うまコラ

競馬歴28年の筆者が綴る競馬コラム

2018年 ジャパンカップ回顧

ジャパンカップ、勝ったのは断然人気に推された3歳牝馬アーモンドアイでした。

 

今日の東京競馬場の芝コースは軒並み早いタイムが出ていて、8レースの1000万下条件では1:44.7とかなりの好タイムが出ていました。

普段の東京競馬場でマークされるタイムより1秒強早いタイムですね。

このことからジャパンカップもかなりのタイムは出るだろうことは比較的予想は出来る状況ではあったのですが、結果的にアーモンドアイがマークしたのは芝2400mでの世界レコードタイムを1秒以上も更新する2:20.6。

 

そのあまりの早さに言葉を失った方も少なくはないでしょう。

 

天皇賞での走りと同様、積極的に前へ出していったのはキセキでした。

一方、最内枠からの発走で内に包まれることも懸念されたアーモンドアイは内枠を利してスムーズに前へと位置し、同様に前目につけたオークスの時よりも早めに折り合いをつけて2、3番手につける展開。

 

キセキに競り掛ける馬はおらず、そのまま引っ張ったキセキは1000mを59秒9で通過。

数字だけを見れば「平均ペース」と言いたいところですが、実質的にはややスローといえるものかと思います。

ただ、キセキが落ち着いたラップを刻んでいたのはこのあたりまでで、800m通過以降は全て11秒台のラップを残しているように鞍上の川田騎手は絶妙に後続になし崩しに脚を使わせる展開へと持ち込んでいます。

 

1000m~2000mの間の1000m、キセキの残したラップはなんと57秒3。

いくら早い馬場だとは言え、ここまでラップが上がってくると33秒台の上りを使うことは殆ど不可能に近いわけで、川田騎手は大敗も覚悟の上で勝負に出た騎乗だったように感じます。

 

キセキを勝たせるにはほぼパーフェクトな騎乗、ペース配分だったように感じたのですが、今日は相手が悪かったというところでしょうか。

 

直線に向いてなかなか止まる気配を見せずに先頭をひた走るキセキでしたが、こちらもほぼ理想的なレース運びを見せたのはアーモンドアイでした。

普通ならば仕掛けたくなる場面でしたが、鞍上のルメールがGOサインを出したのは、残り200m近くになってから。

仕掛けられたアーモンドアイは瞬く間にキセキを抜き去り、有無を言わせないほどの強さを見せつけてゴール。

 

キセキに1馬身4分の3、シュヴァルグランと3着争いを繰り広げたスワーヴリチャードには5馬身以上の決定的な差をつけ、国内敵なしと思わせるに十分過ぎるほどのパフォーマンスを見せました。

 

 

正直、これほどまでとは思いませんでしたね。

つい、この走りならばディープインパクトですら勝てなかったんじゃないだろうかとの思いもよぎりましたね。

キセキ&川田騎手は絶妙と言うに相応しいレース運びを見せ、普通ならば完全に勝ちパターンだったと思います。

中盤でペースアップし、後続の瞬発力を巧みに削いでみせています。

実際、大半の馬はここで多少なりとも余力を削られ、上り3ハロンも34秒台に留まっています。

こういったレースになると爆発的な瞬発力を生かすタイプには苦しく、一定以上の持久力なしには通用しない、そんなレースへと導いたのですが、アーモンドアイはそれすらいともあっさり打ち破ってしまいました。

 

これには2つのパターンが考えられるのですが、1つはアーモンドアイには非常に優れた持久力が内在されていて、そうした展開自体に適性があったパターン。

もう1つは単にアーモンドアイの絶対能力が図抜けていたパターン。

 

個人的には後者だと思います。

 

近年見たレースではもっとも強い内容のレースでした。

私の見立てが誤っていなければ、アーモンドアイはディープインパクトやオルフェーヴルに匹敵する次元の馬であると感じています。

予想の際にアーモンドアイの本質は2000mあたりまでがベストの中距離向きの馬であるという判断は変わってはいないのですが、能力に差があるため、そうした距離の適性を超えてきてるのではないかと。

 

恐らく、もう国内のレースはここで一区切りついたかと思います。

 

 

アーモンドアイの強さばかりが目についてしまう一方で今回のジャパンカップは比較的各馬がそれぞれの馬が相応の走りは見せているのではないとの思いもあります。

3~6着馬も他のG1ならば勝ち負けに持ち込んでいた公算が強いと思わせるレースすら見せていたように思います。

一瞬の斬れる脚よりも東京の長い直線でしぶとく加速し続ける特徴を持つトニービンの血を持つ馬が2~5着までを占めています。

逆に優れた操作性と瞬発力を併せ持つサトノダイヤモンドには苦しいレースで、結果的に8馬身程離されてはいますが、逆に前走の京都大賞典勝ちはまぐれでも何でもなく復調してきていることの表しでないかとさえ思いますね。

 

外国からの2頭には酷なレースでした。

ヨーロッパや北米のレースとは大きく異なる適性を問われる形となったこのレースでは彼らの見せ場はありませんでしたね。

 

そんな中、意外にもホッカイドウ競馬から難しい調整を経て挑んだハッピーグリンは7着ながら見事な走りだったと思います。

今日みせた走りは十分に中央重賞レベルだったんじゃないですかね。

恐らく、今後も中央への挑戦を続けるものと思いますが、ちょっと期待感を持たせてくれる内容だったかと思います。