東京競馬場、2019年の高速芝馬場のおさらい
東京競馬場の芝コースは早いタイムが出やすいことでも良く知られるところですが、今年はひときわその傾向が顕著になっており、日本レコードクラスのタイムがいくつもマークされていました。
非常にスピードが出やすく、なかなか前が容易に止まらない印象を少なからず関係者やファンに印象付けていたと思いますが、実際にデータで検証してみようと思います。
2019年4月20日~6月2日 東京芝コース位置取り別成績
そもそも日本の競馬は前に行けた馬は総じて好成績に繋がる傾向がありますので前に位置した馬が好結果を残しているのはある意味「当たり前」であるということも踏まえて数字を見てもらえたら良いかと思います。
では続いて、10年前の東京競馬場の同時期のデータも出してみましょう。
2009年4月25日~6月7日 東京芝コース位置取り別成績
これは東京競馬場が高速馬場化の最大の要因とされるエクイターフの導入当初の時期となります。
ウオッカがディープスカイを破って安田記念を勝っており、勝ちタイムは1:33.5となっています。
この時期の方が芝レースへの出走数が多く、勝率や複勝率はその点を考慮しなくてはならないのですが、回収率を見てみると逃げた馬の成績に大きな違いが生じていることがわかります。
今年と比較すると若干中団以降につけていた馬にもチャンスは多かった、と言えそうです。
では更に時代を遡ってみましょう。
エクイターフ導入前の15年前のデータです。
2004年4月24日~6月6日 東京芝コース位置取り別成績
これを見て「あれ?」と思った方も少なくないんじゃないかと思います。
そう、意外と今年と似たような傾向で逃げ馬が非常に好成績なんです。
むしろ後方に位置した馬に至っては今年よりも厳しい成績だったと言っていいかもしれません。
尚、この年の安田記念はツルマルボーイがテレグノシスを破って1:32.6で勝っています。
総括
実はこれ以前のデータでも同様なのですが、東京競馬場の芝コースはそもそもが前に行く馬に有利になることが少なくないんですね。
エクイターフ導入による馬場の高速化により「前が止まらない」イメージが少なからずあるものの、それ以上に東京競馬場の芝コース自体が前の馬に有利であるから前が止まりにくい、と見るべきかと思います。
また、騎手や関係者もこの高速馬場に対しての認識は少なからず持っていますから、その馬場に合わせたペースで走らせようとするわけです。
また、馬券を買う側にしてみても馬場が早いことを既に理解した上で馬券を買っているわけですから、結果として例年とそう変わらない傾向性が示されたのではないかと思います。
ですから今年に限って特別に前有利であるということではないことがデータから読み取れます。
どうしても強烈な高速タイムに目が行きがちですが、単純な傾向自体は案外そう大きくは変わっていなかったんですね。