも考えるとここは目一杯に仕上げて出してきたわけでもないのかもしれませんね。
4着に好位からの競馬を見せたフォッサマグナ。
騎乗したルメールによると距離が少し長いかも、とのこと。
また、直線での瞬発力が問われたこうしたレースには向かなかったようにも思います。
キャリアも少ないですからこれからの成長が期待されますね。
京都記念回顧
正直言うと、あまり今回のメンバーには魅力が感じられなかったため、G2ながらあえてG3の共同通信杯だけ予想を行ったのですが、こちらのレースも簡単ながら回顧をしていこうかと。
単勝オッズが10倍以内の馬が6頭もいるという混戦模様となったこのレース。
現状、G1で勝ち負けに持ち込めると思えるだけの力量を示している馬がいないことをこのオッズにも反映している形となりました。
そんな京都記念、逃げを打ったのは不振からの脱却したいタイムフライヤーでした。
これにダンビュライト、パフォーマプロミス、ステイフーリッシュが続いていく流れに。
1000mの通過タイムは63.3と荒れて時計の掛かる状態となっている京都の芝コースを勘案してみても遅い流れに。
遅い流れを察知した池添騎乗のブラックバゴが早めに先行勢に取り付いて2番手に。
直線に入り、ブラックバゴが先頭に立つも手前を替えるのに手間取っている間に後続勢に交わされ、一団となった先頭争いの中からダンビュライトが少しリード。
外からステイフーリッシュとマカヒキが迫ってくるも、最後まで粘り通したダンビュライトが追撃をクビ差で凌ぎ切って優勝。
7着まで0.2秒差と戦前のオッズ通りの混戦となっています。
とにかくレース振りが不安定なダンビュライトでしたが、松若騎手が上手くコントロールして力を出させましたね。
こうしたパワー優先の馬場も向いていたように思います。
斬れる脚がないステイフーリッシュは惜しくも届かず2着まで。
この馬も持ち味が生きる形となったレースだったように思いますが、裏を返せばここまでの印象。春の天皇賞で展開が向けば可能性もあるように思いますが、それ以外のG1は厳しいかと。
G1戦線では中途半端なレースしか出来ていないマカヒキですが、僅差の3着。斤量差も考えれば勝ち馬に匹敵する力量は見せました。このくらいはやれるということでしょう。
ただ、現状ではこうした時計の掛かる馬場の方が良いのかもしれませんね。
勝ったダンビュライトですが、パワー型の中距離馬だけに父同様にクイーンエリザベス2世カップなんかだと面白いのかもしれないですね。
さあ、来週は今年初のJRAのG1、フェブラリーステークスです。
春の芝G1に向けてもこれから重要レースが続いていくだけに楽しみな時期に入っていきますね。