うまコラ

競馬歴28年の筆者が綴る競馬コラム

2020年 皐月賞回顧

まずは無事にレースが終わって良かったな、と。

正直、1か月前には桜花賞皐月賞の開催は難しいだろうと思っていました。

 

多くの人達の努力も少なからずあってか、各種スポーツイベントの殆どが中止を余儀なくされている中で、多少のJRA職員のコロナウイルス感染こそ確認されているものの、どうにか開催を続けることが出来ています。

 

で、素晴らしいメンバーが一堂に会して行われた皐月賞

このレースを制したのはコントレイルでした。

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では、まずはレースを総括して見ていきましょう。

 

皐月賞 レース総括

前日に中山競馬場では激しい降雨があり、土曜日のレース、特に後半行われたレースはもうぐっちゃぐちゃ。土曜日の9レースに3歳1勝クラスの山藤賞が芝2000mで行われていますが、このレースを楽勝したセントオブゴールドが2:08.6。

パンパンの良馬場ならばこの条件ならば2分ちょっとくらいの時計が出ても可笑しくはないので7秒以上時計を要する馬場だったと言って良いかと思います。

 

天候の回復でこの極悪馬場がどこまで回復するかがレースのカギを握っていたかと見ていましたが、予報通り中山競馬場は好天で気温も上がったことで馬場は大幅に回復。

日曜9レースの古馬2勝クラス芝2000mでは稍重に回復し、2:03.0のタイムが記録されています。

これが1つの物差しになろうかと思います。

 

スタートで大きな出遅れとなった馬はなく、ウインカーネリアンが先手を奪おうとするところを外からキメラヴェリテが事前の宣言通りにハナは絶対に譲らないとばかりに先頭を奪取し、他馬を引き離しながら1コーナーへ。

最内を引いたコントレイルはスタートこそまずまずながら加速がつかず後手を踏んで、下げざるを得ず、後方から。コントレイルが取りたかった好位をサリオスが確保。

サトノフラッグは馬群のほぼ中程に位置、無敗のレクセランス、クリスタルブラックは後方から進めていく形に。

2コーナーを回って、向こう正面に入ってもキメラヴェリテはスピードを大きく落とすことなく他馬とのリードを広げ、やや離れた2番手集団の中でサリオスが追走、そのやや後方にサトノフラッグ。コントレイルは13番手付近での追走。

キメラヴェリテの前半の1000m通過は59.8を計時。

このあたりでキメラヴェリテがグッとペースを落とし、3コーナーでは馬群が詰まり、ウインカーネリアン、ビターエンダーが接近、サリオス、サトノフラッグ、コントレイルの3頭は順位を大きく変えないまま、流れに乗りながら徐々に前に接近。

コントレイルは進路を内から外へ切り替えて馬群の外に。

4コーナーでは各馬一斉に動きを見せる中、強引に外からコントレイルが前に接近。

直線ではサリオスが馬群の中ほどから先頭を窺うも、大外をぶん回したコントレイルが際立つ勢いで脚を伸ばしてくる。

坂を登ってからサリオスとコントレイルの一騎打ちの様相になるも勢いに勝ったコントレイルが最後は抜け出して優勝。

勝ちタイムは2:00.7。

半馬身差にサリオス。離された3着に追い込んできたガロアクリークが突っ込み、粘ったウインカーネリアンが4着、サトノフラッグは最後は失速気味になり、5着。

 

200m毎のラップは、

12.2-11.3-12.1-11.8-12.4-12.9-12.2-11.9-11.8-12.1

 

勝ちタイムから見るとやや早めのペースとなるものの、キメラヴェリテが単騎逃げで引っ張ったもので、それ以外の馬の位置取りを踏まえれば、概ね平均ペースと見て良いラップに見えるのですが、これはあくまでコントレイル、サリオスを基準にしての話。

3着以下の殆どの馬達は坂の付近から速い脚は使えておらず、キメラヴェリテを無視したとしてもやや早めの厳しめの展開だったと見るのが妥当かと見ています。

 

その中でラスト1ハロンでも失速することなく12.1を記録したように上位2頭の能力が頭一つ抜けていた印象。

前述した古馬2勝クラスと比較してもこれより厳しいペースにも関わらず、このレースの上位馬を凌駕する末脚を使って、勝ちタイムは2秒以上も上回っているあたり、現時点に於いても既に古馬の重賞級と同等もしくはそれ以上の能力を示したと言って良いかと思われます。

 

皐月賞 上位各馬寸評

1着 コントレイル

強い。非常に強い。生半可な能力ではないと認識していましたが、その想像を更に超えてきた。序盤に加速が付かなかったことで完全に置いて行かれた状態で後方追走。

ここで福永騎手はベテランらしく慌てずにレースの流れに乗せながら上手く3コーナー付近で外に持ち出すや4コーナーでは外々を回しながら目を見張る勢いで進出。

かなりのコースロスがありながらも直線に入っても1頭だけ明らかに違う脚色で前に迫り、最後こそやや勢いに陰りは見せるも、粘るサリオスを競り落として勝利。

かなり馬場は回復していたとは言え、パワーを求められる馬場であったのは明らかで、この馬の持ち味であるスピードが殺されやすい馬場であったのは確実。

能力の高さにモノを言わせて勝利を奪い取った、と言わざるを得ません。

歴代の皐月賞馬と比較してもかなり上位に位置すると見ています。

昨年のサートゥルナーリアもかなり強かったですが、これを超えていると思います。

 

2着 サリオス

勝ち馬がロスの大きい大味なレースを見せたのとは対照的に理想に近い走りは見せられた、という印象。馬場の良いところを選びながら、終始ロスの少ない走り。鞍上のレーン騎手はほぼ完璧に騎乗出来ているとは思いますが、無慈悲なまでに相手が強かったか。

一瞬の脚で勝負するタイプではないだけに徐々にスピードに乗せて勝負ところへ向いたのですが…。

ただ、相手があまりに強烈だっただけでこの馬自身はかなり高いパフォーマンスを示しており、昨年の2着馬ヴェロックスよりは上だと見ています。

 

3着 ガロアクリーク

勝ち馬と似たような位置でじっくり待機。4コーナーでもまだ10番手付近でしたが、ここで焦らずに仕掛けたことで最後まで脚を使え、脚をなくした馬達を差し切った形です。いわゆる勝ちに行ける走りではありませんでしたが、自分の走りに徹した結果、やや早めに仕掛けていった各馬に先着出来た印象です。

前には決定的な差を付けられており、コントレイル、サリオスの2頭に真っ向勝負で太刀打ち出来る力量は現時点ではないと見ています。

 

4着 ウインカーネリアン

キメラヴェリテが単騎逃げとなり、それを見ながらの追走。厳しいペースではありましたが、最後までしぶとく粘って4着を確保。弥生賞では似たようなペースでバテて止まってしまいましたが、ここではバテ切ることなく、それを追う後続がバテてしまって何とか残っています。瞬発力で勝負できるタイプではないだけに安定性はないでしょうが、タフな競馬になった場合には穴を開けてくる可能性は十分あるかと思います。

 

5着 サトノフラッグ

ディープインパクト記念弥生賞では似たようなタフな流れで力強く抜け出しましたが、ここでは最後は止まってしまいました。道中の位置取りも問題なく、鞍上のルメールも首を傾げたように前走で見せた走りは出来ないまま終わってしまいました。

体調的なものなのかそそもそも前走のレベルがそれほど高くなかったのか、正直わかりかねるところですが、ルメール騎手は上手いコース取り、仕掛けをしており、このレースに限っては完全に力負けでしょう。

 

 

個人的にはコントレイルの潜在能力はこのメンバーでは最強だとの認識は持ちながらも、包まれかねない最内枠と渋った馬場では容易には勝てないだろうとも見ており、予想でも〇評価に留めていたのですが、その推測を凌駕する走りでした。

近年の皐月賞馬ではドゥラメンテに匹敵する強さだったのではないでしょうか。

もちろん、ダービーでも最有力でしょう。

サリオスを◎にしていたのですが、これほどまでの強さを見せられるともうお手上げでしたね。