2018年 有馬記念回顧
平成最後の有馬記念、勝ったのは唯一の3歳馬ブラストワンピースでした。
高素質を認められながらもG1未勝利だった馬が有馬記念で初G1制覇、というシチュエーションは少し昔を知るファンであれば「あ!」と、なるかもしれませんね。
1998年の有馬記念でマーベラスサンデーらを瞬く間に差し切ったシルクジャスティスですね。
奇しくも同じ勝負服が20年後の中山で輝くことになりました。
当初の予報では雨は夕方以降だったのですが、レース前に降り出して馬場は稍重に。
最終的に1番人気はレイデオロ。
キセキ、ブラストワンピースが続き、今朝まで2番人気だったオジュウチョウサンは5番人気に。
若干バラけたスタートですが大きく出遅れた馬はなく、内からオジュウチョウサンが先頭を窺うも、外から被せるようにミッキーロケットがダッシュをつけてその前に。
やや出遅れ気味のスタートだったキセキは内を走るミッキーロケットの外から強引にハナを奪いに行くという序盤の攻防。
ミッキーロケットは無理に行かせはしないものの、キセキがインに入るのをブロックしながらコーナーを回り、ホームストレッチへ。
キセキはそのペースを落とすことなくようやく先頭に立ち、後続を徐々に引き離しながら1、2コーナーへ。
1000m通過は60.8。
近年の有馬記念としては早めの流れだが、キセキは大きくペースを落とすことなくリードを保ったまま馬群は3コーナーへ。
ここで早くも中団後方寄りにいたレイデオロが動く。…と、共に各馬が一斉にペースを上げる。
直線に向いて先頭は依然として3馬身程のリードを保って逃げるキセキ。
中山名物の急坂のあたりで外からブラストワンピース、さらに外からレイデオロが一気に進出。
先に先頭に立ったブラストワンピースが最後までその差を詰めさせずに押し切り優勝。
レイデオロは2着。
後方から一旦は前が詰まりかけるも、ブラストワンピースの通った跡をスルスルと追い上げてきたシュヴァルグランが粘るミッキーロケットを交わして3着に。
まずは勝ったブラストワンピースですが、スタート直後はやや行きたがる雰囲気を出しながらもすぐに折り合って馬群のほぼ真ん中の位置取り。
動きを見せたのは3コーナー。逃げるキセキのリードが縮まらず、各馬早めの仕掛けになり、ブラストワンピースもほぼ同じタイミングでスパート開始。
終始、外の1馬身程後ろからレイデオロの追撃があるも最後まで凌いでゴール。
まずは上手く乗ったな、というのとこの馬に向く展開だったな。と、いう印象。
勿論、この馬の能力の高さに他ならないんですが、仕掛け方は上手かったと思いますね。
キセキの作り出したペースは1000mを60.8で通過後もそれほど大きく落ちることはありませんでした。
川田騎手は逃げ潰れたなら仕方ないくらいの思い切りで乗っていたのではないでしょうか。
後続は当然秋3戦のキセキの逃げ粘りを見ていますから、どうしても早めに仕掛けざるを得ませんでした。
結果的にラスト1ハロンは半数以上の馬の脚は上がってしまうことになるのですが、ブラストワンピースはゴール前の急坂でもしっかり走り切りました。
この馬のスピードの持続力とスタミナ能力なくしてはこの走りは出来ないのですが、それを的確に把握して騎乗した池添騎手の判断力が光っていたように感じます。
また、雨が降って少し時計が掛かる馬場になったのも結果的にこの馬には向いたのかもしれませんね。
続いて2着のレイデオロ。
スムーズなスタートでしたが、外目の枠ということもあってか無理せずにやや後方に待機。
枠順もあり、終始外3頭目を回る展開に。
3コーナーに差し掛かり、早めの追撃開始。外、外を回しながらも内のブラストワンピースに馬体を併せるような形で直線に。
いい脚で伸びてくるも、最後までその差は詰まり切らずに2着となりました。
この馬については枠の影響を受けてしまった形でしょうか。
終始、外を回らされた分届かなかったかもしれませんね。
むしろ、改めて馬の強さと適性が見えたレースだったかと思います。
この馬自身、かなりのロングスパートを掛けているんですよ。
それでも最後まで脚を残していましたから瞬発力にモノを言わすタイプではなく、スピードの持続力とキレをバランス良く併せ持つ馬ではないかと思います。
流石に強かったな、と思わせてくれる走りでした。
3着に入ったのはシュヴァルグランでした。
15番とかなりの外枠だったこともあって大きく人気を落としていましたが流石にJC馬でした。
良いスタートも無理はしないで後方に下げ、レイデオロの内に入れる形でコースロスを最小限に抑えながらの道中。
直線入り口では一旦は前が塞がり、進路が失われるのですがブラストワンピースが抜け出して出来た隙間から進出、最後までジリジリと脚を伸ばして前2頭についていくようにしてゴール。
結果的にスタミナの消耗の大きなレースとなり、持ち味が生きたようです。
また、直線で無闇に外に出さずに詰まるリスクを恐れずに行ったことが良い方向に出た感じですね。
逃げたキセキは5着に。
外枠を引いたこの馬がどういった走りを見せるかがレースの鍵を握っていたのですが、敗れはしたものの見事だったかな、と。
出遅れ気味のスタートとなってなお、強引にでも前に進出。
序盤は終始、ミッキーロケットに邪魔をされることになるのですが、ここで引くことなく先頭を奪取。
その後も、淡々と早めの平均ペースを落とすことなく展開し、後続のスタミナもろとも削り取る玉砕覚悟の逃げを披露。
最後の坂で止まってしまいましたが、結果として序盤で無理を強いられた分かもしれませんね。
敗れはしましたが、レースを支配していたのはこの馬でした。
4着はミッキーロケット。
恐らくは最初から「行けるなら行こう」という狙いだったのではないでしょうか。
結局、数百メートル走ったところでキセキに先頭を譲りましたが、キセキからは3、4馬身離れた馬群の先団で馬場の良いところを走ることが出来ました。
最後は止まってしまいましたが、宝塚記念で見せたようなこの馬の走りは出来たように思いますね。
注目を集めたオジュウチョウサンは最終的に5番人気で9着。
そう書くと人気を裏切る走りだったように感じられてしまうのですが、スタート直後は先頭を窺うような姿勢も示し、ミッキーロケットと共に終始、キセキを見る位置でレースを進めていました。
同じようなレース運びを見せたミッキーロケットから0.3秒差。
唯一の条件馬でありながら7頭に先着しているのですから十分に健闘したように思います。
普通にG3あたりでは勝負になるんじゃないか、そう思わせるレースでした。
それにしても今後はどうするんでしょうか?
キセキの果敢な走りによって引き締まったレースとなりました。
勝ちタイムも雨で稍重にまで悪化したことも含めて考えればなかなか早いものとなりました。
非常に見応えのあるレースとなりましたね。
それにしても終わってみればキングカメハメハがやたら存在感を見せました。
2着レイデオロ、4着ミッキーロケットはキングカメハメハ産駒ですし、1着ブラストワンピースは母の父がキングカメハメハ、5着キセキは父の父がキングカメハメハでしたね~。
さあ、残すはホープフルステークスだけとなりました。