うまコラ

競馬歴28年の筆者が綴る競馬コラム

自分の購入馬券でオッズは動くのか?

こんにちは、ゆ~じ~です。

 

今回、タイトルにもあるように自ら購入した馬券がオッズにどの程度影響を与えることになるのか、というのを検証してみます。数字が苦手な方はごめんなさい。

 

恐らく、普段JRAの馬券を購入している方の大半はそんなことを考えて馬券を購入することはないものと思います。

しかし、この世の中には馬券で大きな利益を得ている、いわばプロ馬券師というべき人が存在しています。

恐らくそうした方はその殆ど自らが購入する馬券がオッズに与える影響を考慮しながら馬券を購入しているものと思われます。

 

JRAの馬券は券種毎に売上総額の一定割合を的中者に配分するというものです。

例えば単勝ならば通常、売上総額の80%が払戻しとして分配されることになります。

この方式をパリミチュエル方式といい、日本の公営ギャンブルは基本この方式で行われます。

 

そして自らの購入馬券がオッズに与える影響を考えるに当たって、まず考えなくてはならないのはそのレース、その券種の購入総額となります。

 

このレース別、券種別の馬券の売上額というのは実はJRAより公表されていて、JRAのホームページなどで見ることが出来ます。

 

 例・その1 ヴィクトリアマイル 単勝

例えば、先日行われたヴィクトリアマイルですが全ての券種を合わせた売上総額は、

163億9940万1600円

となっています。

 

その内、単勝馬券の売り上げが

6億4173万6000円

となっています。

 

このレースの単勝馬券の配分は80%となっています。

的中者にはこの売上総額の80%、つまり、

5億1338万8800円

が払い戻される計算になります。

 

このレースを制したノームコアの単勝の馬券は、

5421万2700円

でしたので、単勝の売上総額の80%を分配するとその倍率は9.479倍程になります。

オッズの0.1倍未満の単位については切り捨てとなってしまうので実際に払い戻されることになったのは

9.4倍となります。

 

オッズと言うものはこのような計算に基づいて生成されるのですが、仮にこのレースにAさんが勝ったノームコアの単勝を10000円購入したとします。

 

単勝売上総額は10000円増えて、6億4174万6000円になり、

その払戻金となる80%は5億1339万6800円となります。

ノームコアの単勝売上額も10000円増えて5422万2700円となります。

オッズを割り出すと9.468倍となります。

端数が引かれた結果、ノームコアの単勝オッズは、

9.4倍になります。

 

結果的には10000円買っていても何も変わりません。

 

このケースですとオッズは0.011倍程下がる影響を与えることになるのですが、端数が切られたことで影響は出ませんでした。

確率論で言うと10000円購入した場合、9回に1回程は0.1倍オッズが下がってしまう恐れがあったということになります。

 

「何だ、大したことねーじゃん」

 

と感じた方もあるかと思います。

 

ただ、これは売上額の高いG1レースでのお話ですし、例に挙げたノームコアの単勝についても9.4倍とそれほど倍率の高い配当でなかったことに依ります。

 

では、ここで別のレースを例に挙げることにしましょう。

 

例・その2 3歳未勝利戦 3連単

先程、例に挙げたヴィクトリアマイルの前日、新潟競馬場で行われた1レース、3歳未勝利戦です。

このレースでの全券種を合わせた売上総額は2億2081万2500円となっていました。

ここではAさんが3連単を購入したというシナリオと共に比較してみましょう。

 

実際の3連単の売上総額は、

5512万200円でした。

3連単は通常、売上の72.5%が的中者に配分されるため、払い戻しの総額は、

3996万2145円になります。

13-9-6の的中馬券は全部で、

18万8900円売れていたため、その割合はは211.5519倍程となり、端数が切り捨てられた結果、

 

211.5倍の配当となっていました。

 

では、Aさんは後に的中することになる13-9-6の3連単の馬券を10000円購入したとします。

3連単の売上総額は当然、10000円増えて

5513万200円となります。

払い戻される72.5%は、

3996万9395円ですね。

 

13-9-6の売上額は、

19万8900円

 

端数が切られてAさんに払い戻されることになったのは、

200.9倍の200万9000円となります。

 

そう、Aさんが10000円買ったことでオッズが10倍も下がってしまった計算になってしまいます。

 

10000円の購入で配当が5%以上も下がってしまったことになります。

 

この5%という数字、大したことないだろうという方は相当な実力者か、馬券を買うに当たって回収率を意識しない方だろうと思います。

一方、回収率を多少なりとも意識して馬券を継続的に購入している人にはこの数字の意味が理解されるものと思います。

 

特にこうしたローカル開催、午前中や土曜日のレースは馬券の売れ行きはそれほど多くない傾向があります。

そうしたレースは購入馬券がオッズに与える影響は強くなりやすくなります。

また、地方競馬は基本的にJRAのレースより売上はかなり少ないことが多く、人気薄の馬に狙いを定めて高額買ったら上位人気になってしまった…なんてことはよくありますから注意が必要ですね。

 

総括

一般的に1レースに数千円程度の購入で楽しむのならば正直、オッズに自らの購入が大きな影響を与えることはそれほどないとも言えるのですが、プロレベルで収益を得ようとしている人は1レースに数万円から数十万円以上を投入していますから、そうした領域を目指す人にとっては避けては通れない課題の1つとなってきます。

 

事実、自作の馬券購入ソフトを開発し、馬券で1億5000万円の利益を得たとされ、脱税が問われて裁判になったことで知られる卍氏は馬券を購入するに当たって各券種に分散させて購入することや早い時間に購入することで他人が同一の馬券を購入することをセーブさせるような工夫を行っていたようです。

 

大半の競馬ファンにはそれほど大きな影響は与えないことですが、知っていても損はないと思いますよ。