いざ、キングジョージ!
日本時間で27日23:40にイギリス、アスコット競馬場ではキングジョージが行われます。
日本からジャパンカップ覇者のシュヴァルグランが参戦することで日本国内でも馬券販売が行われます。
キングジョージ レース概要
正式名称は、
「キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス」
イギリス アスコット競馬場 右・芝2390m
3歳以上 G1
3歳牡馬 約55.5キロ
3歳牝馬 約54.5キロ
4歳以上牡馬 約60.0キロ
4歳以上牝馬 約59.0キロ
総賞金 1,250,000ポンド(約1億6880万円)
1着賞金 708,875ポンド(約9570万円)
イギリスと言えば近代競馬発祥の地として良く知られ、3歳最高峰のレースとしての「ダービー」は全世界に模倣して作られた各種ダービーの祖ともなっています。
この「ダービー」と共にイギリス競馬の最高峰の競走としてその名を轟かせているのが、このキングジョージでもあり、欧州競馬を代表するレースの1つとして知られています。
3歳馬が古馬より5.5キロ軽い斤量で出走出来ることもあり、3歳馬の活躍も少なくなく、イギリスダービーを制した馬が勢いそのままにキングジョージも奪取するケースも少なくなく、この10年を見てみても3歳馬が3勝を挙げており、今回出走を予定しているエネイブルも一昨年に3歳にして優勝しています。
優勝馬が種牡馬として日本へ輸入されるケースも少なくなく、近年ではノヴェリスト、ハービンジャー、コンデュイットが輸入されており、古くはペンタイア、ラムタラ、オペラハウス、ダンシングブレーヴなどのキングジョージ優勝馬が日本で種牡馬となっています。
日本馬の参戦
これまでにキングジョージに日本馬が参戦したのは5回。
以下の成績となっています。
1969年 スピードシンボリ 5着
1985年 シリウスシンボリ 8着
2000年 エアシャカール 5着
2006年 ハーツクライ 3着
2012年 ディープブリランテ 8着
一見すると3頭が5着以内とそこそこやれているようにも見えるのですが、欧州のレースは日本のように10数頭が出走することは多くなく、この5戦で好勝負になっているのはハリケーンラン、エレクトロキューショニストと激戦を繰り広げたハーツクライだけとなっています。
尚、ハーツクライは今回参戦するシュヴァルグランの父ですね。
コース
イギリス、アスコット競馬場は巨大な三角形のおにぎりのような独特の形状をしており、きつめのコーナーを約900m毎に2回迎え、直線は約500mとなっています。
コースの高低差が大きく、最大で22mという日本競馬では考えられない程の高低差となっており、高い水準でのタフさが求められます。
欧州競馬らしくスピードが出にくい芝でもあり、約2400mの距離ながら勝ちタイムが2分30秒を超えることも少なくありません。
豊かなスタミナとパワーを併せ持っていなくては勝負にならないコースと言えそうで、サドラーズウェルズの血を持つ馬が非常に活躍しています。
尚、レコードタイムはノヴェリストがマークした2:24.60となっています。
ただ、馬場は決して柔らかいものではなく、日本の芝馬場と同等程度の硬さとなっているようです。
2019年主な出走馬
エネイブル
父ナサニエル、母父サドラーズウェルズ。
12戦11勝。一昨年のキングジョージ勝ち馬であり、昨年、一昨年の凱旋門賞を連覇している世界最強牝馬で一昨年春から続く連勝はG1の8勝を含む10となっています。
今年はエクリプスステークス(英G1)で始動、完勝しており、ここでも断然の1番人気が予想される。
鞍上はデットーリ騎手。
クリスタルオーシャン
父シーザスターズ、母父マークオブエスティーム。
15戦8勝。前走のプリンスオブウェールズステークスで待望の初G1制覇。昨年のキングジョージでは2着。一昨年の夏から11戦連続で連対しており、堅実な走りを見せる事でも知られています。前走では非常に強い走りを見せ、レーティングは125を得ています。
鞍上はデットーリ騎手がエネイブルに騎乗するため、乗り替わりでドイル騎手に。
アンソニーヴァンダイク
父ガリレオ、母父エクシードアンドエクセル。
10戦5勝。2歳時は2重賞を制するもG1では3戦して2着まで。3歳になり、ダービートライアルステークス、英ダービーと連勝。前走の愛ダービーでは2着に惜敗している。
英ダービーでのレイティングは118となっています。
鞍上は日本でもおなじみ、主戦のムーア騎手となっています。
ヴァルトガイスト
父ガリレオ、母父モンズーン。
18戦7勝。フランスを代表する古馬であり、これまでにフランスG1で3勝を挙げています。今年は始動戦となったガネー賞(仏G1)で優勝、前走プリンスオブウェールズステークスではクリスタルオーシャンの3着に敗れています。レイティングは122とメンバー中3番目となります。
鞍上は主戦を務めるブドー騎手。
デフォー
父ダラカニ、母父ピヴォタル。
18戦9勝。今春のコロネーションステークスで初のG1制覇。キングジョージと同じ舞台で行われた前走のハードウィックステークスも制して一躍キングジョージの最有力候補の1頭に浮上しています。
昨年まではなかなかG1を勝ちきれない場面がありましたが、この勢いに任せてキングジョージでの走りにも期待が掛かります。
レーティングは119。
鞍上は来日しての騎乗もあるアッゼニ騎手。
シュヴァルグラン
父ハーツクライ、母父マキアヴェリアン。
29戦7勝。一昨年のジャパンカップ優勝馬。古馬になり、本格化以降はG1でも安定した走りを見せており、G1では3着以内に通算で8回を数える古豪。
前走のドバイシーマクラシックではオールドペルシアンに敗れての2着。この1戦で得られたレイティングは119。
父ハーツクライは2005年にキングジョージに参戦し、僅差の3着。
鞍上は現地の若手実力派のマーフィーが務めます。
個人的見解
普通に考えればやはり欧州最強馬エネイブルは無視しにくいところ。
イギリス、フランス、アメリカを代表する芝の最高峰を全て制しているのは生半可な能力では成しえないでしょう。エクリプスステークスも難なく制しましたし、まともならこの馬でしょう。
2番手としてはクリスタルオーシャン、デフォーの2頭かと思います。
共に前走ではアスコットのレースで強い内容を示して勝っており、共倒れする可能性は低いものと思われます。
3歳馬アンソニーヴァンダイクも斤量面で恵まれているのは間違いなく、イギリスで滅法強いガリレオ産駒でもあり、歴戦の古馬を食ってしまう可能性も存分にあるかと思います。
シュヴァルグランですが、正直言って厳しいと思います。
ハーツクライ産駒ということもありますし持久力にも優れており、現在の日本競馬ではこの舞台で強さを見せる可能性の最も高い1頭ではあると思うのですが、今年は非常に強力なメンバー構成となっていますし、アスコットの桁違いにタフなコースではそれでも簡単に勝ち負け出来ないだろう、というのがこの馬に対しての見解です。
ブックメーカーのオッズでは30倍以上となっているようですが、このくらいが妥当なところかと思います。