うまコラ

競馬歴28年の筆者が綴る競馬コラム

コントレイル、衝撃の東スポ杯

16日に行われた東京スポーツ杯2歳ステークス、僅か8頭立てと一見すると寂しい頭数でしたが、今後の活躍が期待される馬の名も複数見られ、今後を見据える意味でも注目の一戦となりました。

 

そんな東京スポーツ杯を圧巻の走りで制したのがコントレイルでした。

 

マイネルデステリョが先手を取って引っ張った流れは前半1000mを58.8で通過。その流れの中で馬群のちょうど真ん中、5番手に控えていたコントレイルとムーア騎手でしたが、直線に向くや1頭明らかに違った脚色で外目から進出。

先行集団を瞬く間に捉えるや並ぶ間もなく抜き去り、後続は離される一方。後方よりアルジャンナが懸命に脚を伸ばしてきましたが、コントレイルとの差は縮まるどころか離されながらのゴール。

コントレイルが2着のアルジャンナに付けた着差は5馬身。3着のラインベックとは9馬身の決定的な差を付けての楽勝劇でした。

勝ちタイムはイスラボニータが持つレコードタイムを1.4秒と大幅に更新する1:44.5という異次元のものとなりました。

 

東京スポーツ杯2歳ステークスのタイム評価

まずはラップタイム。

12.9-11.0-11.4-11.8-11.7-11.8-11.7-10.8-11.4

先手を奪ったマイネルデステリョが後続をやや離しての逃げに出ており、1200m地点までは同馬のラップとなります。

4ハロン目からは淡々と11秒台後半のラップを刻んでおり、マイネルデステリョの津村騎手はほぼイメージしていたような一定のラップを刻んでいるのですが、後続の馬達は少し差が空いての追走で、2番手以下の1000m通過は59秒台中盤から60秒台といったところ。

コントレイルは直線に向くや猛然とスパートしており、10秒台のラップを連続して計時し、ラストも止まることなく11.4。

勝ちタイムの1:44.5は毎日王冠でダノンキングリーが計時したタイムと僅か0.1秒差と破格のもの。

ただ、この日の東京競馬場の芝コースは非常に早いタイムが続出していました。

準メインの3歳以上3勝クラスのユートピアステークスが芝1600で1:33.1。

最終の3歳以上2勝クラスが同じく芝1600で1:32.9。

いずれも少し昔ならばG1級の好タイムとなります。

ただ、この2レースを物差しに考えても東スポ杯の1600m通過が1:33.1。

奇しくも準メインのユートピアステークスの勝ちタイムと同じでしたが、コントレイルはここから更に11.4の脚を使ったことになります。

最終の2勝クラスもこのクラスとしては決してレベルは低くないメンバーでもあり、この日の馬場としては1600mで1:33程度の馬場は3勝クラスで十分に勝ち負けになるレベルであったと見て問題はないかと見ます。

コントレイルはその時点から更に11.4の脚を使ったことを踏まえて考えると2歳秋の時点で既に古馬オープン級の能力を示してしまったと見るのが妥当かと思われます。

また、参考にした2レースとも勝ち馬が33秒台の脚を使っていたようにペース自体も比較的似たような展開となっていましたので、前が早いペースで引っ張ってのタイムではなかったことも同様です。

流石にそこまでの走りをされれば2着馬以下が全く歯が立たなかったのも頷けるところかと思われます。

ダノンキングリーと現時点で勝負になるという見解は乱暴ではありますが、この時期に古馬オープン級の能力を示した馬は過去に殆ど例がないのは事実と言えます。

 

コントレイル 血統評価

父はディープインパクト、母はアンブライドルズソング産駒のロードクロサイト。

父のディープインパクトについては今更語る必要もないでしょうが、その父サンデーサイレンスに比肩する程の種牡馬成績を残している歴史的大種牡馬。

産駒達は殆どの距離で一定以上の成績を収めてはいますが、特に好成績を残しているのは芝1600~2000。クラシック競走では無類の強さを発揮しており、今年もダービーやオークス、菊花賞を制しています。

母はアメリカの名種牡馬アンブライドルズソングを父に持つ外国産馬で現役時にはダート短距離で7戦0勝。

 

2歳上の半兄にダート短距離で活躍しているバーンフライ(父ゴールドアリュール)、1歳上の半姉もダート短距離を主戦場にする1勝馬アナスタシオ(父ダイワメジャー)がいます。

 

母ロードクロサイトが未勝利ながら繁殖入りし、一流種牡馬を種付けされているのは自身の素質もさながらその母がアメリカG1、BCジュベナイルフィリーズやメイトロンステークスを制しているフォルクローレであるためでしょう。

 

フォルクローレは短距離馬というよりはマイラー色の強い競走成績を残しており、決してスプリンターではなかったのですが、ロードクロサイト自身は短い距離のみ使われ、その産駒であるバーンフライやアナスタシオも短距離ばかりを使われているように距離的には短い距離向きであると見られている母系となっています。

 

そのこともあり、父がディープインパクトに替わったコントレイルも厩舎サイドでは距離的にはある程度限界があるのではないかと見ている模様で、管理する矢作調教師からは当初1800mがギリギリこなせる距離であるとの見解を示していました。

 

あの圧勝劇を見ても矢作調教師からは「2400mはどうでしょうか…」とのコメントが出されており、今後は距離という課題と向き合っていくことになりそうです。

 

ただ、母ロードクロサイトの血統を見てみると、代々アメリカの中距離血統が重ねられている血統となっています。父はアンブライドルズソング、母父がティズナウ、母母父はストームキャット、更に遡ってファピアノ、インリアリティという血統を形成しており、この字面から想像されるのはダート向きのマイラーという姿。

それにディープインパクトという配合ですので、個人的に血統的に描かれるイメージとしては芝向きの中距離馬という姿となります。

 

レース振りを見る限り、アメリカによくいるダートでスピードに任せて押し切る競馬を得意とするタイプではなく、ディープインパクト譲りの爆発的な瞬発力を持っているようなので、兄や姉とはやや違った印象の馬をイメージしています。

 

 

次走はホープフルステークスを予定しているとのこと。

ここでの走りがいよいよ見逃せなくなってきました。

 

この世を去った父ディープインパクト最良の産駒との声まで聞かれ始めている同馬の走りに注目が集まります。